徒然日記~猫社会

 人が複数集まれば、自ずとルールが生まれ、社会ができる。

 猫たちの間においても、それは例外ではない。

 たいていの場合、一番古参のオスが、ボスになり、その次に来た順に序列が決まっていく。そして、ボス猫に対して他のオスは決して逆らわない。

 数年前に死んだ初代ボス猫は、他の猫に対しては絶対的な「俺様」として君臨していた。もともとラグドールという種族自体、猫の中では大型の部類に入るのだが、彼は柴犬並みとも言われる体格の持ち主で、彼を基準に見ると、他所の猫が皆子猫にも思えるほどだった。

 腕っぷしも強かった。彼のすぐ次に来たノルウェージャンと性格が合わず、しばしば一方的に叩いたり、首筋に噛みついたりしていた。

 その一方で、人間に対しては甘ったれで、抱っこされるのが大好き。寝転がっているところに、頭突きを食らわしてくる面もあった。

 このような裏表があるとわかっていても、やはり可愛いものは可愛いから、ついかまってしまう。

 しかし、そうして彼をぐりぐりと撫でているところに、ある時ノルウェージャンがやってきた。

「僕も」と言いたげに寄ってくるので、撫でていたが、ふとボス猫の方を振り向けば、ビー玉のように丸い目をつり上げ、まさに別人(猫)のような形相でこちらを睨んでいた。

 しかし、上には上がいた。

 実は、ボス猫が我が家に来た時、家には先輩格にあたるメス猫がいた。

 大人しいが、気難しい性格で人にも懐かず、他の猫ともなれ合わない子だった。

「お局様」「つぼちゃん」と家族から呼ばれていた彼女が、水を飲んでいた時のこと。

 ボス猫が横から割り込んできた。

 体格でも力でもボス猫の方が強い。お局様は退散するかと思いきや…バシン、とボスの横っ面に一撃。

 ボス猫は反撃せず。お局様は再び水を飲み始めた。

 女が強いのは、人間でも猫でも変わらないのかもしれない。

 

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