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劉慈欣くんさぁ…

『三体Ⅲ 死神永生』を読了したので、思ったことを綴りたいと思う。
※ネタバレ注意。
内容としては、深い考察はハードルが高過ぎるので
「劉慈欣くん、趣味ダダ漏れしてるよね」というツッコミ中心で書いていく。
ちなみに第一部の『三体Ⅰ』は1年以上前に読んだので、割愛する。

まずは『三体Ⅱ 黒暗森林』から

1.羅輯のギャルゲーパート

人類のリソースを自由に使えるようになった第2部の主人公。
何を始めるかと思ったら、いきなり「俺の想像する理想の嫁を見つけてくれ」と無茶振りを言い出す。
結果として妄想通りの子が見つかるのだが、イチャイチャ描写が意外と長い。
ルーヴル美術館を貸し切ってモナリザを観るシーンは、動画映えして良いと思うが、村上春樹風の台詞回しは読んでいて恥ずかしくなってくる。
作者は新海誠のファンらしいが、そもそも新海誠作品が村上春樹テイストなので仕方ないかもしれない。
特に、主人公と元カノ(小説家)とのやりとりは『ノルウェイの森』っぽいので、注目して読んで欲しい。

2.羅輯と史強のカップリング

敵から命を狙われる主人公と、それを守る史強。
元警察官の肉体派が、インテリプレイボーイの主人公を警護するという構図は完全に特定の層を狙い撃ちしている。
2人とも既婚なのだが、『BANANAFISH』のような友情が芽生えるせいでギャルゲーパートよりも深い絆を感じてしまう。
この関係のせいで「三体ⅡはBL」という迷言がSNS上で見受けれるが、あながち間違っていないと思う。
まぁ、LGBTが世界中で意識されている世の中なので先進的な意図は感じる。
作者が意図しているかは分からないが。

3.破壁人

フツーにみんながツッコミを入れている件なのだが、敢えて1対1で面壁者へ戦いを挑む破壁人。わざわざ担当を付ける理由は最後までよく分からない。

とりあえず分かることは、三体星人は絶対この勝負を楽しんでる。
人類を虫ケラ扱いする割には、演出に拘りすぎ。
特に秦の始皇帝が三体世界で任務を命じるところは、少年漫画でよく見るシチュエーションなので笑ってしまった。
ただ、1対1で味方と敵が戦うシチュエーションは現実的でなくても、話として最高に盛り上がるのでアリだと思う。
敵が人類側の計画を暴く前に

「私はあなたの破壁人です」

と告げるところも、推理モノっぽくてカッコいい。
SFに推理要素をぶち込むところも、エンタメを意識していて良い。

取り敢えず『三体Ⅱ 黒暗森林』については以上。

次は『三体Ⅲ 死神永生』にいて。
主人公の程心は前作の羅輯と比べて、あまり好きになれなかった。
責任感はあるのだが、肝心なところで判断をミスするせいで、読んでいてイライラした。(人類滅びるレベルのミス数回)

主人公を敢えて女性へ変えた理由は疑問だが、カップリングの意味では大切であることを読了後に気づいた。

4.程心とAAのカップリング

前作とは違い、今度は女性✖️女性の友情が描かれる。
主人公の相棒のAAは、パートナーが居るのに主人公と一緒にコールドスリープしたり、自分の会社を上げたり、結構愛が重い。
「もう血縁関係以上の絆だろ」と言うくらい、主人公と最後まで行動する。
「三体Ⅲは百合」という迷言をSNS上で目にするのも納得である。
女の友情というよりは共依存な気もする。

5.天明のストーキング

主人公の同級生。余命数ヶ月のところで大金が手に入り、主人公に星をプレゼントする。
主人公へ片想いしているが、最後まで直接会うことはなかった。
(陰キャにも優しくしてる程心の描写がやたらとリアルだった)
概ね害のない人間のように思えるのだが、
智子を使用して、主人公の生活を観察していたことが判明する。

「全部知ってるよ。僕はいつも君と一緒だったんだから」

主人公は「自分の苦難を共有してくれてたんだ」と感動しているが
「好きな子の生活を24時間ストーキングしてただけでは?」と心の中で突っ込んでしまった。
これは素直に感動するべきところなのだろうか。
グローバルな意見を聞きたいところだ。

6.日本刀忍者スタイル智子

作者の趣味を抑えきれなかったキャラ部門第一位。
スーパーコンピュータの智子にボディを与えて、和服で茶道させたり、日本刀を振り回す始末。
日本人として「劉慈欣くんさぁ…そういうところオタク心分かっててズルいよ?」と言いたくなるキャラ。
中身は三体人なので人類に対しては無慈悲なのだが、主人公にだけは稀に優しくするのがズルい。
最後まで魅せシーンがあるし、絶対作者のお気に入り。
着物を着てた理由も、日本刀を愛用している理由も最後まで不明だったが、
『攻殻機動隊』や『ニーアオートマタ』とか好きなんだろうなという思いが伝わってきた。
やっぱり作者の性癖ダダ漏れキャラは魅力があって良い。

最後になるが、程心✖️智子というカップリングを自分は推したい。

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