ゲーフリのロケハンがえぐい話:前編(ポケモンSVの街考察、ネタバレ注意)
みなさん、新作ポケモンやりましたか? やってください。面白いです。
こちらの記事で考察するのは、新作ポケモンに出てくる街のモチーフについて。
初代のカントー地方は日本の関東地方、BWからは海外に飛び出してアメリカ、剣盾はイギリス…と、ポケモンはシリーズごとに”地方”のモデルが存在するのは皆さんよくご存知のことでしょう。
そして2022年冬に発売された「ポケットモンスター スカーレット/バイオレット(以下、ポケモンSV)」の舞台はイベリア半島!
そして、今までのシリーズとは比べものにならないくらいモデルになった地域の主張が強いものとなっていました。
ポケモンSVを機にスペイン・ポルトガルに行きたいと思ってくださってる方も結構居るのかな……絶対居るよな……と都合良く妄想しているので、私的に予想したそれぞれの街のモチーフについて解説していきたいと思います。
ちなみに好き過ぎて何度も訪れたり一年程度向こうで生活しただけの人間が書く記事なので、「なんかスペイン・ポルトガル好きな人が勝手に解説してるんだな〜」くらいに思っていてください。
みんなスペイン・ポルトガルに行ってくれ!!!めちゃくちゃ最高なんだ!!!!
予想以上に長くなってしまったので、前後編に分けさせていただきます。
今回はコサジタウン・テーブルシティ・セルクルタウン・ボウルタウン・ハッコウシティの五つの町について考察するので、ネタバレを回避したい方はぜひゲームをプレイしてから記事を読んでみてくださいね!
※あくまで考察の枠を出ない内容ですし個人的な感想でもあります。正解もない筈ですので娯楽としてお読みくださると幸いです。
※ゲーム内のスクショと実際の街の写真が出ます
■コサジタウン:ネルハ(アンダルシア州マラガ県)
まずは今作主人公の実家があるコサジタウン。パルデア地方の下の方にある、南国情緒溢れる小さな町です。
ネルハはスペインの南部、アンダルシア州のマラガ県東部にあるちいさな町。穏やかで透明な地中海に面し、欧州からのバカンス客が大勢訪れる別荘地です。スペイン南部の地中海沿いはコスタ・デル・ソル(太陽の海岸)と呼ばれるリゾート地で、それこそネルハのような小さく可愛らしい町は山ほどあります。しかし、私は旅が始まった時点で薄々「コサジタウン、ネルハっぽくないか…?」と感じていました。地形や植物の生え方にものすごく既視感があったのです。そして今作のパケ伝であるコライドンorミライドンとのイベントを経て、妙な既視感が確信に近いものに変わりました。
ほ、ほら穴がある〜!!!!!!
デルビルに群がられていた伝ポケにサンドイッチを与えたのち、迷い込むことになったあのほら穴です。
実はネルハにもほら穴…というか有名な洞窟があります。古代の壁画などが残されている謎深い場所で、この洞窟をモチーフにしたのであればめちゃくちゃコアなところついてきたなと感動するレベルです。
余談ですが、コサジタウンが地理的に南方に出っ張っているのは、「ヨーロッパのバルコニー」のデフォルメかもしれません。
「ヨーロッパのバルコニー(El balcón de Europa)」はネルハ中心地近くにある展望台。かつては城塞だったようですが、ここを訪れたカスティーリャの王様が地中海と山々を臨む壮大な景色に感動して名付けたそうです。
■ネルハに行くには
ネルハ(Nerja)はマラガ県にあるちいさな町ですので、残念ながら近辺に鉄道の駅がありません。
同じマラガ県の県都であるマラガか、少し遠いですがグラナダからバスで向かうのがおすすめです!
マラガからは一時間半ほど、グラナダからは二時間〜二時間半ほどの所要時間で到着しますよ。
美味しいジェラート屋さん、綺麗なビーチ、”スペインで一番美しい村”と呼ばれるフリヒリアナ(Frigiliana)など見所満載の町ですので、アクセスはすこし悪いですが是非足を運んでみてくださいね。
■テーブルシティ:大都市のキメラ
続いては、主人公やライバルたちが通うアカデミーのあるテーブルシティ。
学校の形がサグラダ・ファミリアに似ていることや
街中のタイル装飾もグエル公園そっくりであることから
スペイン北東部・みんなだいすきバルセロナがひとつのモチーフになっていることは明らかです。
けれど、スペインの他の都市を訪れたことがある人は、発売前PVの時点で気がついたはずです。テーブルシティは大都市の特徴を併せ持つキメラだということを…。
だってここはマドリードそっくりだし
このお花はマラガの中心街にあるやつと瓜二つだし
タイプ別のモザイクアート?はセビージャのスペイン広場に半円形に置かれている、各地域をモチーフにしたアートを想起させたし
”学園を中心に栄える都市”といえばサラマンカでしかないし
形はもう、めっちゃトレドじゃない?????????????
