インタビューは恋のはじまり
はじめに
題名や記事内容に迷って、何度も何十回も書き直してたこの記事をやっと公開します。インタビューというのは、インタビュイーが居て初めてなりたちます。カメラマン、ライターたくさんの方の協力の結晶です。インタビューについて私一人では到底語れないと迷いつつも、2020年の特に下期の「大きな人生の経験」となったので、自己整理と今後に向けて、書き残したいと思います。
インタビューとは
私の考えるインタビューは対話から最高の魅力を引き出す事だとおもっています。『誕生、歴史、性能、効果、こころの動き、成長、変化、魅力、未来』そういった内容をインタビュイー・ライター・インタビュアーで一緒に言語化するのがインタビューです。
アニメや映画、本でも、起死回生の劇的なストーリーって魅力的でワクワクしますよね。人気者だったヒーローが力を失い自信も仲間も失い落ち込む。小さな出会いをきっかけに力を取り戻し悪と戦い世界を救うなんてワクワクです。インタビュー記事もそういった起死回生が求められます。しかしインタビュイーの経験から『言いたくない、言えない、そもそも語れるようなことも挫折もないよ』という気持ちもとってもわかります。
語れないことを無理に語ることはありません。「ものことひと」に携るストーリーはひとつではありません。インタビューのなかでインタビュアーが先導して、ここも魅力なのでは!?と気づくきっかけを作り「引き出す」のがインタビュアーの役割となります。
インタビュイーの選定方法
インタビュイーはどのように選定しているんですか?と聞かれたことがあります。ターゲットが求める情報をお話しいただける方かどうかがポイントになります。常日頃から触れるさまざまな情報をストックし、その情報から「いまだ!」というタイミングでインタビューすすめます。
でも正直『世界中の全人類にインタビューしたい』くらいな気持ちです。気にならない相手なんていないんです。このことについては後でお話しします。
インタビューは恋の始まり
1. 調査
インタビューをするにあたって、まずは調査をします。普段から触れている情報の中で気になるものはストックしておきます。どうして気になったのか、どういう切り口でお話しを聞きたいか、誰向けに発信するのかをある程度構想します。その情報をもって、編集部内に共有をします。
「こういう人がいてね。こういうことしててね。きっとこういう人の参考になると思うの。こういう切り口で聞きたいと思うんだけどどう思う?」
それに対して、編集部内で議論します。
「いいねいいね!それだったらこういうのも聞いてみたらどうかな?」
「以前お話しを伺った案件と似てしまうから差別化が難しいね。」
2. インタビュイー決定
編集部内で合意が取れたら、インタビュイーへ依頼をします。
「こういうお話しをどこどこに掲載させていただきたいのですが、お話しいただけますか?」
ご承諾いただけたら、スケジュール調整と想定質問の作成をします。
3. 徹底調査
構想を基に、徹底的に調査します。ホームページ、ネットショップ、他のインタビュー、動画、SNSなど、すみからすみまで、検索してはメモしてインプット、検索してはメモしてインプット、調べ終わる頃には、正直ゾッコンです。恋です。ただの片思いです。聞きたいことが山盛りで好奇心の塊です。「素直に聞けないけど、知りたい、聞きたい、話したい。ねほりはほり聞くなんて嫌われないかな、失礼にならないかな、しつこいって思われたらどうしよう~」なんて乙女心はそこにはありません。だってインタビューだもん!
4. 超徹底調査
さらに前日、A4の紙にひたすら書き出す「インプットアウトプット」の時間を作ります。大体1時間~おおくて2時間弱。調べた土台や構成はありつつも改めて相手の事を書き出します。
昨日のブログはこんなこと書いてる
趣味はこれかな、犬を飼ってるのね、新商品発表してる!ココ聞きたい!
