退職エントリー

退職エントリーを書くのが流儀というのを聞いたので書いてみる。


■業界に対する飽き
・居た業界について
私のいた業界は「採用支援」という業界です。
具体的には例として新卒採用に限って言えば
 ・学生にメールを送るのを代行
 ・インターンや説明会などの運営補助
 ・学生管理システムの設定や運用
みたいな仕事です。
だからこれを読んでいる新卒の方、「人事から合格通知が来た!」と思っていてもその文章を書いたのも、送付を実行したのも私かもしれません。
※判断したのはきちんと人事の人ですよ。多分。きっと。
※そして多分不合格通知は我々みたいなのが送っていますね。


私の場合、前職でそもそも採用やタレマネをしていたり、支援でも現地で人事の業務をサポートしていたといった経験があったり、管理システムのカスタマイズをするスキルがあったのでもう少し踏み込んで
 ・採用の状況を可視化(レポーティングやカスタマイズでのビジュアライゼーション)
 ・市場状況を見つつ採用戦略を練って、先方内部での戦略について、偉い人の承認を取り付ける手伝い
 ・システムのカスタマイズをしてよりユーザービリティをあげる
 ・自社作業のRPA化
 ・中途採用のコンサルティング、システム構築
 ・社内異動制度のシステム構築やサポート
といった作業もしていました。

役割としては採用コンサルティングという名前はついていますが、あるあるな感じでソリューション営業に近いです。

私自身は課題解決が非常に好きですし、課題を解決するために手に持っている武器をどう使ってもよいという環境は最高に近く、恐らく天職でした。

現に入社2年中盤時点でベテラン勢含め1位成績狙えて、3年目は余裕の1位。
多分あと何年やっててもこの会社内ではトップとり続けられるくらい。
勿論その為に人間やめるレベルで働いたし、RPA化を始めとする効率化も行いました。
結果得たものが総売上、総利益、新規売上増加は余裕で1位だし、取扱案件数でも1位。
まだ基準に入っていないけれど増額させた金額でも1位です。
人の案件引き継いで額が大きいとかそういうのはなく、ほぼすべて自分で取ってきて構築して育ててました。
でも給料は大して上がらないし、それ以外の私がうれしいと思うこともない。
そうなると数字がいくらになっても面白くもなんともなくなってしまい、目標もなくなりました。

・そもそも私が解決したい課題
とは言え、別の評価はどうでも良い。自分のやりたいことを極めれればそれでOKという考えも同時に持っており、私の解決したい課題を解決する方向に注力しました。
新卒採用は30,000人の母集団がきて、そのうちES出すのが3,000人で、採用されるのが300人です。
しかもこの後入社3年で3割辞めると。
超非効率では?
せめて中途くらいの割合にならないかなあと。

また、その選考内容も私が知りうる限り、納得のできる理由で作られた選考基準を、上から下まで統一されていて、都度見直されている会社はそこまで多くないです。
そうなるとロジカルに良し悪しも判断できなくなっているので正しい、正しくないの指標すら出すのが難しい。
それはつまり、前年の失敗も成功もナレッジにならないという事です。
ナレッジにならなければいつまでも正解にはたどりつけないのです。
だから、一番解決したいのは効率化。

そこに至るためにナレッジ化とデータ化、そしてその可視化。
これが課題でした。
でもこれって、本当に現場に行ってないと分からないのですよね。
今みたいに1歩離れた位置からでは真実にはたどりつけない。
だから探求方面でも継続は厳しい。

・仕事に対する違和感
どうしてもシステム寄りの為、お客様に対して踏み込んだサポートができないのです。
データはあるから傾向はみられる、そこからの予測はできる。

でも所詮0,1の集まりに過ぎない。
採用活動の良い所(悪い所?)として人対人という仕組みがあるため、0,1で分からないことも結構あるのです。
それに対してそれっぽいコンサルティングをする、という行為にむなしさを感じました。
仮に前職の様に実際の現場で続けていたら飽きなかったとは思うのですよね。
少なくとも学生との面談(提案)に対しての返答(結果)がリアルにわかりますしね。

