読書の秋に読んだ本
読書の秋ということで10月に読んだ本をサラッとレビューしていく。
伴名練さんのSF作品もガッツリ読んだのが、それは別の記事でまとめたい。
1.人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた
イケメン俳優推しの男性によるコラム。
『推しエコノミー』を読んで「推し」というモノの正体を知りたくて読んでみた。
推しに対する賞賛の言葉が表現豊かに語られており、自分の感情を分析しているのが面白かった。
この本を読めば、推し活にハマる人のことを理解できるようになると思う。
2.ヤンキー化する日本
ヤンキー文化論に関する本。
帯にある「この国は気合いで動いている」という悪夢のような言葉に納得させられる内容。
芸術家・タレント・建築家といった様々な文化人と対話形式になっており、
各々の分野にあるヤンキー性を語っている。
冗談みたいなタイトルだが、否定できない事実の積み重ねに、頷かざるを得ない。
日本人に対する解像度を少し上げてくれると思う。
3.コンテンツ・ボーダーレス
韓流が如何にして世界を席巻するようになったか。
グローバルなコンテンツ戦略の本。
『推しエコノミー』の作者が推薦していたので読んでみた。
『冬のソナタ』辺りから韓流を目にするようになったが、
韓国が30年かけて今の人気を作り上げたという事実には驚かされた。
世界各国の情報を吸い上げ、コンテンツを作る際は「国内向け」か「世界向け」かを決めてから制作に移る。
国が本気を出してコンテンツ産業をバックアップする姿勢は素晴らしいと思った。
日本も国内でクールジャパンを叫んでいる場合じゃない。
4.セゾン 堤清二が見た未来
無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、吉野家。
セゾングループを作った堤清二の物語。
時代をセンスで駆け抜けた姿に痺れる、憧れる。
自分は『ブルーピリオド』の1コマで彼の存在を知った。
(自分の知識は大体マンガで作られている)
セゾン文化で百貨店の中に美術館を作ったり、日本人の美意識を変えようとしていたことを初めて知った。
こういうところは、茶器に価値を与えた千利休に通じるところがあると思う。
特に印象に残ったのが、海外ブランドを輸入して百貨店業を大きくしたセゾングループが、ブランド名をアピールしない無印良品を作ったことだ。
過去の成功法則を否定して、真逆の創造に繋げる戦略には驚かされた。
5.メリーゴーランド
民間出身の市役所職員が第三セクター(遊園地)を立て直す話。
ジャンルは半沢直樹のようなお仕事小説だが、ビターな現実が描かれていてる。
とにかく余計な仕事をせずに、前例主義に走る同僚と、足をひっぱる上層部達。
予算もなく、立地の悪い場所にどうやったら人を集めるかがキモになっていく。
雁字搦めの組織の中で、個人がいかに自分の仕事に意味を見出せるか。
テーマの見せ方と描き方がとても上手い。
個人的には今年読んだ小説ではダントツに面白かった。
ラストシーンは久しぶりに感動で震えた。
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