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【伊奈ヶ湖】展望台と南伊奈ヶ湖の紅葉を訪ねて(2023.11.5)

はじめに

 11月に入り山梨も本格的な紅葉シーズンを迎えました。昨年に続き、南アルプス市の伊奈ヶ湖に紅葉を訪ねてまいりました。
 
伊奈ヶ湖は、甲府盆地の西部で標高およそ900メートル、県民の森と呼ばれる櫛形山の中腹に位置します。櫛形山は赤石山脈の前方にある山(前衛峰)で、日本二百名山のひとつに数えられています。

木々に囲まれた伊奈ヶ湖

 昨年の様子は拙稿をご覧ください。


南アルプスユネスコエコパーク

 山梨県は、櫛形山山麓に広がる953ヘクタールを県民の森として1968年(昭和43年)から保健休養林に指定しています。
 また、南アルプスユネスコエコパークとして2014年(平成26年)に登録されています。
 ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)とは生態系を保全するとともに、自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域です。日本国内では10カ所が登録されています。
 この南アルプスユネスコエコパークは南アルプス国立公園を中心に3県の10市町村にまたがるもので、エリアは、
韮崎市、南アルプス市、北杜市、早川町(以上、山梨県)、
伊那市、飯田市、富士見町、大鹿村(以上、長野県)、
静岡市、川根本町(以上、静岡県)
となっています。

エコパ伊奈ヶ湖

 伊奈ヶ湖は、北伊奈ヶ湖と南伊奈ヶ湖の総称です。また、南伊奈ヶ湖の隣に菖蒲池という小さい溜池があります。伊奈ヶ湖へ行くには、甲府盆地の西部の南アルプス市の「県民の森入り口」交差点をから県道108号を道なりに走り15分ほどで到着できます。急な坂を上りますが、甲府市街地からでも60分もかからず到着できるほど近い立地です。そして駐車場としてエコパ伊奈ヶ湖の駐車場を利用します。とくに今年からは駐車場が拡張され収容台数が増えました。

エコパ伊奈ヶ湖の駐車場

 エコパ伊奈ヶ湖は伊奈ヶ湖周辺の施設の管理運営している中心施設です。施設としては、ウッドビレッジ、レストハウス伊奈ヶ湖、森林科学館、グリーンロッジ(総合受付)、キャンプ場、BBQサイトとなっています。

キャンプなど利用者のための総合受付

展望台

 エコパ伊奈ヶ湖の総合受付のすぐ隣から展望台へ向かう道があります。

総合受付のすぐ隣に道が

 道は階段状にきれいに整備されていて、上ること5分ほど一段高い山の上へ着き、林の間を抜けると切り立った部分に展望台があります。

木々の向こうに展望台

 展望台はウッドデッキのような現代風ではなく、古い感じがします。しかし、見える景色は抜群で、櫛形山から甲府盆地が一望できます。

甲府盆地を一望

北伊奈ヶ湖

 北伊奈ヶ湖は北伊奈ヶ湖水辺公園となっていて、オートキャンプ場と管理棟があるだけです。湖畔には彫刻が配置されていて、南伊奈ヶ湖とは異なり静かな環境です。
 立ち寄っておりませんが、エコパ伊奈ヶ湖からは、すれ違いがやや困難な道を数百メートル進みます。上記画像で赤線に×印があるのは北伊奈ヶ湖へ進む道で冬季は閉鎖される旨の案内です。

左より北伊奈ヶ湖、南伊奈ヶ湖、菖蒲池

 北伊奈ヶ湖は、明治44年12月に開設された峡西電力の第二野之瀬発電所の水源として利用されていました。また、江戸時代にはすでに貯水池として北伊奈ヶ湖があったと記録にあるようです。

北伊奈ヶ湖方面への看板

 紅葉シーズンに訪れる人のほとんどは、南伊奈ヶ湖を目的にやってきます。以前北伊奈ヶ湖まで足を運んだ時は紅葉時期でも人は少なくたいへん静かでした。

北伊奈ヶ湖へ向かうためのゲート

 2022年公開の映画「ゆるキャン△」の来場者特典である冊子『ゆるキャン△13.5巻』に北伊奈ヶ湖が登場しています。エコパや森林科学館もそのまま描かれています。

特典冊子の『ゆるキャン△13.5巻』

南伊奈ヶ湖

 さて、紅葉で賑わう南伊奈ヶ湖へ向かいました。県道108号線沿いにあるためすぐに分かるのが南伊奈ヶ湖です。
 もともとは灌漑用の用水池として1955年(昭和25年)に8年の歳月と400万円の資金で完成しました。

