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『マインドコントロール』書籍まとめ(前編)

最近、宗教系の本をKindleで買い漁っていたら、オススメに出てきた本。
高評価だったので読んでみたら、想像以上に面白かった。
マインドコントロールの歴史から、技法まで分かりやすく解説している。
カルト宗教やオンラインサロンに興味のある人は読んで後悔はないだろう。
洗脳する側、される側の性質を知る事ができる。

1.なぜ彼らはテロリストになったか

この章ではマインドコントロールによってテロリストを起こした人たちを分析している。
まずは、意外だった点について。

  • テロリストたちは、生きることが困難で将来にも期待のもてない貧困層の出身者よりも、むしろ裕福で恵まれたエリート階級の出身者に多く、高学歴で、医師やエンジニアなどの専門技能を必要とする職業に就いていた。

  • アルカイダのテロリストを調査した研究によると、彼らのうちの四分の三には配偶者がいて、3分の2には子どもがいた。

2.マインドコントロールはなぜ可能なのか

ここでは昨今ニュースで話題になっている霊感商法について触れている。
霊感商法とは、先祖の霊が苦しんでいるなどと不安を搔き立て、それを鎮めることができると称して印鑑や壺、多宝塔などを、売りつける商法である。
昭和58年には恐喝罪に問われる事件が発生しており、判決の中で販売勧誘マニュアルが明らかになった。

①「印相協会」を名乗って戸別訪問をし、手相を見せてもらう。
②手相を褒めた上で問題を指摘し、名前が悪いのかも知れないと話して姓名判断を行う。
③相手方だけでなく家族の姓名判断も行い、相手方の家庭における最大の問題を探し出す。
④問題点を指摘し、開運方法として印章の話題を持ち出し、相手方が使っている印章を見せてもらう。
⑤印相鑑定を行い、印相が悪いと指摘する。
⑥霊界の話題を出し、先祖供養の必要性を説いて印章を新しく作るよう勧める。
⑦3、4、7、 12、 21、 40 といった数字に意味があるといった話をしながら、高額な値段から提示し、印章の購入に持ち込む。

マインドコントロール

手相を見せてもらうという行為は、スキンシップを伴い、相手に対する愛着や信頼が芽生えやすい。
しかも、手相という形で刻まれた自分の内面や性格や運命といったものを、相手に委ねることにより、相手に主導権を与えることになる。
※パーソナリティの傾向からすると、初対面の相手に、手相や名前を見てもらうという人では、警戒心があまりなく、相手の求めに応じやすい依存性の傾向が高い人である。

ターゲットに関しては、都市部の住人よりも、警戒心をもたない地方の住人、特に人のいい高齢者が狙われた

ここで駆使された技法に関してはイエス・セットが用いられた。
相手がイエスと答えるように質問をすることで、相手は自分がとても理解されていると感じ、こちらの言うことに何でもイエスと答えてしまうようになる。
(相手がイエスと答える質問をすることが、成功のポイント)

3.なぜ、あなたは騙されやすいのか

主体的に考えることを許さず、絶対的な受動状態を作り出すことが、マインド・コントロールの基本である。
マインドコントロールされやすい要因については以下のものが上げられる。

  1. 依存的なパーソナリティ
    自分にとって明らかに不利益なことや、自分の意志に反することでも受け入れてしまう「優柔不断さと依存心」を持っている。

  2. 高い被暗示性
    人の言葉を真に受けやすく影響されやすい。
    情報を選別して、自分で意思決定するということ自体に慣れていない。
    (一般人口の約4分の1の人は、催眠にかかりやすく、約4分の1の人は、非常にかかりにくい)

  3. バランスの悪い自己愛
    現実の生活に不満を抱え、同時に、偉大な目的を求めているという心理構造を抱えている人間はコントロールされやすい。

  4. 現代及び過去のストレス
    元々しっかりしているとみられていた人でも、挫折や病気、離別や経済的苦境といったことによって心が弱っているときには、マインド・コントロールを受けやすくなる。
    洗脳を施そうとする者は、ターゲットとなる人物が、心のうちに抱えている不満や怒り、罪悪感、挫折感といった葛藤を嗅ぎだすと、それを煽り立て、燃え上がらせようとする。

  5. 支持環境の弱さ
    孤立や精神的な支えの乏しさが、マインド・コントロールを容易にする。
    かつて新左翼のセクトやカルト宗教がターゲットとしたのは、地方から都会へ出て来て一人暮らしを始めたばかりの青年たちだった

一方、過酷な環境に隔離され、拷問を加えられ、思想改造や洗脳を受けた場合でも、信念を貫き、マインド・コントロールを免れる人もいる。
彼らに共通することは、しっかりとした所属意識をもち、それと一体のものとして、揺るぎない信仰や信念を身に着けていたことである。

アウシュビッツ収容所を生き延びた精神科医のヴィクトル・フランクルは、彼が絶望せずに生き延びることができた要因の一つとして、絶えず心の中で妻と対話していたことを挙げている。
酷寒の中、何時間も立たされながらも、彼はそのひどい状況について、妻に冗談交じりに話して聞かせていたと言う。
だが、その妻はすでに亡くなっていた。

マインドコントロール

前編のまとめは以上である。
後半では、マインドコントロールの歴史と技術について要約していく。

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