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ゲーフリのロケハンがえぐい話:後編(ポケモンSVの街考察、ネタバレ注意)

皆さんこんにちは。明けましておめでとうございます!

前回の記事(ゲーフリのロケハンがえぐい話:前編)がたくさんの方に楽しんで頂けたようで感無量です。今回は前回紹介し切れなかった街について考察をしてゆきます。

改めてですが、こちらの記事に書いていくのはポケモンSVに出てくる街のモチーフについて
パルデア地方のモデルになったのがスペイン・ポルトガルのイベリア半島両国ということで、実際の地図に重ね合わせたり街の要素を掻い摘んだりして、モチーフになった街の考察を書いていきたいと思っております。

前回も但し書きをしましたが、筆者はスペイン・ポルトガルが好きで何回も訪れたり一年程度向こうで生活しただけのど素人です。そして申し訳ないことに、ポルトガルに至っては何回も訪れたり向こうで何週間か滞在しただけの更なるド・ど素人です。
ですので、後編は前編よりも解像度が低めであることを念頭にご覧くだされば幸いです。「スペイン・ポルトガルのことをめちゃくちゃ好きな人がまた勝手に解説してるんだな〜」くらいに思っていてください。

こちらの記事を読んでくださった方の何千人にひとりでも、実際にイベリア半島を訪れてスペイン・ポルトガルを肌で感じたい!と思ってくだされば良いなぁと考えております。

スペイン・ポルトガルに行ってみてくれ!!!楽園だから!!!!


※あくまで考察の域を出ない内容ですし個人的な感想でもあります。正解もない筈ですので娯楽としてお読みくださると幸いです。
※ゲーム内のスクショと実際の街の写真が出ます。
※ストーリーの内容には踏み込んでいないにしろ、ジムリーダーの顔や街並みなどは出ますのでネタバレ注意です!ぜひポケモンSVを堪能し終えてからご覧になってくださいね。
※街の名前の発音についてはスペイン現地の発音を採用しています。日本語の文献などと多少差異が出ることをお許しください。


スペイン篇

■チャンプルタウン:バジャドリッド(カスティーリャ・イ・レオン州)

後編のトップバッターはチャンプルタウン!
非凡サラリーマン・アオキさんがジムリーダーを務めるノーマルジムのある街です。
ジムテストの謎に手が込んだ謎解きで街中を走り回らざるを得ないため、この町がひときわ印象に残っているアカデミー生も多いのではないでしょうか…。

そんなチャンプルタウンのモデルについて。
パルデアの大穴の存在で地図が多少歪んでいることには目を瞑って欲しいのですが、

GoogleMapsより

まあ大体合っているのではなかろうか。バジャドリッド(Valladolido)ですね。
チャンプルタウンは考察する要素がかなり多く、特定までにものすごく時間がかかりました。
最終的にチャンプルタウン≒バジャドリッドと予想した理由を順々に説明していきますので、少し長くなりますがお付き合いのほどよろしくお願い致します!


1.チャンプルタウンは交通の要

ひとつめのポイントは、チャンプルタウンがパルデアの交通の要であること。
町のNPCから聞き出すことの出来る情報ですが、バジャドリッドもスペイン中北部における交通の要となっております。
上空写真で見てみると…

GoogleEarthより

街の中心部に川が通っているのが見えますね。こちらはピスエルガ川という川で、スペイン北部からポルトガルを通って大西洋へと注ぐドゥエロ川という大河の重要な支流です。
ドゥエロ川の流域面積は98,400km2。イベリア半島において最も流域面積が広いバケモノのような川です。
想像が付きづらいと思いますが、端的に表すと東京ドームの約210万倍(は?)だそうです。もっと端的に表すと北海道より面積がでかいです。

現代だとあまり考えられませんが、車も飛行機もない時代においては大河は重要な流通の経路となります。
さらに、水があるところに農作物あり。ということで、ドゥエロ川の重要な支流であるピスエルガ川が通るバジャドリッドは、農作物の集散地として大いに栄えた都市なのです。

とはいえ”交通の要所”ならスペイン内に幾らでもあるので、チャンプルタウン=バジャドリッド説の根拠はこれだけでは不十分ですね。
あと何個か見つけ出した要素がありますので、続けて考察させて頂きます。

