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空間に情報を残せたら


1.きっかけ

仕事でジブリパークを横切る際に、YouTubeMusicから『ルージュの伝言』が流れた。

完全に偶然なのだが、あまりにもピッタリのタイミングで驚いてしまった。
思わず後輩に「場所に合わせて自動的に曲を選んでくれるの?」と聞いてしまった。

2.車輪の再開発

そこで、雑談交じりに「特定の場所で曲を再生してくれるアプリがあったら良いな」といった話をした。
アーティストが曲をイメージした場所で楽曲を聴けたらエモい体験になると思ったからだ。
音楽と場所と紐づけたサービスは見たことがない。
そう考えたのだが、似たサービスは検索するとすぐにヒットした。
しかも3年前にリリース済みである。
(完全に車輪の再発明になるところだった)

場所に音楽を置くというアイデア。
こちらのアプリでは好きな場所と、好きな音楽を共有できるというもの。
好きな音楽を入力すると、オススメの場所を紹介してくれる。
理想が既に実現化されているのを知って驚いた。
ただ、残念ながら普及度は今一つで、SNS(Twitter)の更新も半年前から止まっていた。

正直、自分の願望としては、茅ケ崎に行けばサザンの曲が再生されたり、ゲートブリッジを車で渡ると眺めの良い箇所でサビが流れるようなものが欲しい。
著作権などを無視した意見なのだが、移動中に音楽と繋がる体験をしてみたいのが本音だ。
評価の高いプレイリストも表示してくれると面白いと思う。

ちなみにplacyは2023年頃に停止。
場所と結びつくアプリは意外と需要が低いようだ。

2024.02.12追記
舞台めぐりというSONYが開発したアプリを見つけた。
アニメの聖地へ行くと、カメラ上にARでキャラクターが表示されるというものだ。
2023年10月2日(月)でサービスが終了してしまったが、VRが普及した後に再度リリースしたら面白いと思う。
キャラだけでなく、アニメの風景も画面上に重ねられたら満足度が上がるはずだ。
さらに、ユーザーの動きにリアルタイムでキャラクター合成できれば、オリジナル動画も作れるようになる。
聖地巡礼しつつ、本人も新しい映像を生み出すことができるのだ。

3.似たようなアイデアのSFがあった

色々とアイデアを膨らましていくうちに、似たようなSFがあったことを思い出した。

SF短編集に収録された『アトラクタの奏でる音楽』という作品。
舞台は拡張現実が普及した未来。

今時の拡張端末は、検索深度を設定することでログや拡張情報の表示量を調整できる。
鳴佳の普段の設定はノード13前後、2以上ではうるさすぎる。
ノード3なんて、河原町がログと情報でぎゅうぎゅう詰めになるくらいだろう。視界は完全に 遮られ、音も混じり合ってまともに聞こえないんじゃないだろうか。

アトラクタの奏でる音楽

この世界では路上ライブをログとして空間に残しておくことができ、検索深度を変えることでARの情報量を可変することができる。
先ほど挙げたPlacyというアプリも、この作品に通じる部分があると思う。
ライブ映像がホログラムとして残るのは地縛霊のようで不気味かもしれないが、場所と音楽の紐づけというコンセプトは一致している。
もしかすると、Placyの開発者もこの作品を読んだのかもしれない。

4.音楽がダメなら映像で

音楽は既に先行した例があるので、今度は映像Ver.を考えたいと思う。
既に看板のAR化は実用化されているが、あまり普及はしていない。
理由は感情を動かすエモさが足りないからだと思う。
あとは、わざわざスマフォを手にしてアプリを立ち上げる煩わしさも大きい。
そうなると、ARの使い道は空間記録だと思う。
記念に撮った映像と場所を紐付けるのだ。
つまり、特定の場所に行くと過去の自分に出会えるというものだ。

人生のイベントを場所と一緒に保管できれば、立体的なタイムカプセルのように思い出を保存することができる。

  • 廃校になる母校で、かつての文化祭で演奏する自分の姿を見つめたり

  • 若い頃の両親が新築の家の前でほほ笑む姿を見てみたり

  • 若い頃の自分の姿を老人になってから振り返ったり

『平成狸合戦ぽんぽこ』のラストで昔の多摩の風景を再現した狸たちを見て思いついたのだが、どうだろうか?
自分としては、結構エモいと思うのだが。




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