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独学で簿記2級に合格した話


2020年、日商簿記検定2級(第156回)を受験し、合格しました。

自分が受験する際に体験談をネットでいくつか読んで参考にさせてもらったので、誰かへご恩おくりになればと思って、私が独学で合格した話をまとめます。

なぜ受けたのか

自分のキャリアを考えたときに、会計に関する知識があればいずれ役に立つと考えた流れで簿記とビジネス会計検定受験を決めました。
私は理系大学院を卒業後、メーカーのR&D部門に就職→10年目で異動、以来役員秘書として働いています。
秘書になったタイミングで、秘書検定(準1級・1級)を取得しましたが、それだけでは足りないと感じていました。
しばらくして、せっかく畑違いの部署に異動したのだから、ここで自分の知識やスキルをひろげようと考え、会計について勉強することにしました。会計に関する本を数冊読んだところで、とにかく財務諸表という前提を身に付けないと話にならんなと感じると同時に、このまま本を読むだけでなくて、実際に手を動かさないとダメだなと感じて「資格を利用して勉強してみるか」と思い至り、その結果、日商簿記とビジネス会計検定の受験を(わりと軽い気持ちで)決意。

財務経理を目指してる訳でなく、知識を得るのが目的ならビジネス会計検定で十分では?簿記の必要性ある?という意見もあるかもしれません。遠回りというか「非効率的」と指摘する方もいらっしゃるかと思います。
実際、簿記を勉強しても私は業務で直接活用する機会はなく、財務経理に異動したいという気持ちもありません。
しかし、私は財務諸表を理解するために簿記を勉強してよかったと思っています。
以前Twitterで見た「知識の自己組織化」という表現が最近ぴったりだ!と思うのですが、「こうなってたのか~!だからかー!!」と理解が深まる瞬間が楽しいので単純に面白かったから。
「簿記」を勉強したら日々の購買や経費精算と財務諸表の間が自分の頭の中で繋がったから。想像力を働かせるには材料が必要で、私は会社のことを理解するために役立つ材料を取り込めたと思っています。

資格試験を受験するメリット

私は、資格試験を受けるメリットは大きいと考えています。
■受験日が決まっているので期限が決まる
→必要に迫られていない場合、時期を決めて自分を追い込むということが難しいので、良いプレッシャーになる。
■学ぶべき内容が決まっていて理解度確認の手段がある
→本を読むだけではわかった気になるけど、きちんとアウトプットしないと身に付かないので、試験勉強や本番の試験は絶好のアウトプットの機会になる。また、試験は体系的に試験範囲の内容がまとめられているので、とりあえず一通り勉強するのに合っている。
■やりきった時の達成感がある
■合格したらメリットがある
→まず、実務経験がないのでどの程度役に立つかはわかりませんが「資格」として手元に残る。私の会社では簿記2級のみ報奨金制度の対象でした。問題集や受験費用など諸々相殺される額でしたが、いただけるものはありがたく頂戴しました。

スケジュール

私が簿記受験を決めたのが2020年の年明けでした。
当初、2020年6月に簿記3級を受験して、そのあと簿記2級も...と思って勉強していたのですが、新型コロナの影響で6月の試験は無くなり、3級は受けずに2級を2020年11月に受けることとしました。3級の範囲はすんなり勉強できたので、試験開催が怪しくなってきた春頃(ちょうど初めて緊急事態宣言が出たあたり)に、2級の勉強へ切り替えた、というのが実際です。(3級の本格的な過去問対策をしなかったことで、いざ2級の試験対策をするときにちょっと焦ることになるのでした...。)

約一年、簿記を勉強しました。
並行してビジネス会計検定も3級→2級と順に受けようと考えていましたが、こちらは結局3級を2020年の秋、2021年の3月に2級を受験することになりました。

試験の難易度などあまり詳しく調べずに、受験時期ベースでざっくり計画を立てたことに加え、コロナの影響で予定も狂って、2020年の秋に試験が集中してしまい、けっこうキツかったな...と思います。(実はもうひとつ、ビジネスマネージャー検定も同じく秋に受けたのもキツさの要因。)
他の方も勧めている受験の順番の通りですが、
簿記3→ビジネス会計3→簿記2→ビジネス会計2が内容的に無理がないです。
受験タイミングも余裕をもって組まれるのをおすすめします。
私の場合、ビジネス会計検定3級を受けたのが簿記2級直前で、ビジネス会計も2級を受けると決めていたので、わざわざ3級を受ける意味があったかは微妙です。(2級受験勉強のために3級の学習は必要だったけど、受けなくてもよかったかも)

何を使って勉強したか

■TAC出版の「みんなが欲しかった!簿記の教科書」と「みんなが欲しかった!簿記の問題集」

https://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/09606/
それぞれ3級、2級のものを購入しました。2級を実際に受験する前に同じくTAC出版の「過去問題集」を購入して本番に備えました。
会員登録すると10%オフで購入できたのでTACの公式からネット注文しました。※回し者ではありません。

