【ひらしお源氏の館】碑林公園に隣接の木造展示施設
はじめに
市川三郷町に所在する大門碑林公園ですが、その隣には巨大な多目的ホールを備えた木造建築の展示施設があります。ひらしお源氏の館といいます。碑林公園と併せて1994年(平成6年)に建設したものです。
館内の展示としては書道に関するものや、旧市川大門町の特産である和紙や花火、地域の歴史など紹介するための施設だったようです。しかし、こちらは碑林公園以上に来館者は皆無です。合併後の生涯学習センターの完成により資料が移されたそうで見る物はジャンボ硯、筆、墨以外にはほとんどありません。こちらこそトンデモ博物館の扱いになりそうです。
平塩の岡
甲府盆地が見渡せるこの辺りは平塩の岡と呼ばれます。甲斐源氏の祖、源義光(新羅三郎義光)の三男(次男とも)源義清(1075年~1149年、承保2年~久安5年)が館を構えた地といわれます。
甲斐に土着したのは義清からのため、源義清が甲斐源氏の基を築いたともいわれます。
碑林公園から見える市川中学校のすぐ先に熊野神社がありその東側に「甲斐源氏旧蹟碑」があります。この碑は1885年(明治18年)三条実美の揮毫により、当時の郡長らによって建てられました。
ちなみに、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で八嶋智人さんが演じた甲斐源氏の頭領、武田信義は源義清の孫になります。
ひらしお源氏の館
ひらしお源氏の館ですが、正式名称を「文化と武道の館」といいます。となりの大門碑林公園と併せて1994年(平成6年)に建設されました。
碑林公園から徒歩ですぐに入れますが、別に車で侵入できる入口があります。
概観は正倉院の校倉造りをイメージした木造で屋根は銅板葺きです。
「文化と武道の館」ということから、多目的ホール(後述)は武道館と称しています。こうした部分に甲斐源氏を前面に出そうという苦心が感じられます。
しかし地域的に武道が盛んなわけではありません。なぜかコーラスグループが多く合唱が活発な地域です。多目的ホールの利用者はもっぱらコーラスグループのようです。
しかし所詮中国と書道の延長線でした。兵馬俑や麒麟の石像などが建物の周りを囲んでいます。
ジャンボ硯とエントランスホール
こちらの建物の見学は無料です。碑林公園で撮影するコスプレイヤーさんたちには着替えの場所としても提供されます。
エントランスを入りスリッパに履き替えます。こちらのほうも管理人さんがいて親切丁寧な方で説明してくださいます。
まず、嫌が応でもすぐに目に入るのがジャンボ硯、筆、墨です。この硯、筆、墨は中国で作られたものとのこと。これらを見せるための施設と言っても過言ではないです。
エントランスホールには、樹齢200年の杉の柱に使われています。産地が甲斐市(旧敷島町)であることや寄贈者の名前が記してあります。
この建物は杉・桧・米松・ひばを使用しているのですが、6割に山梨県産の杉を使用しているといいます。
市川和紙
エントランスホールの隣が展示室です。旧市川大門町の地場産業である手漉き和紙を写真パネルで紹介してます。昔は紙漉き体験などにもこの部屋を使っていたのかもしれません。
地場産業の和紙ですが、製紙会社は町内にあるのですが、手漉きで和紙を作っている工房は1件のみになってしまったといいます。エントランスホールには書道用の和紙を中心に製紙会社や工房の商品が並んでいて購入できます。
手漉きの名刺用紙です。剪定した葡萄の弦が練り込んであるものもあります。ほんのり葡萄の香りがします。
「風林火山墨」を売っています。結構なお値段です。
大門碑林公園の図録や解説書も扱っています。筆者もnote記事を書くにあたり参考文献にしました。(図書館で借りました。)
歴史旧跡
展示室では、和紙のほかに旧市川大門町の歴史旧跡を紹介しています。
神明の花火
旧市川大門町といえば、花火の町として有名です。毎年8月7日(花火の日)には全国的にも有名な神明の花火大会が行われます。
エントランスには花火の尺玉と過去の花火大会のポスターが掲示されています。
町内には市川三郷町花火資料館なる資料館もあるのですが、まだ訪問できておりません。
余談ですがNHK「ドキュメント72時間」で「山梨・花火専門店 静かな夏物語」(2021.9.21放送)が放送され、町内の花火の専門店が紹介されました。この店は前々から有名な専門店です。
2階展示室
2階の展示室へ向かう螺旋階段があるのですが、2階は現在は使われていないとのこと。かつての展示資料などは2020年(令和2年)に開館した図書館にアリーナや多目的室併設した生涯学習センターへ移動されたとのこと。同じような施設を令和の時代にも作ってしまったようです。
武道場(多目的ホール)
武道場(多目的ホール)はイベントやコーラスの練習などで使用されるそうです。管理人さんの厚意で開けて見せていただきました。
撮影を失念しましたが天井は日本三奇橋の一つ猿橋が山梨県大月市にある猿橋と同じ「押し出し工法」で柱を使わずに作られています。
猿橋ですが、両岸から少しずつ桁を重ねて前にせり出させて、橋脚を使わずに橋を架けています。猿が連なって橋を渡しているようにも見えることから猿橋の名があります。
大門碑林全国書道展
この建物が一番賑わうと思われるのが、書道展の作品展示会の時です。
書道の町として「大門碑林全国書道展」を行っており、2023年で29回目を数えます。最優秀作品は、碑にして碑林公園の「長寿坂」のところに残されます。
武道場はこの書道展の審査と応募作品の展示会場となっております。
おわりに
大門碑林公園に続いて、ひらしお源氏の館を紹介してまいりました。やや冷やかし気味の記事になっておりますが、碑林公園を訪れる機会があれば、ジャンボ硯を見に訪れてみてください。
なお、市川三郷町の「財政非常事態宣言」により、本年4月よりは公開をやめて貸しホールとしてのみの使用になるそうです。管理人もいなくなるとのことです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?