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プティ・パレ美術館展内覧会

今日は、SOMPO美術館のプティ・パレ美術館展内覧会へ。
印象派から、20世紀のキュビズムとフォーヴィスム、エコール・ド・パリに至るまでのフランス近代美術をカバーしている。
が、ルノワールなどの印象派は、比較的少なめで、印象派以後、新印象派やポン=タヴェン派、ナビ派、20世紀のキュビズム、フォーヴィスムの方により重点が置かれているように思えた。

美術史において、印象派が果たした役割は大きい。
彼らが、保守的で新しい手法を認めないサロンの在り方や、審査制度に反発し、自分たちの展覧会(印象派展)を開催したのが、若い画家たちが、「自由な画風」をそれぞれに求めていく最初のきっかけになった。
その後、サロンに対する不信感が強まる中で、1884年、若手芸術家たちによって、最初の『アンデパンダン』展が開催。
ここに参加していた主要メンバーが、スーラやシニャックら、いわゆる「新印象派」のメンバー。
彼らは、科学的な理論のもと、印象派の筆触分割の技法をさらに突き詰め、点状の絵の具で画面を覆う点描技法を編み出す。
これによって、調和の取れた明るい色彩表現が生まれると共に、輪郭線はより曖昧になり、画面から遠近感も薄れ、装飾的な傾向が強まった。

今回の展覧会で、驚いたことの一つは、
「新印象派ってこんなに沢山いたのか・・・」
点描の生みの親であるスーラと、彼の友人だったシニャックの名はかろうじて知っていても、エドモン・クロスなど残りのメンバーの名前はこれまで知る機会があまりなかった。
スーラが若死にした後、シニャックのまわりに画家たちは集まっていたように思える。
彼らは最初こそ、理論に従っていたが、次第にそこから離れ、自由に色彩を並べる表現へと移行していく。その過程で、色彩はより明るく自由になり、マティスや、オランダから来たヴァン・ドンゲンなど、次の世代の画家たちを触発、「フォーヴィスム」誕生へとつながっていく。
この「フォーヴィスム」誕生の舞台が、1905年の「アンデパンダン展」だったという事実も面白い。
「シダネルとマルタン」や、「ヴァン・ドンゲン」など、あちこちの展覧会で、彼らが影響を受けた存在として、「新印象派」の名前は見かけた。
が、影響力の強さの割に、新印象派自体については、あまり知られていないように思う。
「印象派」と、「フォーヴィスム」、2つの強烈な絵画動向の間に挟まれているからか。

さて、この新印象派をどうやって料理するかが、この夏の課題になりそうだ。

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