Azusa Hashimoto

アニメ制作会社→通信キャリア→フリー→インターネットサービスを作る人。 漫画と犬が大好…

Azusa Hashimoto

アニメ制作会社→通信キャリア→フリー→インターネットサービスを作る人。 漫画と犬が大好き。

最近の記事

不器用な母娘の、愛のバトン

母親との関わり方が、年々難しくなっていく。 母娘関係が良好で姉妹のように過ごしている人たちを見ると、とても羨ましく、胸がギュッとなる。 顔を合わせれば喧嘩になり、気持ち良く別れられることは稀だ。 わかっている。 他人が私に遠慮して言えないような、本当のことを言ってくれるのは、母だけ。 感情の高ぶるままに酷いことを言ってしまった時、「ごめんね」の一言で元に戻れるのは、母だけだということも。 母は、15歳で貧しい農村から上京し、看護師見習いとして働き始めた。いわゆる「金の卵」

    • さらば、のび太!

      我輩の犬の名は、「のび太」という。 10歳のチワワだ。 「のび太」はもちろん、大好きな「ドラえもん」から名前を頂戴している。 動物病院に行くと「のび太くんのママー!」と呼ばれて、病院中の注目を浴びてしまうので大変光栄だ。 「ドラえもん」の映画なぞ観た日には、まるで我が子たちが孤軍奮闘したかのように手に汗を握って応援してしまって、その名前だけで十分楽しませてもらっている。 のび太は有名ブリーダーの犬舎で生まれたのに、引き取り手が付かずに大きくなっていたそうだ。それも納得の

      • 「芝桜」に描かれた芸妓の美しい着物と、18歳の莫迦な私。

        18歳の時だった。 友人と京都旅行に行った際、ひょんな事から、愉快な大人たちに一見さんお断りの店に連れて行ってもらうことになった。 深夜に古都の静かな路地へ誘われ、看板もなく薄明かりの中に佇む引き戸を開けると、店の中はカウンターのみの上品な和風の設えだった。 末席にちょこんと腰掛け、カウンターの向こうを見る。着物姿で凛と立つ、美しく気の強そうな女性と目が合った。この店の女将だ。私は圧倒されてどう振舞えばいいのかわからず、うつむくしかなかった。黒く光るカウンターには、自分の丸

      不器用な母娘の、愛のバトン