2.バジャドリッドと日本人

冒頭にも書きましたが、チャンプルタウンといえばノーマルジムのある街ですね。
ジムリーダーは非凡サラリーマン・アオキさん。
ポケモンシリーズ(日本語版)の登場人物名は植物の名前を何かしらの言語のカタカナ表記で記していることが多いのですが(例:クラベル=スペイン語でカーネーション、グルーシャ=ロシア語で梨など…)、アオキさんだけ思いっきり日本人の名字のように聞こえます。実際アオキも植物の名前なのですが、他の登場人物たちとくらべると正直、異端なほど名字っぽいのです。スーツを売っている企業のアオキともかかっている気がするし。
念のために調べてみたのですが、国外をモチーフにしたBW以降で明確に「日本人の名字だな〜」とわかるのは剣盾のサイトウちゃんとSVのアオキさんだけでした。

しかし、サイトウちゃんとの違いは明らかに日本人感を意識されて作られているということ。

井之頭五郎?

あからさまに孤独のグルメを意識された場面やくたびれたサラリーマン風の出で立ちなど、日本人感が満載ですね。

ただ、アオキさんの出身は明言されていません。

前作・剣盾に登場したほのおのジムリーダー・カブさんはリーグカードによってホウエン地方出身と明言されていましたので、キャラクターの出身を明かすのはタブーではないはずなのですが…

この違和感こそがゲーフリのうまいところです。

実は、バジャドリッドと日本人には深いつながりがあります。

スペインと言えば、パエリアにフラメンコ。そして何よりサッカー。

クリスティアーノ・ロナウドやメッシ、ネイマール、そして2022年のW杯で大活躍したモドリッチ。それぞれ国籍やチームは違いますが、皆リーガ・エスパニョーラ(スペインのサッカーリーグ)で戦ってきた選手たちです。

ヨーロッパ各国のサッカーリーグの市場価値ランキングで、スペインはイングランドに続いて第2位。特に一部リーグ(ラ・リーガ、あるいはプリメーラ・ディビシオン)のコートに立つことは、全てのサッカープレイヤーにとって大きな目標であり、夢でもあるのです。

さて、現在スペイン一部リーグのチームに所属している日本人は、レアル・ソシエダ(スペイン北部、サン・セバスティアン)の久保建英選手のみです。歴代で数えてみても一部リーグに所属していた日本人選手は二十人に満ちません。

そんな中、スペインの一部リーグにはじめて出場し、得点を決めた日本人選手を紹介します。

as.comより

城彰二選手です。

世界のあこがれであるラ・リーガに、はじめて出場し得点を決めた日本人である城選手。

そんな彼が所属していたチームこそ、レアル・バジャドリッドなのです。

アオキさんと城選手が似ているというわけでは決してないのですが、あえて日本人らしさ全開、しかし明言が避けられているアオキさんをバジャドリッドをモデルにしたチャンプルタウンに配置したことにゲーフリの粋を感じましたし、逆に言えば日本人だと推測されるアオキさんが居ることでチャンプルタウン=バジャドリッドという方程式がより際立つような気もします。


3.飲食店

さて、3点目は完全に余談なので話半分で読んで頂きたいところなのですが、チャンプルタウン名物と言えば宝食堂!

他の町にある寿司屋風の日本食レストランとは一線を画す、めちゃくちゃアットホームな感じの食堂です。メニューもおにぎりやぜんざい、かけそばなど、他の店とは明らかに違う意図を持って作られた形跡があります。

アオキさん日本人説が立証されるなら別におかしな話でもないのですが、ここでバジャドリッドのトリップアドバイザーレストラン部門(日本でいう食べログみたいなものです)のランキンングを見てみましょう。

え?????????

なんで?????????

そうだね……

ランキング1位は日本料理店、そして食べログだったら不正や買収を疑われるレベルの高評価でした。

まあチェーン店なんですけどね。店の雰囲気もアットホームな食堂と言うよりはオシャレなスシ・バーに近いです。

それにしてもバジャドリッド店は驚異のランキングですね。他の主要都市ではやはり首位はバルなどが多いです。

多分これで€24くらいだった(2016年)、めちゃくちゃ美味しい

完全に余談ですが、スペインの寿司はめちゃくちゃレベルが高いです。地中海と大西洋に面し、豊かすぎるほどの魚介類が獲れます。ヨーロッパでは珍しいタコやウニなんかも、彼らは新鮮なものをガツガツ食べています。

私が滞在していたのはスペインの南・アンダルシア州の更に南の地域ですが、魚介類も野菜もお米も何もかも美味しすぎて在欧日本人にありがちな食のホームシックに陥ったことは一度もありませんでした。美食で有名なサン・セバスティアンやバルセロナ以外の街でも、現地のバルやレストランは軒並みレベルが高いです。現地のおっちゃんたちが楽しそうにご飯を食べているレストランを選べばまず間違い無いでしょう。

みんなスペインに飯食いに行こう!!!!

