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【‘‘錯綜する投影’’】

ー『不滅のあなたへ』における、‘‘私’’についての論考-


私について、個人というものを主題において、ある時『不滅のあなたへ』というアニメ作品を鑑賞し、特別に感じることがありました。
『不滅のあなたへ』についてのあらすじとしては、不死身の肉体であり物体の性質を写し取る能力を持つ‘‘フシ’’という少年の物語であり、旅先であらゆる土地、そこで暮らす人たちとの交流の中で彼は人としてのアイデンティティーを確立していく。
まさに、現代人の私たちにとって‘‘個’’としての自分を捉える上では、非常に考えさせられる場面がいくつもあります。
フシが出会う人たちとの出会いや別れの中で、‘‘生’’や‘‘死’’というものを私たちが物語を通して体感することで、フシがより成熟していく姿に感動させられるのも本作の魅力だと言っても過言ではない。
‘‘生’’を受容し、‘‘死’’というものは誰にとっても避けられないということではありますが、その長い過程における‘‘生’’の存在は私たちを幸せに導いてくれるものだということを考えさせられるものがあります。
フシ自身の自らの‘‘経験’’というものは、鑑賞者である私たちにとっての自己成長にも繋がり、より幸福をもたらす力があることを本作から感じられました。具象とは別に、抽象的な概念を『不滅のあなたへ』という世界観として成立させ、伝達されたものは様々な解釈として読み解くことが出来ると思いました。
そして、前述に記した‘‘経験’’というものについて、経験から浮かび上がってくるもの、それは‘‘体験’’であります。
体験と経験について、この二つは似ているが、明らかに異なるものだと私は考えています。
例えば、疑似体験を通して、本や映画の世界の登場人物に自己投影させることで実際には経験出来ない感覚を体験することが出来るのは物語ならではの特性でありますし、様々な媒体でもそうですが、芸術全般的にも特性の持つ力は必ず存在するものだと感じます。
生の在り方を体験して、経験する。
そして、死の在り方を体験して、経験する。
体験と経験の積み重ねによって、私たちの答えは自ずと見つかるものだと私は思いました。
統合される体験と経験は新しい価値を生み出し、私たちに何をもたらすのだろうか。
全ては、ゼロから始めなければいけないと思った。

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