日記

 どこかに流されていきたい。丸太でできたボートに乗って、海の上に流されたい。私の意志じゃなく誰かの手で流されて、つまり私は何にも悪くない、サメに食われてもボートがひっくり返ってもそうやって死んでも誰かのせいにされる免罪符を持ちながら、ボートの上で正座して、荒れない海をぼーーーーーっと漂ってたい。何の象徴なのかもわからない白旗を揺らしながら。

 そんな馬鹿みたいなことを考えてもいられません。明日は病院です。いつも通っている病院じゃなくて、入院のための診察。
ぜーんぶ否定されたら、「あなたが悪いんですよ」って明らかに言っちゃいけないようなセリフを言われたら、あなたが入院なんか、とか言われたら、私は傷つけられた、って被害者になれて、死んでも納得されるのにとか考えてる。
 被害者になって哀れまれたい。しょうがないよねって言われたい。あなたは何も悪くないは何回も何回も聞いてきたセリフだけどそんなの嘘っぱちのでたらめにしか聞こえないから、明確な傷が欲しい。車に轢かれたり、ナイフで刺されたり。その傷で苦しむのは嫌だけど、苦しんでいる自分には優しくなれそう。
 入院したらひとりぼっちです。
 なんにも考えたくない。この文章を書いている時点で何かを考えてしまっているって証拠なんだけど。もう私を海にでも何でも流して放っておいてください。そうしたら勝手に死ぬから。私の中だけで私を許して安心できるから。

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