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【日々のエッセイ217】陣馬山から高尾山、縦走。

天気予報では晴れだった。

再び陣馬山〜高尾山を結ぶ奥高尾の縦走に挑戦。(1回目はスマホを落として退散)

朝6:50頃に藤野駅に到着。登山口へのバスは始発が7:25で歩いても30分程度とのことだったので登山口まで歩く。

天気予報に反して、どんよりとした曇り空。

このあと晴れたら良いなと願いつつ登山開始。特にトラブルもなく一時間半ほどかけて、陣馬山の山頂に到着。

山頂で見た空は晴れるどころか、ますます曇って雨まで降りそう。

「陣馬山の山頂は360度の景観が楽しめる」と聞いて楽しみにしていたけれど、遠くの方にぼんやりと高層ビルの影らしきものが見えるだけ。

景色の写真はイマイチなので、陣馬山の山頂にそびえる像の写真を撮った。真っ白い、四本足のオブジェクト。調べてみたら白馬らしい。言われなきゃわからないけど。

とにかく今日の写真はこの一枚。

しかしこの日は山頂がスタートライン。

天気の悪さを嘆いてばかりいられない。この写真を撮った陣馬山の山頂から高尾山まで、17.5キロの山道を歩かなきゃならない。2019年最後の山歩き。

道のりは長いものの途中の峠に休憩できる場所がたくさんあった。道の分岐にも看板が建てられているから見落とさなければ迷うこともなさそう。

「キツい道のりかと思ったけどこれなら安心かな」などと、余裕ぶって歩く。

疲労で歩けなくならないようにこまめに休憩と水分補給、チョコレートとラムネを噛み砕きつつ。

まだ紅葉の残る秋の山道がキレイで気分は悪くない。

とは言え4時起きで歩き続ければ、眠い。
眠気と疲労で少しずつ、集中力が切れていく。

何度も何度も木の根につまずく。ザックの重さで肩は痛む。汗が冷えて身体が冷たい。歩けば歩くほど汗をかく。

秋の名残りはキレイでも、疲れと眠気でだんだん視界に入らなくなる。寝不足で頭も痛い。ボーッとする。

「なんでこんなことしてんだっけ」

ついにそんなことを考える。誰かに縦走を強要されたわけでもないのに。

もう帰って熱いシャワーを浴びてすぐに寝たい。なんでこんなにアップダウンを繰り返すんだ? 標高の低い地点へ向かうはずなのに。こんな大変なら縦走はもういいや。すごく疲れる。帰って寝たい山登りはやっぱり向いてなかった。もう二度と歩くものか…等々。

眠気と疲労でネガティブな考えばかり浮かんで来る。それでもゴールまで歩かなければ終わらない。

何度もアップダウンを繰り返し、長い長い階段を越え、もみじ台を過ぎて、ついに見慣れた高尾山の山頂に辿り着く。

文章にしたら一瞬だけど、陣馬山から約5時間。駅から合わせて換算すれば7時間歩いている。

見慣れた高尾山の山頂もやっぱり曇りで、景色もぼんやりとして全然見えない。

けれど気分は最高だった。

誰に強要されたワケでもなく、自分で決めたルートを自分の足で歩き抜く。休日に早起きして準備をしていると「めんどくさいな行くのやめようかな」と後ろ向きに考えるし、長い距離を歩いていると「何の為にこんなことを! もう二度と歩くもんか!」なんて自分の判断に憤ったりする。

けれどゴールで待っているのは、最高の達成感と満足感。運が良ければ高所の絶景。

疲労もネガティブな考えも、何もかも吹き飛んで消える。これが味わえるから山に登るのは楽しいんだ、と改めて実感した。

写真は、曇り空の陣馬山で撮った白馬のオブジェクト。全然良い写真じゃなくても、私にとっての記念の一枚。

「もう二度と歩くものか」と考えていたクセに、その日の夜は布団に入りながら「また今度同じルートを歩こう」なんて調子の良いことを考えていた。

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また新しい山に登ります。