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熱波災害に備えよう

以前、気候変動をテーマにした「マルチハザードBCPの検証」について note の記事に書きましたが、意図が伝わらなかったのか、アクセス数がいまいちでした。そこで、本来の意図を汲み取っていただくために、構成を変えて再録することにします。

みなさんにお伝えしたいのは、今夏かも知れないし数年先の夏かもしれませんが、気温40℃を超える熱波に襲われるリスクが次第に高まってきていることです。次のシナリオと各状況説明に基づいて、あなたの会社ではどのような行動と対策をとるべきか、考えてみてください。

【シナリオ】 7月上旬、観測史上例のない熱波があなたの住む地域を襲っています。日中の平均気温は摂氏40℃、暑さ指数(WBGT値)は42に達し、市中では熱中症患者が激増、高齢者を中心に死者数も増加しています。自治体は節水や屋外での活動自粛を防災無線で呼びかけ、公共交通機関や貨物輸送も、エンジンのオーバーヒートやレールの破損を警戒して計画運休に入りました。気象予報では「熱波は今後1週間程度は続く」とのこと。

(状況1)幸運にも、この時点であなたの会社では顕著な熱波被害は見られません。

Q1:このまま熱波が激しくなると、事業にどのような影響を及ぼす可能性がありますか?
Q2:Q1の影響を未然に回避するために必要な緊急対策は何ですか? 最も優先順位の高い順に3つ答えてください。
Q3:Q2の緊急対策を実行するには、誰にどんな役割・ミッションを指示すればよいですか?

(状況2)気温が摂氏43℃に達したある日の午後、電力需給の逼迫で突然ブラックアウト(大規模停電)が発生しました。復旧のめどは立っていません。

Q4:突発的停電によって最も大きな影響を受けるのはどの業務ですか? 最も優先順位の高い順に3件答えてください。
Q5:利害関係者に対してこの状況を伝えなくてはなりません。最も重要な相手3件はどこですか? どんなメッセージを伝えますか?
Q6:停電が続く中でQ4で回答した3つの業務を続ける方法はありますか? あるとそればどのような方法ですか?

以上の内容は、空想上のシミュレーションなどではありません。熱波は近い将来、常態化するでしょう。すでに欧州やアフリカ、中東では熱波に適応するためのさまざまな取り組みが始まっていますが、日本はおそろしく呑気に構えていることが気になります。コンクリート上の干からびたミミズにならないためにも、国も自治体も、企業も、否、私たち一人ひとりも本気で取り組まなくてはならない時期に来ていると実感します。

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