なんなら、アカデミーに設えられたアーチ状のこれは
世界遺産でもあるセゴビアの水道橋を思わせる……
結局どこがモデルなんだ?!
今作は”パルデアの大穴”があることで、マップの中心に大きく穴が空いていますね。実際のスペインに重ね合わせてみると、ちょうどマドリードのある辺りです。大穴の分をぐっと下にずらしたとすれば、テーブルシティ、マドリード説もまあ説得力はあるのですが……
街の規模的に考えれば入ってくるはずのセビージャやバルセロナを明確にモデルにした街がないことからも、様々な街をモチーフにしているのであろう景観からも、テーブルシティは大都市をフュージョンさせた架空の街であると考察します。
私が詳しくないだけで、もしかしたらリスボンやビルバオなんかの要素も取り入れているのかもしれない……気がついた方はぜひ教えてくださいね。
■雰囲気を味わいたいなら
サグラダ・ファミリアやグエル公園への行き方はネット上に死ぬほど転がっているので割愛します。
学校だけでなく街中の雰囲気を味わいたい!という方は、マドリードを起点にトレドとサラマンカに遊びに行くのがおすすめです!
トレドは国鉄(Renfe)で30分ほど、サラマンカは1時間40分ほど。いずれも乗り換えなしで到着します。特にトレドはめちゃくちゃ綺麗でご飯が美味しいことで有名な素敵な街ですので、ぜひ訪れてみてくださいね!
"地獄の階段下広場"のモチーフであろうマドリード・マジョール広場(Plaza mayor)も素敵なところではあるのですが、あまり治安が宜しくないことでも有名ですので足を運ばれる場合は何卒お気をつけください。
■セルクルタウン:エステパ(アンダルシア州セビージャ県)
続いては、パティシエのカエデさんがジムリーダーを務めるむしジムがある町、セルクルタウンの考察です。
地理的に考えれば完全にセビージャなのですが…
セビージャはアンダルシア州の州都であり、マドリード・バルセロナ・バレンシアに続き都市人口もスペイン第四位のめちゃくちゃでかい街です。
それにしてはセルクル、やけにちいさくないか…?
ポケモンワールドは街の縮尺もデフォルメされがちなので無理やり納得することもできなくはないのですが、セビージャを知っている者にとってはどうもしっくり来ません。周りの乾燥した山々やオリーブ畑を見れば完全にセビージャなのに、なぜ町だけがこんなに質素なんだ……?
セビージャ…パティシエ……お菓子………
ポルボロン……
エステパだ……
皆さんは、”ポルボロン”というお菓子をご存知でしょうか。
食べたことのない方は、口の中の水分を全て持っていくクソでかいちんすこうをイメージしてもらえたら大体それで合ってます。
クリスマスの時期に食べられるスペインの伝統的なお菓子で、口の中に一気に入れたまま三回「ポルボロン、ポルボロン、ポルボロン…」と唱えられたら幸福が訪れるという習慣がありますが、あまりにポロポロと乾いた食感のため大体の人がむせて終わるという恐ろしいお菓子です。
このポルボロン、実はセビージャの近郊にあるちいさな町、エステパの名物なのです。
周りの景色もそれとなく似ている気がします。
エステパにはポルボロンを製造しているメーカーや個人のお店がたくさんあり、中には可愛らしいお帽子を被っているお姉様方が手作りしているものもあったはず。カエデさんはそのお店の人をイメージしたのでは…?(検索したら思いっきり「グレーテルのかまど」のスクショが出てきてしまったので載せることは出来ないのですが、今後再放送があった際はぜひチェックしてみてくださいね。)
お菓子が有名な町なら他にもあるじゃろがい!とツッコミを受けそうな考察ではあるのですが、スペイン、特にセルクルがあるアンダルシアあたりはお菓子不毛の地でもあります。アンダルシアを愛する私ですら、美味しいスイーツといえばまずジェラート、その次にポルボロン……?と、言葉に詰まらざるを得ません。悔しいですがそれほど飛び抜けて美味しい・甘い名物はないのです。
地理的なこと・町の規模・名物などと合わせて考えた結果、私の中ではセルクルタウンのモデルはエステパと結論付きました。
あくまで自信のない考察ですので参考程度に思ってくだされば幸いです。
■エステパに行くには
セビージャからバスに揺られて1時間50分ほどで到着します。近い鉄道駅がないこともないのですが、最寄り駅から歩いて2時間半ほどかかるため現地で野良タクシーを捕まえたい物好きさん以外は直通のバスで訪れることをお勧めします。
■余談
パルデアは割とどの街でもアイスクリームの屋台があって嬉しい。私が滞在していたアンダルシアは暑いのでジェラートはどこで食べても大体美味しいのですが、マラガにあるCasa miraというジェラート店のものは特に絶品です。
また、”白い村”として有名なミハスに行くのであればMayan Monkeyのジェラートは要チェックです。
https://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g580271-d8616326-Reviews-Mayan_Monkey-Mijas_Costa_del_Sol_Province_of_Malaga_Andalucia.html?m=19905
チェーン店であればCónicoがおすすめ!見かけたらぜひ、ひとつ注文してみてくださいね!
