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COVID-19のおかげで音楽シーンは変わるかもしれない(という希望)


「2020年は修行の年だ」と、去年の年末から薄々感じてた。
年明け早々に、アメリカとイラクの対立。そしてオーストラリアの火災。
ほらね、やっぱり。
世界に「絶対」なんてないのだから、強くいないとね。

なんて思ってたら、突然の新種ウイルスCOVID-19の世界的流行が始まった。
SNSでは「当たり前が当たり前じゃなくなる時」のお決まりの投稿が続々と上がってくる。政府のダメすぎる対応への不満の声。
いやいや、政府がダメすぎるってもうわかってることじゃん。何年も前からさ。日頃の不満が、COVID-19を起爆剤にして爆発&爆発&爆発。

でもさ、怒りをぶちまけても、誰かのせいにしても、ウイルスは死なないし。
ウイルスという目に見えない敵に勝てるのは、ワクチンだからね。
そもそも生きる上で誰から何かに期待しない方が、小さいことに幸せを感じられる。美味しい出し汁を飲んだ時とか、めっちゃ晴れてる日の朝とか。幸せで胸がいっぱいになる。

デマを信じちゃうほど弱ってるし、みんな怖いんだなって思った。
でも、緩やかに環境は破壊されているし、テクノロジーの進化はもう止めることはできない。そんな地球で生きる限り、理想のユートピアなんてないからね。

でも、心の中にユートピアを持ってれば、結構幸せに生きられるって思ってる。
自分で自分の生き方を決めよう。
どこの国にいても、楽に生きるなんてできないんだから。
みんな目覚ましてくれ〜〜!

「あーこういう時こそ音楽を感じたいなぁ」

って思ってたら、音楽業界が窮地に立たされてた。
感染拡大を防ぐための自粛モードによって、相次ぐライブやイベントの中止。人が集えないって結構しんどい。元気な人は集えるけど、自粛命令出ちゃったらどうしようもないもんね。
イベンターやアーティストが、丁寧に真心を込めて用意していたpartyやLiveが続々と中止になったり、外タレが来日キャンセルしたり、しまいには「ライブハウスが濃厚接触の現場だ」っていうメディアの攻撃。風営法騒ぎのフラッシュバック。小箱はいつも槍玉にあげられるんだ。
愛する音楽に関わる人たちが、大変な状況になっていることに胸が締め付けられる。

でも、この状況で、音楽シーンの何かが変わるかもしれない。
音楽が商業的なコンテンツになってしまったり、イージーに無料で聞けるものになっていることに、違和感を感じる人が増えるかもしれないから。

だから記録しておこうと思う。
今、音楽業界で起こっていることを。
おかしな状況だからこそ、本質が見えることもある。
暗闇の中の方が感覚が研ぎ澄ませられるから。

パンデミックが起こっても、音楽はなくならないからね。
目に見えないものって、どんなワクチンよりも強いから。

<相次ぐ配信ライブ>
政府によるイベント自粛要請を受けて、次々とライブやイベントが中止に追い込まれた。
そもそも、ライブやイベント、フェスは準備9割だ。
運営側は出演者のブッキングや照明や音響などの舞台演出に対する打ち合わせなど、何度も何度も重ねて準備をする。
そして出演者も、最高のパフォーマンスを披露するために、練り上げて練り上げて、本番に臨んでいる。
それが、全部なかったことになるのは、精神的にもダメージが相当大きい。
それと同時に、大きいのが金銭的なダメージだ。
イベント保険と呼ばれるものはあるけれど、今回のような感染症拡大防止においては保険がおりない。し、そもそも保険加入には一定以上のお金がかかるので、小規模のイベントやライブは加入していないことが多い。

そんなリスク背負ってまで、イベントやライブを開催している人たちって、めちゃくちゃ尊いのだ。
「ネットでイベントやライブの情報を知って、チケット買う」っていう行動に慣れていると、その尊さがわかりにくかったりする。

そんな中で、代替え案として発生したのが生配信ライブだ。
You TubeやInstagramの生配信ブームは数年前に起こって下火になってたものの、思わぬところで火がついた。
(Googleって本当に数年先を見据えてるなーって思った)

生配信で、ライブの醍醐味を存分に味わえるわけはないのだけど、それでも大好きなアーティストのライブが観れるのはファンとしては嬉しいわけで。
でも生配信には実はすごーくお金がかかる。
高音質・高画質でライブを記録するための機材も必要だし、配信をするためには高速なネット環境もなくてはならない。そもそも会場にネット環境がない場合、わざわざアンテナを立てる必要があったり。
だから、普通にお金が結構かかるのだ。

でも、ここ数週間で行われた生配信ライブのほとんどが、無料だ。
本来チケット代を払って参加するはずだったライブが、「生で体感できる」ものではないものの、それにより近いものとして配信されているのに、無料で観れるものになってしまうのは、なんかおかしくない?