また、前職でいた環境がこと採用に限っては先端に近い環境だったので、「コロナによって激変する採用手法」なんてワード、チープもチープ、今更も今更という感じでそれにも呆れてました。
グローバル市場相手の採用をしている会社なら元よりリモートで入社まで決まるし、その後の育成もリモートとか今までもあったでしょう?
勿論そういう会社にとってコロナで変わったこと、という点には非常に興味がありますがそれ以前のレベルのところで2年間、同じような話しかできないのはやはり飽きますよ。
情報を入手しようにもセクションが異なるので中々集めづらいし、後述の理由で集まらないし。

いずれにせよこのあと数年私にとって課題をもっと解決したいということに関してプラスに働く要素が見えなかった。
これ以上ここにいても採用というものを根本的によくできるという目が見えない。
という事で、答えが得られないならば新しい所に行くしかない。と結論を出しました。

これが辞めた理由。
私は仕事に帰属しているつもりはあるけれど、会社に帰属をしたつもりは微塵もないので会社に対する不満は割合的には低いけれども一応。

■会社に対する不満
・責任者が責任を取らない
これはどこでもそうかもしれないけれど、責任者が何の責任も取らないのです。
目標に対して1年クリアできなければ本人の問題かもしれないけれど、2年3年とクリアできないのは
 ・目標が適正か?
 ・その目標に対する教育やサポートは適正か?
どちらも、これはマネージメント層の責任でしょう。
それに対して「何でできないんだよ」という恫喝以外のセリフを聞いたことがない。
前述の通り、私は未達になったことがないし何なら予算の2倍やってますので言われたことはないです。
だから延々とした恫喝の後、何かサポートをしているかもしれませんが、結局数年未達なわけでしょう。
何かしていると思えないし、していても正しくないし、そんなことしかできないマネージャーならさっさと降りろという気持ち。
だいたいそんな人たちについていきたいと思います?

そして100名規模の会社にあるあるな、責任者の枠が少ない為昇進できない。
さらに若手に譲る戦略かつプロパー大優先の為、私の年齢からすると飼い殺し状態になる。
その点に関しては方針上不満はないのですが、どうも役割がある=偉いという風潮が強い会社なので色々面倒くさかった。
マネージメント層への推薦を頂いて断っている&成績優秀者なので名は通っていた分、他の人ほどの苦労はしなかったけれど、それでもどうでも良いくだらないやり取りに時間を取られるのがだるかったし、誰の目で見ても優秀な子が「プロパーではない」という理由だけで冷遇されているのを見ると他人事でも良い気分はしないです。


同じ会議に出ていてもちょっとした感想や意見もマネージャーと通さないと発言できないし、そのマネージャーも日和るから握りつぶされるんですよ。
だったら最初から意見求めないでほしい…

・体制が古い
システムで提出させたものを紙でハンコを押して再提出する必要がある、とかは可笑しいなあと思ったりしましたし、その理由が理由になっていなかったりするのはまだ割り切れましたが…

「コロナによるリモートワークで止まっていた仕事を出社して動かしていく。(2021年秋)」という発言がもうだめだった。
止まってたのはお前だけだし、そのセリフを最初の宣言の時ならまだしも、もうリモートが定着した世の中の今言うか?と。
本当に止まっていたというなら企業努力の問題だよ。そしてそれを何とかするのがお前の仕事だろ…と。

これで私たち、フルリモートのクライアントとかフルリモートの採用やっている会社にプレゼンするのですよ。
笑ってしまいますよね。

・採用を知らない
社内の不満での一番は「我々は採用を知っている」という態度がひどい。
そもそも採用をしたことがない人たちが採用を知っているって堂々と言いきれるのはどういう了見なの?
そしてその前提があるので、学ぼうともしないのですよ。
お客様の安心のためのポーズじゃない。本当にそう思って仕事してる。

あなたの仕事でその業界未経験な評論家が偉そうに「私はあなたの仕事を知り尽くしています」って言われたらどう思います?
良い気はしないでしょう?

