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釧路と白糠町の旅。私たちがイメージする北海道が、この地にあった。

出張で釧路空港に降り立った。たんちょう釧路空港に。たんちょう鶴推しがかわいい。驚くべきことに空港からの道には信号がほとんどない。釧路、雄大だ。空も大地も広い。

釧路のイメージはあまり持ち合わせていない。炭鉱と漁港。寂れていそうな気もする。ちょっと行きたいが、わざわざ機会がない場所。仕事で訪れることができた幸運を噛み締めている。釧路の隣の白糠町の魅力を知り、伝えに参りました。

釧路は炉端焼き発祥の地なのです。さらに、炉端焼き発祥の店、「炉ばた」がある。70年以上の歴史がある人気店こと、炉ばた。熟練の焼き師であるおばあちゃんが中央に鎮座しています。囲炉裏オンステージ。おばあちゃんオンステージ。みんなでおばあちゃんの焼きショーを眺める構図。客が周りを囲む中、慣れた手付きで、魚や野菜を絶妙な焼き加減で焼いていく。地方の歴史民芸館の展示のような光景です。雰囲気完成されすぎてて逆に作りもんみたい。完璧ゆえの矛盾も生じているところは、ヨーロッパも思い起こさせました。絵本の中のようなヨーロッパの街並み。民芸館展示のような炉ばた。

釧路名物「炉端焼き」の発祥といわれるこのお店なのですが、2022年8月火事で全焼してしまったんだって。孫のクラファンにより2023年9月13日に、1年1か月ぶりに営業を再開したそうです。現代だなぁ。雰囲気を残したまま再建らしいのですが、たしかに店内は歴史の侘び寂びを感じるんだけど、トイレが最新。蓋が自動で開くやつ。クラウドファンディングの威力を感じる広い最新トイレ。寒さが染みる昭和トイレを覚悟していたのでありがたい。トイレが綺麗な店はいい。その分少し風情は落ちるが、炉端テーマパークとしては100点。元祖よありがとう。

焼き物も飲み物も、価格は書いていないから覚悟も必要です。こちらがななせんえんのきんきです。

続いては、つぶ貝のつぶ焼の店。メニューはつぶ貝とラーメンのみ。なぜその組み合わせになったのか。意志を感じるメニュー構成です。いつの日か変遷をインタビューしてみたいものだ。

私は貝が苦手なのですが、出汁も貝も美味しくて泣きながら食べました。苦手も美味しく感じさせる、これが北海道の食力か。ダシが出すぎている。このダシを持ち歩きたい。スタバで出してほしい。秋に芋かぼちゃ系を売ったあとは、つぶ貝ムースラテの季節だ。つぶ貝のつぶつぶが楽しめる、北海道つぶ貝フラペチーノもあり得るだろう。+50円でつぶ貝の粒を追加。よりチップ感が楽しめる。つぶ貝の殻風のクッキーを上に乗せたら、SNSでも映える。いける。

ラーメンのダシは黒い。深くて澄んだ醤油味。ややジャンキーながら癖になり止まらない。麺に醤油が染みきっている。先にこのスープを飲むと、つぶ貝のダシの味が弱くなるので、つぶ貝は先に頼もう。注意すべし。

居酒屋のフライドポテトですら美味しい釧路。一瞬たりとも気が抜けない。全力で食に挑んでほしい。主に地元で消費されているであろう、見たことのない魚の炙り。ポン酢でいただくと、口溶け。メルティーキッスばりに良質な脂が口の中で広がる。寒い地域の魚の脂はうまいなあ。


街の規模にくらべて夜の店が多い。あっちにもこっちにもある。漁師町なので、稼いだ漁師が、宵越しの銭は持たないと飲みに繰り出すらしい。10月上旬とはいえ、上着が必要な気温。ガチ冬コートは不要だけど、秋寄りの冬でした。

マンホールでもない道魚

食いだおれて温泉に入った翌日は7時半から開いている阿部商店へ。海鮮丼もしくは炉端焼きが楽しめる。キラツヤの海老といくら丼。

ここまでほとんどの情報が食。想い出のほとんど。私たちが北海道に抱くイメージの上位に絶対に大自然と食がある。そして、どちらもがここにはある。北海道の食のポテンシャルはすごい。ところで北に美味しいイメージを抱くのって、北海道だけじゃないのだろうか。ロシア、カナダ、北欧、特に美味しいものだらけというイメージはない。北海道は北で圧勝しているのではないか。北界の王、それが北海道。

もちろんすばらしい海岸線も広がっていました。水平線に広がる青い透き通った空。ひろい。うみもそらも大地もひろい。広いなぁ。白糠町の恋問海岸。名前の由来はなんだろう。随分とメルヘン海岸だよ。日本の北と南による世界観の差よ。どちらも青い空と海なのに北のそれらは色が濃い。群青色。都会のコンクリートジャングルの対義語が眼前に広がっている。

白糠町のチーズの工房、酪恵舎さん。ソフトクリームがなめらかに詰まっている。硬い。なかなか溶けなくて、何かの純度が高いはずだ。ミルクが濃い。

道の駅のレストランが名店という盲点。豚丼の焦がしソースが香ばしい。豚の歯ごたえ、甘い脂。香ばしい風味。ご飯に対するタレの配分が完璧。丼の米は、米の水分量と全体のタレ配分が非常に重要だ。紛れもない名店だ。店が香ばしい香りのする煙でもくもくしていたが、しあわせに包まれているのでOK、少し目が痛いだけ。

スパカツ。見ての通りのB級グルメ。あつあつのフライパンにミートソーススパゲティ+トンカツ。重たい。重たくて熱い。見たままの味なのに、癖になるノンストップフードだ。オンザ熱々フライパンは、ずっとあつあつなのが利点なのだが、飛行機の時間が迫っている状態では、大食いバトルグルメ番組のような緊迫感もう少し漂うのだ。結局食。食です。食に戻ってくるのが北海道です。北海道は広すぎるから、一括りにして語るのも乱暴だろうか。これが釧路らへんだね。

あっという間に旅も終わり。白糠町にて訪れ、お話を聞いた鹿肉とタコの加工工場も、とっても面白かった。こちらは詳しくは別途。白糠町は豊かな町だった。

ふたたび空港へ。たんちょう鶴推しがやはりカワイイ。たんちょう鶴は、わりと当然のようにその辺にいた。鶴をリアルで見ることは少ない。しかも野生。ありがたい。そしておめでたい気持ちになり、あがる。ご利益もあるでしょう。

初釧路が終わる。これまで行った北海道の街は、札幌、小樽、富良野、函館。どこも素敵な土地だったが、「北海道」と聞いて、イメージする脳内映像に一番近いのが釧路だった。期待する北海道が釧路にあった。強く厳しい海。あおい広い空。広大な緑。おいしさの連続パンチ。THE 北海道が詰まっている土地だった。何もないといえば何もなく、そこには雄大な自然があった。ただし、抑えるべき基礎観光地である阿寒湖と釧路湿原には行けなかった。まだまだ見どころが残されているなんてすごいな。

また来たい、また食べたい釧路にさらなる期待がつのる。


こちらは熊本旅行記

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