余談:ローマ劇場について

チャンプルタウンといえば、ジムテストにも使用されたこの建物も印象的ですね。

この建築物、かのローマ帝国の領地内に点在するいわゆる“ローマ劇場”をモデルにしていると思われます。

マラガのローマ劇場(el teatro romana)

スペイン国内ですとメリダ(エストレマドゥーラ州)のものやマラガ(アンダルシア州)のものが有名ですが、実は「ここ特有!」と呼べるほど特徴的なものではありません。

☆印が全てローマ劇場

軽く調べただけでもイベリア半島に26個ほどは見つかりましたし、チャンプルタウンのローマ劇場らしきものはスペイン国内に無数に存在するローマ劇場の象徴的なものなのかな?と推測します。

ちなみにバジャドリッド周辺で調べてみたところ、こんなにあるのになぜかヒットしませんでした。なんで????

なぜわざわざチャンプルタウンにローマ劇場風の建築物を配置したのかには疑問も残ります。もしかしたらバジャドリッド以外にも明確なモチーフが存在するのかもしれません。
町の名前は完全に沖縄のことばで「まぜこぜ」を表す「チャンプルー」から取っているのでしょうし、不思議ですね。

色々と謎は深まるばかりですが、とりあえずこちらの考察は「チャンプルタウンのモデルのひとつはバジャドリッド説」で締めさせて頂きます!

■バジャドリッドに行くには
バジャドリッド(balladolido)はマドリードから電車に乗って乗り換えなしで2時間半ほど、或いはバルセロナから飛行機で1時間半。
個人的にはマドリードから電車で行くのがおすすめです!
マドリードからのバスもありますが、電車で行っても+1000円ほどしか値段が変わらないので・・・海外旅行でのバス移動はストレスになる方も多いでしょうし、ぜひご自身がリラックス出来る方法で訪れてみてくださいね。

■フリッジタウン:ソリア(カスティーリャ・イ・レオン州ソリア県)、ペドラサ(カスティーリャ・イ・レオン州セゴビア県)

お次はフリッジタウン。激イケラッパーのライムさんがジムリーダーを務めるゴーストジムのある街です。

googleMapsより

スペインの地理&天候を考慮すると、おそらくモデルはカスティーリャ・イ・レオン州のソリア
比較的温暖な気候のスペインの中でも冬の冷え込みが厳しい地域です。
歴代ポケモンでもシリーズにひとつは寒そうな風景の街が存在しがちなので「寒い」という理由だけでも十分な気はしますが、
ここで先ほどのチャンプルタウンの考察でも話題に上がったドゥエロ川の位置を見てみましょう。

GoogleMapsより。
赤いピンがソリア、青い線がドゥエロ川

まあなんとか納得できなくもない……ですかね。ここまで来るとこじつけに近いですが、パルデアの地図でフリッジの左上の方にある池たちはソリアの北西に位置する貯水池となんとなく形が似ている気がします。

フリッジタウンの建物の様式がスペインに存在していなさそうなんだよな…など細かく気になるところはあるのですが、青線部分の川がドゥエロ川をモデルにしているならば、まず”ソリアあたり”がモデルのひとつと考えて間違い無いでしょう。

しかし、ゲーフリの最早キモいレベルのロケハンはこんなところでは終わりません。フリッジタウンには、ソリアの他にももうひとつモデルとなる街が存在しているのです。

ヒントとなるのがこちら

他の街とは全く違った雰囲気を持つフリッジの景観の中でも、特に印象的なのは街の所々に灯されたろうそくですね。
ゴーストジムがある街ということで、何処か妖しく綺麗な雰囲気を演出するすてきなアイテムです。

問題はこの「ろうそく」というワードをどこから持ってきたのか。
実は、ソリアと同じ州内、セゴビア県にあるペドラサという村では……

セゴビア県公式HPより

1年に2回だけ、村の照明すべてがろうそくになるお祭りが催されるのです!