県道108号線沿いの看板

 イロハモミジが有名ですが、猛暑や残暑が長かった影響からか、どこも紅葉の色づきは遅く一部では枯れているとも聞いています。見事に紅葉した木とまだこれから色づく木が混在しているような印象でした。
 南側の堰堤上の遊歩道から進み外周を一周しました。20分もあれば一周できるくらいの大きさです。

堰体上の遊歩道

 南側には菖蒲池というこちらも小さい溜池があります。菖蒲池へ降りる階段と歩道が整備されています。

菖蒲池
南伊奈ヶ湖の定番の景色
少し進んで別角度から撮影
堰堤上の対岸には色づいたイロハモミジ

 対岸からは木々の中に遊歩道が整備されていて進めます。途中には湧き水が流れ注いでいるところがあります。

けっこうな勢い流れてくる湧き水

 木々の間から時折湖面が見えます。

ところどころ覗く湖面
堰堤の方を望む
色づいたイロハモミジと湖面

 コブハクチョウがここの人気者です。このハクチョウは2012年(平成24年)山中湖村から2羽が贈られたそうで白丸ハクマル(オス)と白姫ハクヒメ(メス)といいますが、いまは白丸1羽しかいないようです。
 ハクチョウは1966年(昭和41年)に新潟県水原町から贈られたのが始まりで多い時には6羽もいたそうですが、野犬やキツネに襲われて数を減らしたそうです。

孤独に泳ぐコブハクチョウ

 ウッドデッキがあり、湖面近くへ降りられます。鯉が泳いているのが分かります。

餌をあげると集まる鯉

 南伊奈ヶ湖の碑がありました。昭和25年完成時のものでしょうか。詳細に確認ができませんでした。

南伊奈ヶ湖の碑

森林科学館

 昨年も見学していますが、エコパの奥にある建物が森林科学館です。南アルプス市が管理運営していて入櫛形山の自然について解説する展示施設です。見学は無料です。

木々に覆われた森林科学館の外観

 展示室のほかに研修室も備えているようです。
 スリッパに履き替えて入ったエントランスホールも展示室の一部となっています。

館内図

 ここにはピラミッドのように4面ある展示台で、紅葉、木の実、シカのツノ、カエルの解説をしています。
 紅葉の3の条件、水、日の光、温度差と解説があります。また、赤い葉と黄色い葉になる仕組みについても説明があります。

採取した落ち葉とともに

 こちらは、この周辺で採取できる木の実を解説しています。

見るとたくさんの木の実の種類があります

 シカのツノも落ちているのでしょうか、解説があります。

シカのツノ

 「エコパ伊奈ヶ湖のカエルとオタマジャマシ」という解説がちょっと目新しいです。タゴガエル、ヤマアカガエル、モリアオガエル、アズマヒキガエルと解説パネルがあります。

カエルの解説パネルとアカハラヤモリ(実物)

 さらにはカエルの天敵のアカハラヤモリについての解説があります。そして「さわらないで」とある水槽を見るとアカハラヤモリがいました。オタマジャクシを大好物にしているとは。

アカハラヤモリ

 展示室は、中央に森の大木と物植物のジオラマがあります。

展示室の概観

フクロウの剥製がありました。フクロウというとユニークなイメージを持ちますがけっこう大きく強い鳥です。

ジオラマの番人のようです。

 ジオラマには水の生き物たちです。

木の枝にオリアオガエルの卵

 ジオラマの反対側は森の生き物たちです。動物やキノコなどもあります。

タマゴダケやモグラも

 この櫛形山のでき方を解説したコーナーです。子ども用にやさしく解説したシートもテーブルに用意してある親切さです。

櫛形山のでき方を解説

 櫛形山の模型も健在です。伊奈ヶ湖場所や山の大きさが分かります。

櫛形山のジオラマ、伊奈ヶ湖は水色のところ

 シカ、カモシカ、タヌキ、キツネ、イノシシ、クマなど動物たちの剥製も健在です。

山の動物たち

おわりに

 キャンプブームのせいかキャンプ場には沢山の家族連れがテントを張り思い思いにくつろいでいました。ただ、三連休の最終日に訪れたため、伊奈ヶ湖も周辺の施設も思っていたほど混雑はしていませんでした。今年は本格的な紅葉はもう少しあとになるかもしれません。
 山梨というと昇仙峡や河口湖、西山渓谷などの紅葉が有名ですが、あまり観光地化されていない伊奈ヶ湖はお勧めの紅葉スポットです。

山の夕暮れは早い

参考URL
峡陽文庫「櫛形山と伊奈ヶ湖」
https://kaz794889.exblog.jp/17878238/ (2023.11.6閲覧)


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