サイトにはいろいろ独学向けのセットが売られていましたが、教材は上記教科書、問題集のみで乗り切りました。理解するため、問題を解く力をつけるためにこのシリーズの本だけをひたすら読んで解きました。このシリーズはカラー印刷で見やすい、やさしく教えてくれる印象で自分の好みのテイストだったので選んでよかったです。合格するためのポイントだけ押さえて資格さえとれればいいって感じだと別のラインがいいのかもしれません。

■NHK高校講座「簿記」

https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/boki/


偶然、簿記を受けようと思った頃にNHK高校講座で簿記が放送されているのを目撃し、慌てて録画を開始しました。
平日昼間、普段テレビを見ない時間帯に放送されている番組を、年末年始の休みだったか偶然見つけられたのはラッキーでした。
高校生向けかつ教科として簿記を教えるコンテンツなので、試験対策としては十分でないかもしれませんが、3級から勉強を始めるときに参考になりました。なお、最終的に教科書での勉強が軌道に乗ったことや全部観るのはまあまあ時間もかかるため、全部は観てません。ネットで動画や資材にアクセスできるのでとっかかりとして使ってみるのは大いにアリだと思います。

合格記では「アプリ」の利用がよく紹介されている印象でしたが、私は結局使いませんでした。アナログ人間だからか、ノートに直接書くのが自分に合っていただけです。YouTubeに解説動画もいろいろとあるようでしたが、自分のペースでひたすら教科書と問題集という、学生時代からの(昔ながらの)スタイルで貫くことになりました。勉強方法を時代に合わせてアップデートできなかったのかもしれませんが、自分が作ったスタイルなんだな…としみじみ感じました。

どのくらい勉強したか(3級)

簿記3級は通勤電車でテキストを読んだり、自宅で問題集を解いたり…ちょこちょこ進めて、高校講座 簿記の録画を(ほぼ)毎日1本ずつ観る…というペースで1月中旬から4月頃で3級の内容は網羅できました。

受験準備以外の話

この時期、並行して財務3表一体理解法シリーズの新書3冊も読んでいました。内容的には途中から3級を越して2級の内容にも及ぶのでカリキュラム的には前後するのですが、いろんな角度から財務や会計に関するインプットをしていたので、振り返ると知識の自己組織化は進みやすかったと思います。

また、試験にはほぼ関係ないのですが、「会計の世界史」という本を読んだのも3級を勉強していた時期。

この本との出会いがなかったら、途中で挫折していたかもしれない、それくらい私が簿記を勉強する原動力につながった本です。めちゃくちゃ面白いので簿記を勉強しようかなと思った方、ちょっと会計に興味があるという方には強くおススメしたい。最初に読むべきか、ちょっと勉強し始めてから読むべきかは悩ましいところ。というのも、私は多少かじった知識があったからこそ、「会計の世界史」の世界へぐいぐい引き込まれるきっかけがあったと思うから。もちろんそれがなくても本自体が面白いので心配ないと思いますが、今入口に立っている会計にはこんな歴史が…!!という興奮を味わえたのはとてもラッキーだったなと思っています。

どのくらい勉強したか(2級)

2級受験についてはたくさん勉強しました。時間を計っていなかったのでふんわりとしか書けない(〇時間とか言えない)ので参考にならず申し訳ないです。

3級から2級に切り替えたころはのんびりぼちぼちでしたが(ざっくりスケジュールで進めていた)連結会計あたりでだんだん進みが悪くなり、毎日子供の寝かしつけをしてから22時ごろから勉強を始めて日付が変わるくらい勉強をするようになっていきました。ほかの試験勉強も含めて取り組んでいたので、純粋に簿記だけではないけれど9月~11月は「気分はがっつり受験生」な時期を過ごしました。休日は夫に子供と過ごしてもらって私は日中まとまった時間勉強に専念する…ということもこの時期頻繁にあり、夜も休日日中もかなりの時間机に向かいました。(その後、私が休日子供と過ごせない日があると、子供は「お母さん、テスト?」と聞くくらい、母とテストの結びつきが強くなったのでした)

合格するという目標を達成するために、試験前には過去問題集を解き(試験時間は2時間)、採点して解きなおすという一連の流れを繰り返す必要があり、まとまった時間が必要かつ時間がかかるので受験対策が大変だったな…と思います(受験直前、ポジティブではなくネガティブに「二度と受験したくない」と何度も思うくらい大変だった…。こんなことこれっきりだ!と強く思いながら受験するまではやりきってやると半ば意地だったかもしれません)。

そんなこんなで無事、2級に合格しました。今はネット試験も始まって(ちょうど私が受験した後に始まったと記憶しています)状況は多少変わっているかもしれませんが、簿記に興味がある方の多少でも参考になれば幸いです。

ビジネス会計検定の受験についてもおいおいまとめられたらと思います。

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