見出し画像

【原始・古代ロマン体験館】三十三番土偶札所巡り

はじめに

 長野県長和町の「原始・古代ロマン体験館」(以下、体験館)は、縄文と民俗資料の展示と土器作り体験ができる施設です。
 長和町は、2005年(平17年)長門町と和田村が合併して発足しました。長和町は、黒曜石の原産地であるとともに、和田峠から下諏訪へ向かう中山道の宿場(長久保宿と和田宿)があり、縄文時代と江戸時代における人々の往来の拠点と考えられます。
 原始・古代ロマン体験館は旧長門町の施設で、1993年(平5年)に開館したものです。長和町には他に「黒耀石体験ミュージアム」もあり、そちらは黒曜石に関する展示と体験型の施設です。

三十三番土偶札所巡り

 日本遺産「星降る中部高地の縄文世界」の企画で「三十三番土偶札所巡り」があります。山梨・長野両県にある17施設をめぐり、33点の「御朱印」を押してもらうというものです。
 今回、体験館を訪問した目的は、残っていた最後の2つの御朱印(27番号、28番)をもらい、コンプリートさせることでした。
 ちなみに、「釈迦堂遺跡博物館」には番外で限定御朱印(2022.6.1~2022.10.31)というのも登場しています。筆者はすでに押印済みのため、体験館の訪問で完全コンプリートしました。

最後の御朱印(26番、27番)、隣の井戸尻・始祖女神像(28番)がはじまり

原始・古代ロマン体験館

 前置きが長くなりましたが、この体験館の建物は1973年(昭48年)に統廃合された大門小学校の跡地にあり、体育館を改装しています。

山の分校に向かうみたいです、二宮金次郎さんもありました
博物館としての再利用は歓迎です
体育館なので施設として大きめ
考古系の博物館の入り口は地味なものです

 外観は昭和時代の体育館そのものですが、中は思ったほどに古さを感じません。そうはいっても、平成時代初期のリフォームなので相応です。トイレは今や少数派の汲み取り式でした。

考古資料の展示

 この建物は発掘の出土品などを整理する施設も兼ねていて、文化財関係の職員が出入りしているらしいのですが、訪問した日が休日だったため、受付の職員しかおりませんでした。
 展示は黒曜石から始まりますが、全体としては考古資料と民俗資料の展示なので、じっくり土器を見るのにはいいかもしれません。

導入部は黒曜石から

 もとが長門町の資料館だったため、解説パネルには「長門」の「門」の上に「和」の字を貼るだけで直してあったり、「長門」のまま表記されているパネルが少し気になります。
 エアコンはありません。館内は、夏は暑く、冬は寒いそうです。筆者は井戸尻考古館を知っているので驚きません。

住居の前に土器がいっぱい

 御朱印になっている中道遺跡の人面香炉型土器です。縁の突起も顔になっています。御殿場遺跡(伊那市創造館)や曽利遺跡(井戸尻考古館)の人面香炉型土器と同様に反対側は髑髏のような様相のはずです。

裏面がまったく見えない状態で展示

 明神原の土偶は、頭だけです。穴があり鳥の羽根を差していたとする解説があります。藤内遺跡の土偶「巳を戴く神子」(井戸尻考古館)も昔の写真では羽根を差していました。

こちらは裏面はミラーをつけて展示

民俗資料の展示

 奥の一画に民家の一部が移築してあり、農具など民俗資料と長門の祭りとして豊受大神宮のおたや祭りの解説がありました。

民家の中
祭りの解説と藁で作った猿と馬、農具など

体験工房

 この建物には、展示のほかに、発掘された遺物を整理部屋があったり、土器作りの工房があります。
 土器作りは予約なしでも、2,3名程度なら対応してもらえますが、職員の体制もあるのでしょう。できれば事前に予約してほしいとのこと。作った土器は乾燥ののち焼いて送っていただけるとのこと。館内に窯焼きの部屋があったので野焼きではありません。
 学芸員が作ったという土器が多数並べてありましたが、煤がつかないため、仕上がりが単色の焼き物みたいでした。

グッズコーナーの奥に並ぶ学芸員作の土器

おわりに

 この体験館は、黒耀石体験ミュージアムの集客に比べると見学者も少ない施設ではありましたが、考古資料を中心に見るには静かでよい施設です。受付の職員の方の対応もよく分かる限りでいろいろ説明してくださいました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?