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出版の「ゴール」はどこにあるのか

こんにちは。
編集者で出版コンサルタントの我妻(あづま)かほりです。
先週の初夏の陽気から一転、今週は肌寒いですね。
雨も降っているし、今が何月かよくわからなくなってくるような気も……。
寒暖差が激しいので皆さんも体調にはお気をつけくださいね。


作品を完成させてからが
本当のスタート

仕事柄「出版したいです」という人にたくさんお会いしますが、出版した後のことを考えている人は意外と少ないと感じています。

出版できれば自分の夢を実現できる!という人や、企画を考えたり原稿を書くことで精一杯、先のことは考えられません……という人が多いのではないでしょうか。

これは「出版する」=書籍を完成させることがゴールになっているからだと思います。

もちろん、出版においては作品が完成することは一つのゴールではあります。
自分の考えていること、伝えたいことが書籍というカタチになるのは心から感激するでしょう。
出版する際はぜひ、その喜びをかみしめてほしいです。
そしてカタチにするだけならば、ここで目標達成、めでたし、めでたし。

ですが、商業出版に関していえば、作品が完成してからが本当のスタートといってもいいでしょう。
市場に出て、どれくらい多くの読者を獲得できるかが評価の対象になってくるからです。

シビアな話ですが、商業出版はビジネスです。
出版社が著者のコンテンツやメソッドに投資して作品を作って販売します。
当然、作っただけでは投資した金額を回収できず、作品が売れてはじめて利益がでます。

出版は「作って広める」の合わせ技

作品を売るのは出版社ですが、作品を広める努力は著者にも求められます。
著者は原稿を書いて役目が終わり、というわけではないんです。

実際にあった、あるビジネス実用本の著者の話です。

知り合いの編集者から声がかかり、思いがけず商業出版をすることに。
嬉しくて原稿も早めに仕上げ、編集者の評価もよく自分としては自信作ができた。
出来上がった作品は自分の手を離れたのであとは出版社にお任せ。
自分では特に外部に向けて宣伝や販促はせず、不定期更新のブログで記事を書くのみ。
結果、売上は芳しくなく、出版社側から「もっとしっかり販促してください」と苦言を呈されることに。

この著者の方は、出版社側からオファーがあったので「原稿を書くまでが自分の役目」と捉えていたようです。
出版社側としてはもっと積極的に広めてくれることを期待していたということでしょう。
その後のことはわかりませんが、発売から時間が経っているので多分巻き返すことはできなかったのではないでしょうか。

出版は「書籍を作る」と「一人でも多くの人に広める」がセットです。
それを著者側も理解していれば、もっと打ち手はあったと思います。

本の企画や内容はいうまでもありませんが、どうやって広めていくかということも超重要。

商業出版のゴールは本が出来上がった先にあるということを知っておいてくださいね。

この記事があなたの出版活動の参考になればうれしいです。

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THE BOWDIES「STAND!」

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