版画について思う事
「私は芸術家ではなく、版画職人」
だまし絵で名高いエッシャーは、自分をこう呼んでいたらしい。
版画、と一口に言っても、凸版、凹版など、分類も技法も様々だ。それらに全て精通し、長所も短所も知り尽くした上で、使いこなす。時には正反対の性質の技法すらも組み合わせる。
そのことへの自信と誇りを感じさせる言葉で、私は好きだ。憧れている、と言って良い。
版画とは、「生き物」だ。
版木、インクの質や塗りムラ、紙、様々な条件が組み合わさって、出来あがる。
同じ版木からとったとしても、全く同じ一枚ができるとは限らない。
エッシャーが生涯に残した作品は500枚はあるらしいが、その裏には一体何千枚の失敗作があるのだろう。着想はしたものの、技術不足か何かの事情で形らしい形にできないまま終わってしまった作品もあるかもしれない。
それらが成す山を思うと……
「書けない」と泣いている暇、「ネタがない」とふてくされている暇って本当にあるのか…
と思う事も。
エッシャーの版画のコピー、手に入ったら目につくところに貼っておいても悪くないかも。
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