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【伊奈ヶ湖】南アルプス市森林科学館と紅葉を訪ねて(2022.11.3)

はじめに

 今回訪ねた伊奈ヶ湖周は、県民の森と呼ばれる櫛形山の中腹に位置します。櫛形山は赤石山脈の前方にある山(前衛峰)で、日本二百名山のひとつに数えられています。
 山梨県は、櫛形山山麓に広がる953ヘクタールを県民の森として1968年(昭和43年)から保健休養林に指定しています。また、櫛形山は2014年(平成26年)に登録された南アルプスユネスコエコパークの一部でもあります。
 一方、南アルプス市森林科学館は、櫛形山の自然について解説する展示施設で、第1駐車場を兼ねるエコパ伊奈ヶ湖の施設のうちの一つです。

概略地図、緑色で示された森の右隅が伊奈ヶ湖の位置

伊奈ヶ湖

 伊奈ヶ湖へ行くには、甲府盆地の西部の南アルプス市の「県民の森入り口」交差点をから県道108号を道なりに走り15分ほどで到着できます。商店街の町並みから、交差点を入ると急な坂が始まり一気に山間部と変化します。
 伊奈ヶ湖は、南伊奈ヶ湖と北伊奈ヶ湖があります。また、南伊奈ヶ湖のすぐ隣に菖蒲池という小さな溜池があります。麓から上がってくると、南伊奈ヶ湖の横にトイレと第2駐車場がまず目につきますが、収容台数が少ないです。状況に応じてその先の第1駐車場を兼ねたエコパ伊奈ヶ湖へ進みます。

南伊奈ヶ湖の看板

 北伊奈ヶ湖は少し奥まったところにあり、オートキャンプ場と管理棟があるだけです。エコパ伊奈ヶ湖の敷地内のゲートから細い道を入っていくため訪れる人は少なめです。今回、筆者は北伊奈ヶ湖は訪ねておりません。
 ということで、紅葉見物は県道に面した南伊奈ヶ湖をほとんどの方が目的に来ます。

快晴のもと湖面に映る紅葉
水面が緑色

 紅葉の見ごろより少し早い感じはしますが、イロハモミジの赤と緑のコントラストが強い印象です。標高はおよそ900メートルのため、一日の寒暖差も激しいのだと思います。
 コブハクチョウがいて人気者になっています。2012年(平成24年)山中湖村から贈られたそうで白丸(ハクマル・オス)と白姫(ハクヒメ・メス)といいますが1羽しか見つけられませんでした。

やってきた、ハクマルかハクヒメか不明

 湖の周りは徒歩で一周できます。ゆっくり散策して30分くらいでしょうか。場所によって木々の色づきが異なります。

反対側にハクチョウ見物のデッキが見えます

南アルプスユネスコエコパーク

 ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)とは生態系を保全するとともに、自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域です。日本国内では10カ所が登録されています。
 この南アルプスユネスコエコパークは南アルプス国立公園を中心に3県の10市町村にまたがるもので、エリアは、
韮崎市、南アルプス市、北杜市、早川町(以上、山梨県)、
伊那市、飯田市、富士見町、大鹿村(以上、長野県)、
静岡市、川根本町(以上、静岡県)
となっていて、2014年(平成26年)に登録されました。

エコパ伊奈ヶ湖

 合併前は櫛形町が伊奈ヶ湖周辺の施設を運営していました。現在は町村合併により南アルプス市の運営になっています。2018年(平成30年)からはリニューアルされエコパ伊奈ヶ湖となっています。
 紅葉シーズンのピークには駐車場に入れないくらい混雑します。

ほぼ満車

 施設としては、ウッドビレッジ、レストハウス伊奈ヶ湖、森林科学館、グリーンロッジ(総合受付)、キャンプ場です。キャンプ場はさらに、オートキャンプ場が北伊奈ヶ湖湖畔に整備されています。
 北伊奈ヶ湖の周りは北伊奈ヶ湖水辺公園となっていて、オートキャンプ場のほか、周辺に彫刻が配置されています。前述のとおり、レストハウス横のゲートから細い道を入っていくため、人は少なく静かな雰囲気で自然を感じられるはずです。

森林科学館内のマップ
県道に面したグリーンロッジ
レストハウス伊奈ヶ湖

南アルプス市森林科学館

 南アルプス市森林科学館は、櫛形山の自然について解説する展示施設です。見学は無料です。エコパ伊奈ヶ湖と同じ南アルプス市の管理です。シーズン中は入館者が途絶えません。

木々に覆われた森林科学館の建物

 ちなみに、2022年(令和4年)夏に公開された映画「ゆるキャン△」の入場者特典「ゆるキャン△13.5巻」があります。そちらに伊奈ヶ湖キャンプのお話が収録されていて、リンちゃんが管理棟と間違えて入っていったのがこの森林科学館です。

ゆるキャン△13.5巻

 展示室は、中央に森の大木と物植物のジオラマがあって、取り囲むようにぐるっと一周して展示を見て回ります。

中央にあって存在感抜群

 櫛形山の模型は、現在地と山の大きさが分かります。

櫛形山のジオラマ、背後に広がる山に対して伊奈ヶ湖の小さいこと

 次に、櫛形山はアヤメの群生地ということもあり、アヤメを中心に植物の解説が続きます。

櫛形山はアヤメが有名です

 さらに進むと、この辺りで見られる植物と昆虫の標本箱があります。標本箱にはルーペが置いてあって親切です。

このあたりで見られる植物の解説

 最後は、シカ、カモシカなどの剥製が飾ってあります。
 はく製といえば、スタッフの方がムササビのはく製を紹介していて触らせてもらいました。飛ぶことに験を担いで太平洋戦争中はムササビの毛皮がパイロットの戦闘服に使われたとか。そんなエピソードもお聞きしました。

剥製たち

 エントランスにも展示があって山の形をした展示台に鹿の角とか木の実のこととか解説されています。

木の実の解説
鹿の角の解説

 この施設がはトイレのみの利用も可能です。トイレを借りたついででも、見ることができます。たいへん工夫されている感じがします。

おわりに

 森林科学館は、よくありがちな展示してそのままの施設かと思っていましたが違っていました。シーズンのためか入館者も多く、スタッフが展示室で積極的に案内していました。また、お子様への対応も慣れたものでした。
 入り口のチョークアートが季節の様子を紹介したり、随所に工夫が見て取れました。
 運営している市の姿勢の現れなのか、スタッフさんの努力の賜物なのかは変わりませんでしたが、ついでに立ち寄ってもがっかりさせない施設です。

チョークアートで迎えてくれます

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