さらに、流石にラップのライブではないのですがお祭りの最中は盛大なコンサートが開かれます。

La Fundación Villa de Pedraza より
雰囲気はばっちり似てる


正直、牛から逃げ惑ったり

CNNより、パンプローナのサン・フェルミン。
名前は「牛追い祭り」ですが明らかに追いかけられている

生ハム強奪戦のあとにトマトを投げつけ合ったり

AP Newsより、バレンシアのラ・トマティーナ。
トマトで怪我しちゃうから手で潰してから投げなきゃだめだゾ

クソデカ人形を燃やして喜んでいるような

elPeriódicoより、バレンシアのファジェス。
もはや狂気に等しい

ちょっとおかしい個性的なものが揃うスペインのお祭り界の中では、ペドラサのお祭りはあまり目立つような存在ではありません。

だからこそ、この地味だけれど綺麗なお祭りに目をつけたゲーフリの変態性に驚きます。確かに地味は地味なのですが、よく考えてみれば街中の明かりがろうそくになるのはとてもロマンチックだから。
そこに音楽が合わさるとなるとめちゃくちゃ“良い”に決まってるから。

普段は目立たない村や地域にもスポットライトが当てられて嬉しいですね。もし私がペドラサの生まれだったら、気がついた瞬間泣いて喜んでたと思います。


第一、街に入った瞬間人形がごうごうと燃えていたらトラウマ確定です。本当に良かった。祭りっていうかもうこれほぼ火事だもん。

狂気の変わったお祭りのことをディスっているわけではありません。
スペインのことをすこしでも「おもしれー国…」と思っていただければ幸いです。

■ソリア/ペドラサに行くには

ソリアはマドリードから電車で2時間半と少し、或いはバスで2時間とすこし。
ペドラサはセゴビアという街からバスで30分で到着します!セゴビアに行くためにマドリードから1時間〜2時間ほどかかると考えると、一旦セゴビアに宿を取ってペドラサに足を伸ばす旅程が理想的かもしれません。

セゴビアは前編でも言及した世界遺産のローマ水道橋、またディズニー映画「白雪姫」のお城のモデルになったアルカサル・アル・セゴビアがある歴史ロマンあふれる素敵な街です。微グロなので画像は載せられないのですが、名物料理・コチニージョ(子豚の丸焼き)はスペインの中でも有数の美食として超有名ですよ!

ペドラサのろうそく祭りは毎年7月の第1・第2土曜日に開催されているようなので、ペドラサに足を運ぶ際にはぜひセゴビアも堪能してくださいね。

ポルトガル篇

■カラフシティ:コインブラ/アヴェイロ

さて、哀愁の国・ポルトガル篇です。おそらくポルトガルにある街がモデルとなっている街を紹介してゆきます。

ひとつめはカラフシティ。あわてんぼうな料理人のハイダイさんがジムリーダーをつとめる、みずジムのある街です。

カラフシティで印象的なのはなんと言っても街の中心部を流れる滝でしょう。

NPCが「カラフシティは水の街」と言っている通り、街の中にも美しい噴水があったり小川に橋が掛かっていたり…と、みずジムの所在地にふさわしい景観になっております。

さて、ポルトガルは欧州の中でも一番西方に位置し、国土西側の海岸線全てで雄大な大西洋を臨むことの出来る国です。かつては海洋国家としてその名を馳せて世界中を駆け回っておりました。(今はのんびりまったりな国ですが…)

ここで不思議な点がひとつ。実際のポルトガルでは首都のリスボンと第二の都市であるポルトは共に、大西洋に面しているのです。

GoogleMapsより
カラフシティ。内陸すぎる

カラフシティはこんなにも「水」をアピールしているのに、その街中に「海」の要素がありません。それどころか、ジムチャレンジで行くことになるマリナードタウンがすべての「海」の要素を引き受けていますね。

私はこの配置と設定をかなり意図的に感じました。恐らくですが、カラフシティの主なモデルはリスボンでもポルトでもないのでしょう。

ふたつの主要都市の要素を入れているとすれば、街中にある昇降機ですね。(前作剣盾のエンジンシティにも昇降機はあったので、カラフ特有のものではないことが気になりますが…)

リスボンには街中にサンタ・ジュスタのエレベーター

2016年撮影

ポルトにも同じように、リベイラのエレベーターがあります。

街中にエレベーター?!と驚く方もいらっしゃると存じます。
リスボンやポルトは坂道が多く街の作りが縦方向に広がっています。あまりにも急勾配なため、街を上下に移動するためのエレベーターやリフトが発達したのです。

邪推ですが、東京やマドリード、あるいは世界の主な大都市にはあまりない景観ですので、ロケハンに向かったスタッフはその街のつくりにびっくりしてその要素を取り入れたのでは?