そもそも、「良質な音楽体験」を享受するためには、音響や演出、出演者のスキルに対してプロフェッショナルな対価が払われるべきなのに。

今後は生配信に対する課金サービスも増えるだろう。
それと同時に、ウイルス騒ぎが収束した後も、「音楽(体験)を無料で享受すること」への違和感を感じる人が増えたらいいなと思う。

<#私の好きなライブハウス トレンド>
大阪府のライブハウスで感染者が出たことを機に、TVやネットで「ライブハウス=集団感染する悪の巣窟」みたいな攻撃が始まった。
風営法騒ぎのリバイバル。
そんな中、Twitter上で起こったのが「#私の好きなライブハウス」というハッシュタグをつけて自分の好きなライブハウスのことを投稿するというムーブメントだ。

ハッシュタグを追うと、自分の好きなライブハウスの思い出や音響やスタッフの対応の良さなど、ライブハウスへの愛が詰まっている。

PCやスマホを介して、世界中の音楽が簡単に聴けることはめちゃくちゃ素晴らしい。
そして生配信でライブが観れるのも、新しい時代の一つの手法としてありだとは思う。

でもやっぱり、人が集って、生の音を体感して、おしゃべりをしたり身体を動かしたりできるライブハウスって、小箱っていいよねっていうことが再確認できる現象だった。

<ミュージシャンの稼ぎ方問題>
ライブができない問題のなかで、イベント主催者も困るが、演者であるアーティストも困っている。
だって、パフォーマンスで食っているのに、それをする機会がいきなりなくなっちゃうんだから。

その中で、私の知る何人かのドラマーは
「ドラム教室します」
とSNSで募集をしていた。

彼らは何年もの月日をかけて、磨いてきたスキルを武器にしてステージに立ち、飯を食っているから、ステージがなければ別の手段で飯を食うほかないのだ。

もちろん、自分のスキルを誰かに伝授することで喜びを得る人もいるが、ステージに立つことで生業を立てる「演奏を介してオーディエンスとコミュニケーションをする」ことが、ミュージシャンの何よりの喜びであることは間違いない。

楽器も歌も、積み重ねられた技術をもってこそ、最高の音楽の一部となる。だからこそ、音楽を聴くときにその音楽を構成する人がいることを忘れてはいけないと思う。
その曲を生み出した人、それを奏でる人、さらにはその音を最高の状態に調整するエンジニアなど・・・。
一つの曲にはいろんな人が携わっていることが頭の中にあると、音楽で心が揺さぶられた時の感動は、もっと大きくなるのかもしれない。
そして、「無料で音楽が聴けるなんて、ありがたい」って思う人も増えるのかもしれないね。

*****
当たり前が当たり前じゃなくなる時
真実だと信じていたものが、真実じゃなかったと気付いた時
世の中には「絶対」も「正解」など存在しないことを痛感するはずだ

そうなった時に、大事なのは、一人ひとりが自分の魂を悦ばせることだと思っている
「自分の魂を悦ばせること」
それが何かわからない人は、誰の目も、世間の声も気にせずに、直感に従って動いてみたらいいと思う。
人はそれぞれ、全く別の存在なのだから、魂を悦ばせる手法も、人それぞれだ。

私の場合は、それが音楽だった。
ジャンルやアーティストではなく、聴くと魂が震えたり、火がついたり、時には意識が遠のきそうになるのを、踊ることで自分の理性を保ったり。
そんな風に魂が躍動する瞬間を噛みしめることが、何よりも幸せだ。
そして私と同じように、音楽で魂を悦ばせている人といると、会話がなくても通じ合える気すらしてくるのだ。

だからこそ、音楽がエンタメコンテンツとして、使い捨てのものとして消費されてしまったり、音楽体験を提供してくれるイベンターやアーティストに、妥当な対価が払われない、今の音楽シーンには疑問を持ち続けている。

今回のウイルス騒ぎによって、きっとあらゆる「当たり前」に疑問を持つ人が増えるだろう。

冬の間は雪に埋もれて見えない大地にも、暖かい太陽が降り注ぐ春には綺麗な花が咲いたり、愛らしい動物たちが現れる。大事なものは、いつだってそこにあるけれど、目に見えないと気づかないこともある。

でもウイルスによって、世界にエラーが生じている今。
異常気象によって、あるはずの雪が溶けかかっているのかもしれない。

こんな時だからこそ、ウイルスという霧のなかで見えてくる「本当のこと」に気づく人が、増えていくことを願っている。

そして暖かくなって、「あんなことがあったね」って笑える時に、音楽のあり方が少しでも変わっていたら、世界は少し明るくなるんじゃないかな。


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