見出し画像

【八ヶ岳美術館】企画展「酒井慶二郎 花は無言で語ります」を見に行く

再編集版について(2023.9.30)

 当初予定になく慌ただしく見てまわったため初出の記事の出来に不十分さを感じ、後日あらためて観覧し記事を再編集いたしました。すでに展覧会は終わっていますが大幅に画像を追加いたしました。
 また、筆者のもとへも倶楽部ギャラリーマザーツリー(茅野市)にて行われる「酒井慶二郎絵画展」(2023.10.7~10.10)のご案内をいただきました。精力的に活動されている慶二郎氏の今後のますますの活躍を期待しております。

はじめに

 原村の八ヶ岳美術館へは、3館共同の企画展示の「行って縄文 来て縄文」を目的に訪ねたのですが、館内で開催されていた企画展「酒井慶二郎 花は無言で語ります」(2023.6.17~9.13)が実に素晴らしく別記事として紹介いたします。

八ヶ岳美術館

八ヶ岳美術館

 八ヶ岳美術館の開館は1980年(昭和55年)と古く、林の中に白いドームが繋がる建築が特徴的です。この建物の設計は村野藤吾(1891年~1984年、明治24年~昭和59年)によるものです。
 また、原村出身の彫刻家清水多嘉示(1897年~1981年、明治30年~昭和56年)の彫刻が所狭しと館内に常設展示されています。
 考古資料は町内の阿久遺跡などの土器、石器なとが常設展示されています。

ドーム建築と彫刻作品

 八ヶ岳美術館の詳細については拙稿をご覧下さい。

企画展「酒井慶二郎 花は無言で語ります」

 企画展「酒井慶二郎 花は無言で語ります」(2023.6.17~9.13)は撮影可能となっています。
 酒井慶二郎氏は1989年生まれ、諏訪市在住で農園勤めのかたわら絵筆を走らせるといいます。自閉症の慶二郎氏は養護学校のときに油彩と出合い、その後独学でアクリル絵の具による作品を描いているとか。県内各地のギャラリーで個展を開かれて好評なようです。
 今回、本格的な美術館による展示にあたり、花と野菜をテーマにした多くの作品が並びます。

東京2020にちなみ「五輪の菊」
作者近影と受賞歴、在館制作の予定など

企画展第一室

 会場の第一室です。考古資料の隣の展示室なのですが、たいへん華やいだ雰囲気です。作品はどれも大きく、和紙にアクリル絵の具で描いているそうです。

展示室入口から
《百花繚乱》2017

 金魚草は本年製作の作品です。

《金魚草》2023

 自然の恵みです。たけのこ、山ウド、大根、下仁田ネギです。

《たけのこ》2015
《下仁田ネギ》2017
《大根》2015
《山ウド》2015

 メインビジュアルとしてチラシを飾る菊は「五輪の菊」、東京2020開催年に合わせて制作された作品です。

《五輪の菊》2020

 また、「五輪の菊」と対になり展示室の入口に飾られている作品は「四輪の菊」です。どちらも画面いっぱいに見事な菊です。

《四輪の菊》2020
左側概観
中央概観
《柿色背景のバラ》《黄土色のバラ》《優子さんのお庭のバラ》《コスモス》
《コスモス》2017
《柿色背景のバラ》2016以前、《黄土色のバラ》2017、《優子さんのお庭のバラ》2022
《優子さんのお庭のバラ》2022
《黄土色のバラ》2017
《柿色背景のバラ》2016以前
《白薔薇》2019、《赤いバラたち》2017か、《赤と白のゆり》2018
《赤と白のゆり》2018
《赤いバラたち》2017か
《白薔薇》2019

  最新作のバラの作品があります。

《バラバラばら》2023

 キャベツも見事です。

《キャベツ》2016

 ネズミは毛並みまで緻密すぎてちょっと苦手な人も。赤和紙を使っているのは珍しいです。

《赤和紙にネズミたち》2021


《2018ラストダンス》2018
《八ヶ岳のセロリ》2017
《黄色のバラ》2018

 屏風作品が並びます。

《桜の屏風》(2曲) 制作年不詳
《桜の屏風》(2曲) 制作年不詳
《茶屏風 秋草》制作年不詳
《ダリヤ》、《孔雀サボテン》、《孔雀サボテン(サイケデリコ)》《菊燃ゆ》、《桜in2023》
《桜in2023》2023
《菊燃ゆ》2023
《孔雀サボテン》2023
《孔雀サボテン(サイケデリコ)》2023
《ダリヤ》2018
《ピンクの薔薇》2023
《黒のパラフィンのバラ》2022
《山ユリ》制作年不詳
《ポインセチア》2016以前

企画展第二室

 続いて一番奥の展示室が第二室です。その前にも大型の作品が並びます。こちらも生命力あふれる竹たちです。

第二室前のフロアの作品たち
《たけのこ》2017
《辰野町宮木の竹林》2017
柱にも作品が
向かい合って対になっています

こちらは動物画や和紙の原料であるカジの葉で創作されています。また、諏訪大社で描いた作品が何点かあります。

第二室は野猿公園のおサルさんが迎えてくれる
《ボスザル 長野県地獄谷野猿公園》2018
《デンドロビューム》2014
《地獄谷野猿公園の赤ん坊猿》2016
カジの葉描いた作品
第二室概観
第二室概観、別の位置から

 《ロサンゼルスの猫》は、氏の5歳の時の作品です。すでに才能が開花していたのですね。

《ロサンゼルスの猫》5歳
イノシシも毛並みが緻密
《ガンダーラ仏頭》2016以前
《赤地の白もくれん》2023
《諏訪大社下社春宮幣拝殿》2012
《猪 飯田動物園》2021
動物画は毛の一本一本まで丁寧
《輝くウサギ》2023
《チューリップとスイートピー》2018
《エミュー》2017

 部屋の中央です。机はここで滞在して創作した時のもの

窓の位置に机と作品に囲まれて
机にも作品とスケッチが残されています
《八重の桜》2023
《白と黄色のバラ》2023
《紫地の花ばな》2023
《マム、ダリア、紫陽花、紅葉した楓 そわかさんから頂戴した花たち》2022
《穂高神社に潜む尾長鶏》2017
《ウサギ》2023
《カラスアゲハ》制作年不詳
《白菜》
《かぼちゃ》2016


諏訪大社前宮の狛犬

 雑誌の表紙にも採用されていたのですね。

「UTOPIA」27冊、
似顔絵、雑誌などが置かれた概観

 こちらは氏の知人たちの似顔絵です。個人名が題名になっていますので、題名は伏せておきます。

似顔絵作品
《紫陽花のバッグ》2023
《白うさぎのバッグ》2023
『感性のひらめき』
『塩尻の新図書館を造った人たち』

おわりに

 酒井氏の個展は偶然は拝見しましたが、酒井氏の個展目的に来館した方が圧倒的に多かったです。花や野菜の作品にはダイナミックさを感じます。農園勤めを通してより植物の姿を映しとる感性が磨かれているのでしょうか。また緻密さもじっくり作品に向き合う酒井さんの持ち味なのでしょう。期間中、美術館に在館して作品を描く日もあるようです(日程はパンフ)。
 今回は新たな作家さんを知ることが出来ました。偶然の出会いも美術館めぐりの喜びです。

下足入れのあるエントランスも作品で飾られいる
ショップコーナーの関連グッズ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?