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詩人

むかし 知り合ったその人は
詩人だった

詩人の彼は
せつない詩をつづって

わたしは
かれの繊細な感覚に
むちゅうだった

繊細な感覚をもってるのに
その
彼が生きてるかんきょうは

すさまじくて

まるで
現実逃避のように
彼は
それはそれは
キレイな
詩をつぶやくのだった


かれは
有名人になり

そして
その名前は
ひとりあるきをはじめた

もう
描きたくない感情を
かれは
どんどんいつわって書くようになった

そして
くるしくなった

出版社は
うそでも
いつわりでも

かれの文章を
求めた


かれが
かれであることを辞めて

わたしに
いくつもの詩を
書いてくれた


かれは
詩人だった

たとえ
もう
その名前は
なくなってしまったとしても

かれのことばは
わたしのなかに

ずっとのこってるの。

まあるい
波紋が
静かに
どんどんひろがってくみたいに

心が
温かくなるような
詩と


絶望的な

世界の終わりのような
詩。

元気ですか。
いつかまた
会いたいです。

20060425

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