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イギリスの学校 登校日初日 その3

英語もできないのに、親の転勤に伴い、小学校5年生でロンドンの地元の小学校に転入しました。これはその時のお話です。

昼休みが終わり午後の授業になりました。教科書がないので、なんの授業かわかりません。先生が黒板に数式を書き始めました。

黒板は日本の黒板のように教室の全面を使っているようなものではありません。会議用のホワイトボードを正方形にしたぐらいのサイズです。

先生は、足し算と引き算を全部で20問書き終わり、みんなに紙を配ります。

みんなは、黒板の計算問題を書き写し計算を始めました。足し算、引き算の書き方は同じ。私にもわかります。嬉々として黒板の式を書き写し、計算を始めました。

20問ぐらいですから、あっという間に終わってしまいます。でも、みんなはまだ計算中。

次にどうしたらいいのかわからないので、誰かが何かを始めるまで待って、様子を見ることにしました。

ようやく、ある生徒が紙を持って先生のところに行きました。

紙を先生に渡すと、先生がチェックしています。紙を返してもらったその子は席に戻りました。

私も真似をして、式と答えを書いた紙を持って、先生の席に行きました。黙って紙を差し出すと、先生はにっこりと受け取ってくれました。

そして、計算の確認。全部チェックが付きました。正解のはずなのに、丸を付けてくれません。全部チェックです。不思議そうな顔をする私に先生は身振りで伝えました。「席にもどっていいよ」でも、紙は返してくれません。

狐につつままれたような気がしながら手ぶらで自分の席に戻ります。

「この後どうする?」言葉がわかりませんから、みんなの様子を見ているしかありません。

別の子が、紙を先生にもっていきました。先生は私の紙を見ながら答え合わせしています。チェックはつけられましたが、全部正解だったのです。

その子も全問正解だったようで、手ぶらで席に戻り、好きなことを始めています。私も真似して自由時間です。


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