■ボウルタウン:モリーナ・デ・セグラ(ムルシア州)
続いて、芸術家のコルサさんがジムリーダーを務めるくさジムがある町、ボウルタウン。
こちらも地理的に考えればスペイン東部のムルシア州にぴったりと合いますね。
しかし、前述のセビージャと同じくムルシアもスペイン全体で七位の人口を誇るかなり大きな町です。
ということで、ムルシア近郊で”ボウルタウンっぽい場所”を探してみたところ……
見つけちゃった…
ムルシア州のモリーナ・デ・セグラという町には奇抜な現代アートが多数存在しているようですね。ヨーロッパ全体で見てみれば別に珍しくもないのですが、こんなにクソでかいものはスペインでは珍しいはずなので良い線行っているのではないでしょうか。
ボウルジムのコートにある巨大な風車については、あくまで憶測ですがモリーナ・デ・セグラ(Molina-de-segura)の”モリーナ”が男性名詞にするとMolino、つまり風車を意味することからイメージして配置されたのかもしれません。
検索した限りクソでかい風車はなかったので憶測の域を脱しないことをお許しください。
■モリーナ・デ・セグラの行き方
ムルシアの中心地からバスを乗り換えて1時間半ほどで到着するようです。車で行けば15分ほどで到着するようなので、旅行会社にタクシーを手配してもらって行ってみるのもありだと思います!
■ハッコウシティ:バレンシア
お次は、あなたの目玉をエレキネット!でお馴染みのナンジャモがジムリーダーを務めるでんきジムのある街、ハッコウシティです。
同じように地図と重ね合わせてみると……
文句なしにバレンシアですね。”シティ”と付くだけあって大きな街で、バレンシアもスペイン全体で三位の人口を抱える大都市であるため、街の景観との矛盾もありません。
何より、
バレンシアも夜景で有名な都市だから…
バレンシアには”芸術科学都市”と呼ばれる施設群があり、夜になるとハッコウシティの中心部さながらビカビカに光ります。
海の近い街であることもバレンシアと被っていますし、クラブやバーが軒を連ねる若者の街としても有名なのでインフルエンサーを名乗るナンジャモのイメージともぴったりですね。
最初はバルセロナモチーフかな?とも思ったのですが、バルセロナの街の構造や建物の景観からはかなり外れているようにも思うので、私はハッコウシティはバレンシアがモチーフと結論付けました。
■バレンシアに行くには
バレンシアは大都市ですので、日本からの直行便がある欧州各地の空港からバレンシア空港までひとっ飛び出来ます。例えばフランクフルトやパリからであればいずれも2時間ほどで到着しますよ!
また、マドリードやバルセロナから高速列車も出ていますので旅行の際はとてもアクセスしやすい街だと思います。機会があればぜひ足を運んで100万ボルトの夜景を観てみてくださいね。
もし行かれた際は、バレンシア名物のパエリアも味わってみてください!余談ですが、バレンシアの伝統的なパエリアはウサギ肉と豆が入っているものです。バルセロナあたりはイカスミ、マラガあたりは海鮮…と地域によって地パエリアがあるので、様々な都市を訪れて食べ比べてみるのも楽しいと思います!
こちらの記事での街の考察は以上になります。
通して言えるのはゲーフリのロケハンがえぐすぎるということです。これだけの細かな街の景観やスペインの風土、文化を理解し、それをゲームに落とし込むことがどんなに時間と技術とユーモアを費やす大変なことか、プレイ中に何度も思い知りました。
ありがとうゲーフリ!!!任天堂!!!そして株ポケ!!!!
時間のあるときに後編も書こうかと思っておりますので、少しだけお待ちいただけると幸いです。
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