よくわからない歌の残骸

何でも良かった。
「カレーをお鍋にとたたたたた」
「バナナバナナバナナバナナ」
「お猿とトイレでウッキッキ」
何でも良かった。リズムがあって意味がなくて
何となく君が喜ぶなら。
どんどん君は大きくなって、歌がなくてもトイレに行けて
保育園に行けて横断歩道で手を上げて
電車で隣のおじさんにこんにちはって言えて
赤信号は止まれだよ、って言えるようになった。
たくさんのたくさんのよくわからない歌の残骸。
赤信号で止まって欲しい時に、鍋をかき混ぜるのだけ手伝って欲しい時に
プラスチックの子供用包丁で茹でたニンジンを切って欲しい時に即興で作った歌の残骸
もういらないよ君も覚えてないよねもういらないよ。

いつかきっと君が大きくなって何にでもなれてどこにでも行けるようになったら
いなくなったベッドのまだ残る温もり、よくわからない歌の残骸を抱きしめて
パパとママは眠るので、時々思い出してね。

雑文を並べ立ててます。読んでくれてありがとう