「ナウシカ歌舞伎」から学んだ、マイナージャンルを布教するのに良い方法。

お正月にNHKプレミアムで「ナウシカ歌舞伎」を観ました。

朝早かったので録画を後から視聴したし、そもそも去年の2月・3月に映画館で上映していたのも観に行ったから正確には2回目だったのですが。

2回目、かつ自宅ということで細かいところを落ち着いて見られた気がします。

ナウシカ歌舞伎のよかったところ

1.ちゃんと「歌舞伎」になっている

古典歌舞伎がどんなものか正確には知らないのだけど、素人が「歌舞伎っぽい」と感じる要素がしっかり押さえられていた。

2.「ここが見どころだよ!」というのが分かりやすい

舞踊や殺陣のシーンや、拍子木が鳴ってポーズを決める「よッ、○○屋!」のような(見得を切る)シーンが要所要所で用意されている。特に見得を切るシーンはアニメの「止め絵+効果音」の効果があって、知識がなくても「ああ、ここは盛り上がりどころなんだな」というのが伝わる。

そもそも歌舞伎自体が町人向けの「大衆演劇」だったのだというのが良くわかりました。

3.現代演劇の技法を取り入れた「演出」

メーヴェに騎乗するシーンのワイヤーアクションばかりが話題になっているけど、それ以外もすごかったのです。

絵巻物を思わせるタペストリや、目の色が青赤に発光する王蟲(大道具)、戦闘シーンでビカビカする照明。

と思いきや「本水」や「連獅子の毛振り」のような、歌舞伎ならではの演出もあったり、まさに古今東西の舞台芸術を詰め合わせにしてご提供されるような6時間でした。

「よくわからないけどすごい」という感情

あまりにもすごかったので「すごい」「なんだかわからないけど面白い」以外の感想が出てこないのですよね。

もう少し知識があれば具体的な感想や批評ができるかもしれないのですが。

でも、エンターテインメントを受け取るときにいちばん大切なのは、この「理屈抜きに楽しいと感じる」ことなんじゃないかなとも思いました。


「マイナー楽器を布教する」うえで参考になるんじゃないだろうか

私はエレクトーンという、多くの人が名前は知っていてもしかしたら触れたこともあって、それなのになぜか「演奏を聞いたことのある人は実はあんまりいない」というマイナー楽器を演奏しています。

私自身はおもしろい楽器だなぁと30年ほど思って続けているので、もう少し楽器自体の認知が向上し、奏者の活動の場が広がることを願っています。

この楽器がもっと一般的になるためには、「たくさんの人に見聞きしてもらって」「良いなと思ってもらい」「できれば楽器に触ってもらうか、何らかの形で関わってもらう」ことが必要だと思うのですが、

この「良いなと思ってもらう」がなかなかハードルが高いな、と感じています。

基本的に後ろ向いて弾くから地味だし。

手だけじゃなく足も使うから難しそうだし。

結局、サンプリング音源を再生しているだけじゃない?と私自身も思うし。


でも、もしかしたらそういうことじゃないのかもしれない。

ネガティブな意見よりも先に、

いろんな音が出せるのが面白い

かっこいい曲をカッコよく弾ける!

というポジティブな意見も(幸いにも)たくさん耳にします。

それらって結局「詳しくは知らないけど好意を持った」ということですよね。

作る側はうっかりすると忘れがちだけど、この楽器の「良いところ」を見つめ直して、どうしたらそれを伝えられるかを考えていきたいと思いました。

具体的に、やってみたいこと

そう考えると、「他の楽器ではなかなかできないこと」をアピールするのが良いかもしれません。

例えば、屋外で演奏する

例えば、すごく狭いところで演奏する

例えば、1曲ごとに全然違うジャンルの曲をやる

案外省スペースな楽器なので、嵩張る演出とコラボする。例えばダンスとか、人数の多い合唱とか。

「芸術性」とか理屈ではなく、自分自身が良い・おもしろい・かっこいいと思うことに挑戦していってみたい、と思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?