特に採用経験者からすると「当然理解できる事情」に対して共感をできない人が多くてもやもやしていました。
そしてその感性で仕事をしているので「情報を集める」という事をしないのです。
知ろうとしない、というのが大きい。

・自責でものを考えない
殆どの人が他責でモノを考えていました。
若手が出来ないことに対して、教育がなっていないからできない。という他責ならまだしも、自案件すらオーナーシップを持たない。
だから失敗してもどこか他人事だし、成功しても同じく他人事。
実際に私たちの業務でお客様の採用が成功した、と自信をもって言える立場にないことを差し引いてもあの関心のなさは何だったのだろうか…

・動き出しが遅い
これもあるあるなのかもしれないけれど、責任を誰も取りたがらない上、上は上で自分の気に食わないことをやる気がないので結果的に良く見積もって同業他社に比べて二手遅れ。下手すれば三手遅れ。
その上サンクコストにとらわれすぎ。
ぶっちゃけ今すぐプロジェクトを辞めた方がましなレベルまで来てもう2年。
そもそもそもの動き出しが2年遅れている上、完成も3年遅れているので今更あれをリリースして誰が喜ぶのだろうか。


どんなゲームでもそうなのだけど、2手、2ターン遅れて勝てるゲームある?
MtGで相手が盛大に事故っていれば2T位どうにでもなるけど、余程の相性差があっても2T止まったらもう無理なレベルでしょう普通。

仮に世の中の勝負が将棋だとしたら2手遅れはどの局面でも致命的。
序盤なら相手に固められて攻めあぐねることになるか、こちらの攻め手をつぶされてしまう。
そして更に頭の中がお花畑なのか、相手の陣容がこちらと同じだと思っているのですよね。
敵の方々は少なくとも前面の駒の半分は香車だし、金将がいるべきところに2枚目の竜王と竜馬がいたりする会社あるぞ。
つまりもう無理ゲー。

■辞めるとなったその後
既に居る意義を感じない旨を夏前から伝えていたため、退職までは非常にすんなり…行かなかったのだなあ。
揉めたもめた。
でも残っている有給を逆算した上で退職届を出してそもそも交渉類を潰して話して終わりにしました。
内部はどうでも良くとも私を評価してくださっているお客様方に申し訳ないのでせめて形が出来るところまでやりますという流れで結局対応はぎりぎりまでやるので大丈夫だよ(後は知らんけど)というのを落としどころにしました。


結果ほとんどの有給を消化できずに転職と相成りました。
まあ別に良いけどね。日を開けると戦場の勘が鈍るし。

ただ、いるからという理由で引継が終わった案件を放置&私にやらせるというのが割とむかついてはいます。
今これを書いている深夜ですら新しい業務増えてるのですよ。
ふっしぎー!!!
(というか退職の意向伝えて決定、周知した段階から新規案件2件増えてるしな???はじめましてのさようならだよ!!)

後お客様の8割は酷いショックを受けてました。
これが申し訳ない半分、私の活動に対する評価だなと思ってうれしい半分。
でも「この後弊社はどうしたら…」は依存させ過ぎたと思う。
仕事ではお客様に対してスパダリでいようと思って頑張りすぎた。
なんかね、私と付き合う人みんなダメ人間になっていくのよね…。

笑ってしまうのが、
 社内:単純に目に見える業務量でしか判断出来ていない
 社内(別部署やSESや業務委託の方):全体作業の低効率化のヤバさに気づいて相談してくる
 お客様:グランドデザイン含めた目に見えないフワッとした概念を形にしていく部分や派生作業部分に大きな懸念を抱く
という状態で、一番近くにいる人たちにどの仕事が相手にとって価値があったのかが評価されていなかったというオチ。
業務増える部分よりRPAを始めナレッジ類を整備していたり、データのアクセス・共有周りが機能不全化する点に気づいていなかったのか…と。
元々「私が私の為に作ったものを使えるから共有していた仕組み」だから私しか分からかないのだわ…。

だから物理的な距離が空く人ほどたくさん話しかけられました。
前職で各部門の人事の方が毎日の様にいらして、色々お声がけいただいたのが懐かしい。
ある意味あの瞬間を味わうために全力で、お客様の優劣を付けず、手を抜かないという事をしてきたのだと思う。
このスタンスは次職でも変えないようにしたいです。


自分が辞める会社のその後を気にするのはエレガントではないけれど、私が信頼構築してきたお客様は裏切らないでほしいなあという思いと、あんなひどい環境の中でも一緒によりよくしようと思って活動してきた仲間たちが幸せに過ごせることを祈って退職エントリーを締めます。

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