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書籍レビュー

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本を読んで学んだ知識や、普段思ったことをまとめます。
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#日記

今こそビジネスマンは『おぢいさんのランプ』を読むべきかもしれない

『ごんぎつね』『手袋を買いに』で有名な新美南吉の作品。 多くの人は教科書でしか読む機会のない作家だと思う。 (自分もそうだった) 自分はたまたまSNS上でこの作品を知り、読むに至った。 80年前の作品だが、物事の本質を突いた作品なので紹介したい。 この先はネタバレありで書評をしてきたいと思う。 1.未知との遭遇この話は、技術の進歩によって職を失う人間の心情をリアルに描いている。 巳之助(主人公)は、町でランプの存在を知り、行燈の時代が終わることを知る。 文明開花を肌で感

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2024.02)

01.活字本01.ヘブンメイカー 人気ホラー作家の描く異世界モノ。 異世界へ行った者は10個の願いを叶えることができるのだが、話の広げ方が面白い。 なろう系のような設定でありながら、1つ1つのエピソードに厚みを感じた。 宗教問題や民族差別といった要素も上手に組み込んでいると思う。 02.世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ 少し前に話題になったビジネス本。 タイトルは胡散臭いが、ビジネスにおける美意識の必要性をロジカル

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.11)

01.活字本01.アマニタ・パンセリナ 中島らものヤク中エッセイ。 今風に言うと『麻薬を色々やってみた』系。 作者はアル中として有名だが、薬物にも造詣が深いことに驚いた。 また、色々な薬物に手を出しながら、シャブだけは否定するところに優しさを感じた。 ペヨーテ(幻覚剤)の為に買ったサボテンに愛着を持ってしまい、切るのに躊躇する所も良い。 アルコール耐性がない人がヤク中になるそうなので、下戸の自分は気をつけたい。 02.ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3 百合SF

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.09)

01.活字本01.トキオウィルス 都市伝説をまとめた短編集。 SFのあとがきで紹介されていたのを読んで購入。(伴名練) 人から聞いた噂という形で語られる。 1つの話が数ページしかないため、スキマ時間に読めるのが良い。 個人的には『祈りの箱』という出稼ぎ外国人を救うコインロッカーの話が良かった。 僅かなお金でも人の人生を変えるきっかけになるのは良い。 02.はぐれ宮司の 事故物件 お祓い事件簿 1500件超の現場を浄化! 事故物件を祓う宮司の事件簿。 心霊体験を中心に活

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.08)

01.書籍 01.推し、燃ゆ ★★★☆☆ 電子書籍で安くなったので購入。 (以前は1,000円以上) 推しというテーマで芥川賞を受賞した作品。 文章は一文が長くてやや読みにくいが、内面を掘り下げた描写が上手かった。 主人公はADHD(注意欠如・多動症)っぽいところもあり、飲食店でマルチタスクが出来ないところはリアリティがあった。 また、不向きながらも推しの為にバイトを頑張る姿は、信仰のために身を粉にする聖職者に近いものを感じた。 日本人は神様の代わりにアイドルを崇拝している

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.05)

01.書籍01.ゾンビ3.0 国産ゾンビ小説という珍しいジャンル。 世界中が同時多発的にゾンビパンデミックに襲われた世界。 ただし、舞台は予防感染研究所内を中心に展開される。 ゾンビというとB級映画の代名詞のような存在だが、この作品は感染症に重点を置いており、科学的な側面が強かった。 他の方のレビューにも書かれているが、日本版『ワールド・ウォーZ』と呼べると思う。 映像化向きなので、是非とも邦画でお願いしたい。 (日韓同時刊行なので、韓国の方が上手く映画化しそうだけど)

観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.01~05)

01.小説01.方舟 SNSで推されていた推理小説。 カウントダウン付きの密室殺人なのだが、オチが凄い。 設定はツッコミどころも多いのだが、最後まで読めば無問題。 映画で言ったら『SAW』の1作目を観た時の衝撃。 終盤は布団の中でプルプル震えて、読み終えたあとは興奮して眠れなかった。 とりあえず気になったら読むべきである。 2,000円分の価値はある。 映画化を是非ともお願いしたい。 問題は、舞台が地下の施設なので絵面がかなり地味なこと。 (『CUBE』みたいに低予算でも

【水星の魔女】はじめてガンダムを観た

初めてガンダムを観た。 学生時代にガンダムDXやガンプラは作っていたが、アニメをしっかり見るのは初めてだった。 (ガンダムファーストは途中で挫折した) 観た作品は最新作の『水星の魔女』 理由はAmazonプライムで無料だったのと、SNSで話題になっていたから。 以下は感想。 01.百合SFまさかのガールミーツガール。 SF業界では百合SFが盛り上がっていたが、ガンダムにも取り入れられていたことに驚いた。 伊藤計劃先生が生きていたら、歓喜の雄叫びを上げていたに違いない。 「

百人目のコギャル

『百番目のサル』という話がある。 ①ある日、イモを洗うサルが現れる。 ②それを真似するサルが現れる。 ③芋を洗うサルが100匹目になると、遠く離れた場所でも芋を洗うサルが現れる。 これは架空の物語なのだが、未だに信じている人も多い。 『刃牙』でもニトログリセリンが一斉に結晶化を始めた、という逸話があったが、それと同じ都市伝説である。 上記のサルの話は、 ①ある日、イモを洗うサルが現れる。 ②それを真似するサルが現れる。 ここまではホントの話なので、信じてしまう人がいるの

最後の晩餐に食べたいもの

「人生の最後に何を食べたいか?」 1年に1回、自問自答することがある。 多くの人はこの質問に関して悩むと思う。 生きている限り物を口に運ばなくてはならないし、味わうよりも習慣となっている人の方が多いだろう。 しかし、意識しなくとも誰にでも死は訪れるし、最後の晩餐はやってくる。 海外の死刑囚は最後に好きな食事をリクエストできるらしい。 (キリスト教だからかもしれない) あまり美味しいそうには見えないが、食事のチョイスに本人の人生が垣間見えてくる。 色々考えたが、、、 最