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おばあちゃんと私の二十四・五日

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「おばあちゃんと過ごした日々を振り返ると、その長さは大凡二十四・五日程度だと気付く」亡くなった祖母との真夏の備忘録(完結済)
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2020年7月の記事一覧

25:おばあちゃんにしてあげたかった四つのコト

 最後に見たおばあちゃんの姿を、未だ忘れられずに居る。  記憶の更新が止まっているのだから、当然かもしれない。  永遠に上書きされない『おばあちゃんとの思い出』は古い物から崩れて消えてしまうけれど、新しい物はそこそこ鮮明に残っているのだ。だから別れ際のおばあちゃんも、そこそこ強く残っている。  震える手でしがみつく姿が記憶から無くなるのは、きっとずっと先だろう。  途中で親戚連中に対する愚痴のようなものを挟んでしまった(特に最後の五記事は我ながら酷かった)けれど、注意して

24.5:最後の対顔(下-2)

 前回までの話。 『22:最後の対顔(上)』 『23:最後の対顔(中)』 『24:最後の対顔(下-1)』  これまでの話。  おばあちゃんと母と私。三人きりの時間は、オマケと成り果てた『介護と財産についての話し合い』から父が帰って来たことで終わりを告げる。時間は一九時近くだった。 「今夜は俺が、ばあさんの家に泊まるから。二人はホテルに戻って休んで。チェックアウトとか、後は色々頼んだよ」  他の人達はどうしたのかと問えば、純子と陽子は旅館で食事、佳子はホテルへ帰り、冨美子

24:最後の対顔(下-1)

 前回までの話。 『22:最後の対顔(上)』 『23:最後の対顔(中)』  これまでの話。  私達家族がホテルに宿泊している事実に、悪魔が非常に不満を感じ、激怒している。  父からそう聞かされていたけれど、玄関先に出てきた悪魔──三女・陽子は今まで見たことのない満面の笑みで我々を出迎えた。  序でに、後から現れた次女・純子も朗らかそうな笑顔を浮かべている。  あまりの歓迎っぷりに、私はやや引いた。否、だいぶ引いた。  と言うより気味が悪かった。何でこの二人、こんなに笑