ーエルメスフォーラムでの美術鑑賞ー『Palais Coloré』エッセイ2024/1/9掲載
今年初の美術鑑賞•エルメスフォーラムへ。
銀座メゾンエルメスフォーラムで開催してしている
「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」へ伺いました。
今年初の展覧会鑑賞としてこちらを選んだ理由には、
能登半島の震災、翌日の飛行機事故の影響も少なからずありました。
メゾンエルメスフォーラムはご存知ですか?
エルメス財団が主催し、銀座エルメスのビルの上にある小さな展示会場です。
小さな規模ながらも、コンセプトに沿った素晴らしい展示がされていますので、
展示会が開催される度にチェックしています。
ガラスタイル張りから差し込む光もとても美しく、以前はよく撮影場所としても訪れていました。
メインのエルメスブティックも同ビル内にありますので、
一般的な美術館とは違う雰囲気があり、
エルメスならではの高級感も漂っていて独特の空気感を楽しめます。
そして、展示会を無料で公開しているということからもアート作品を通じて多くの人へメッセージを届けたい想いがある事を感じます。
今回の展示は二部構成で二期に分けて開催される展覧会であり、
私が鑑賞したのは、ダイアローグ1。
『新たな生』崔在銀(チェジェウン)展
韓国のアーティストの作品です。
地球規模の気候変動は生態系の変化を受けており、
地球環境におけるつかの間の漂よい人である人間の生やモノについてのアプローチを作品を通じて静かに突きつけられ、じわりと動揺させられる作品ばかりです。
自然が美しいからこそ、目の前の作品を眺めれば眺めるほど後ろめたさを感じるという、そんな気持ちにもさせられました。
また、今回の自然災害への畏怖の念も合間って、考えさせざるを得ませんでした。
本展のメインであろう作品、
白い珊瑚を用いた新作「White Death」
沖縄の珊瑚を集めた作品だそうです。
大小、形の異なる珊瑚の数々が、フロアに広がっています。
珊瑚そのものの放つメッセージが強いだけでなく、中心部には粉砕された鏡が散っています。
同じ目線、近寄ったり、遠ざかったり、そして2階のデッキから見下ろしたり、見方も様々。
自然光が差し込む会場だからこそ、ミラーの効果は視覚的にアートの美しさにもなり、
また覗き込むとミラーの破片に映り込んでしまう自らにハッとさせられたり。
思い思いに鑑賞方法を変えることも、メッセージの多様な受け取り方へ繋がる作品でした。
そして、実はチェジウンさんの作品が我が家にもあります。
もう何年もリビングに飾ってありますが、親交のあった夫がご本人に依頼して頂戴したものです。
カラフルでもないですし、強く主張するものでもなく、
静かに存在している印象を持っていました。
今回、展覧会で作品を拝見し、その展示のスケールの大きさから作品を体感し、
自宅にある作品の持つ意味がようやく分かりました。
作品との出会いの切り口は、そのタイミングやシチュエーションにより随分と変化するものです。
今回に関しては、私にとって良きタイミングで解釈する(腑に落ちる)体験となりました。
自宅にあるその一枚のアートが、どういうメッセージを讃えてそこに在るのか。
その事を考えるきっかけにもなりました。
なんとなく素敵ね‥
と、見ていたアート作品がその意味を知った瞬間から作品へ向ける意識が変わる。
そういう積み重ねが人生においては大事であることに改めて気がつきました。
最近は情報過多で大事な情報が分からなくなっていたり、
時には、意味なんてなくて、なんとなくでいいじゃない!!という
瞬間的に沸き起こる感情も大切にしたいですが、
意味を探究しつつ立ち止まって考えることも同時に大切にしていきたい。
写真でもらご紹介させて頂きますが、
作品の放つメッセージを肌で感じて頂けたらと思います。
宜しかったら足をお運びくださいね。
今年も私目線で、感じるままに美術館や美術展へ足を運び、その感想を共有出来たらと思っています。
サイトはこちらです。
作品の詳しい写真もありますので、見て見てくださいね。
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/231014/
(会期は終了しております)
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