インタビュー時、手元に質問表は置きますが、無機質に投げるのではなく、対話を大切にしたいと思っています。そのためにも会話の引き出しをいっぱ位にしておきたいのです。メモはインタビュー前のアイスブレイクや余談にも役立ちます。創作のマストアイテム|バインダーとコピー用紙でも書いたように、私は書くことで整理でき、記憶できるのでこの方法が一番まっちしています。
インタビューは駆け引き
インタビューって駆け引きだなって思うんです。
知りたいことを相手が答えてくれるか。質問の意図がしっかり伝わるか。
もちろん想定外の回答が返ってくる場合もあります。想定外の回答がきたらさらにそこについて掘り下げ、答えに隠れているおもしろキーワードを深掘りするなど、もぉ完全に駆け引きです。ときどき、回答がとても淡白なかたもいらっしゃいます。質問に対し「そうですね。はい。いいえ。そんなことないです。」会話が弾まない、表情も読めない内心ドキドキ、ドキドキ、くぅもどかしい、ハラハラしちゃうぅぅぅ!と思いつつ、そこで役立つのが前章にも記載した手書きメモです。打ち解け大作戦です。
Instagramみました!誕生日だったんですね
新商品のお菓子、ものすごいかわいいですね
旅行にいかれてたんですね
それに加え、こういう回答が欲しいという回答を「それはこういうことですか?」とうように、回答を言語化し質問で投げかけると、思いを話し始めてくださいます。
気にならない相手なんていない
最初にお話しした、気にならない人なんていないというのは、語ることがないヒトなんていないということ。
つまらない人生なんです平凡な中学時代で
部活は何をしてたの?
うどん部です
うどん部!!!???
知りたいことだらけですね。なので、インタビューは100人いたら100人にできる、100人全員が語れるものです。私はその思いや考えを引き出すきっかけのワードをぽんぽんと投げかけているだけなんです。
苦戦
本来なら、対面でお話しをうかがいたいところですが、2020年コロナ渦で実際に足を運ぶことはできませんでした。しかしリモートだからこそ、日本中の方にお話しを伺うことができました。今日は秋田で明日は鹿児島、午前中群馬で午後から山形。ネットをつなげばすぐにお会いできました。
しかーし
苦戦したのが回線です。たまにフリーズ、なかなかお互い聞き取れない。タイムラグがあるなんて言うことも起こりました。インタビュー中は文字起こしのために録画をしているので、聞き取れんかったところはあとでメールやお電話で伺えるのですが、会話のテンポやリズムがバラけるのにはなかなか苦戦しました。
最高の褒め言葉
さてさて、今回の記事はなかなか長いね。
インタビュイーさまからいただいた言葉で最高に印象的な言葉があります。それはお話しの最後に照れ笑いながら「初めて話しちゃったこともたくさんありましたよ」という言葉です。
「それって心を許して信用してくださって、楽しくお話しいただけたってこと―!?」と小躍りしたいくらい、私の中で最高の褒め言葉でした。
まとめ
さて、まとめ~。
インタビューは恋をすることです。相手の最高に素敵でかっこいいポイントを引き出すための案内人がインタビュアーなのかもしれません。
あとがき
2015年にGMOペパボに入社し、1年間で名刺バインダーにリフィルを追加するくらいたくさんのインタビューを受けました。とある取材の後、メインインタビュイーが「今までたくさん取材していただいたけど、今日のインタビューが一番話しやすかった。僕話過ぎちゃってない?」と言いました。同感でしたが、その言葉に嫉妬の様な、焦りのような不思議な感情がぴったりとくっつきました。その日に限って取材場所は人が往来する賑やかなオープンスペース。時間も60分ぴったりだったのに、物凄く濃い時間に感じたのです。数年後、今まで色んなお仕事をしてきたねとランチタイムにお話しをしていたところ、そのインタビュアーのお話しになりました。
早すぎず遅すぎず、穏やかだけどワクワクするペーストトーンに惹きこまれた時間。いまでもインタビュー前後、その方の事を思い出します。私もいつかそういったインタビュアーになりたい、そう思っています。
このエントリーは、
GMOペパボ ディレクター Advent Calendar 2020に参加しています。
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