でも、違うんだ…カラフはリスボンやポルトではない。

リスボン 2016年撮影
ポルト 2016年撮影

リスボン/ポルトとカラフシティは、本当に雰囲気が違う。エレベーターのことを差し引いたら、本当に「らしい」要素がないんです。

なんなら、番外編で詳しく解説しますがポルトをモデルにしたのはマリナードタウンの方でしょう。

Googleより

チャンプルタウン・フリッジタウン編でも出てきたドゥエロ川と思わしきものがマリナード近郊に注いでいるのも一要素です。
なぜリスボンをモデルにした街がないのかは謎ですが、マドリードもバルセロナもなかったしね…本当にテーブルシティになんらかの要素が潜んでいるのかもしれません。

「海に面していないのに水の街」ということがカラフシティの大きな特徴であるとすれば、カラフシティの主なモデルになった街はコインブラ、あるいはアヴェイロだと思われます。

GoogleMapsより

コインブラもまた、勾配が激しい都市です。そして街に沿うように川が流れ、「水」が景色の大きな要素となっています。

basofiasより

とは言えど、私もコインブラを訪れたことがないので、明言出来ず申し訳ございません。

家の様子などは全く違いますね、これはどちらかというとスペイン南部のミハスに似ているように思えます。或いは国内ではありませんが、モロッコのシャウエンとか。

ミハス 2016年撮影
Googleg画像検索より

でも、こんな内陸に、しかもポルトガル領と思わしきところにスペイン・地中海ムード全開の「白い村」の風景が現れるのはあまりに不自然ですね。モロッコも然り。
私はゲーフリの変態的ロケハンを信頼しているので彼らが決して中途半端な仕事をしないと知っています。

では、あの家々のカラーリングはどこから着想を得たのでしょうか…?
調べた限り、コインブラ駅の外観が一番カラフの建物に近いと思われます。
水色と白を基調に置いたデザインはここから着想を得ているのかもしれません。

コインブラ駅 portugalvisitor.comより

すこし名前を出したアヴェイロ。こちらはだいぶ海水寄りですし、街の雰囲気はカラフと似ても似つかないですが、コインブラと同じく駅のカラーリングはカラフっぽさがあるかも?

アヴェイロ駅  portugalvisitor.comより
Google画像検索より

ポルトガルで「水の都」と言えばアヴェイロですし、とんでもなく綺麗なことで有名なので要素には入っていると思われます。
ただ、アヴェイロはコインブラや他の都市のように急勾配な作りの街ではないので、主なモデルというわけではなさそうです。

スペイン編であんなにも明確にモデルになった街のモチーフを出してきたこと、またあまりにもマイナーな街の要素を取り入れる変態性を考慮するとなんとなく他にもモチーフがありそうではあるのですが、
位置と街の特徴から考えると、コインブラをベースにリスボンやポルト、アヴェイロの要素を取り入れたのかな?という曖昧な考察になってしまいました。

コインブラはスペインのサラマンカと同じく学園都市的な性格も持っているのでテーブルシティにも要素が入っていそうだな!などとも思っております。

■コインブラに行くには

コインブラは首都・リスボンからバスで2時間とすこし、電車で3時間程度。第二の都市であるポルトからは電車で1時間ほどで到着します!

コインブラはさほどカラフと景観が似ているわけでもありませんし、ポルトガルはスペインほど広大な土地を持っていないので、リスボンやポルトを拠点に色々な街を巡ってみるのがおすすめです。


余談ですが、筆者の周辺では「ヨーロッパの中でいちばん日本人の口に合うのはポルトガル料理説」がまことしやかに囁かれています。

実際、ポルトガル料理はガチで美味しいです。東西南北問わずヨーロッパ中の色々なところを訪れて色々な料理を食べましたが、リスボンで食べた海鮮リゾット(Arroz de Mariscos)とエッグタルト(Pastéis de Belém)に敵いそうなものは、今のところスペインのママが作ったパエリア(かなりの思い出補正あり)以外にありません。

Arroz de mariscos(2016年撮影)
本当に美味しい
Pastéis de Belém(2016年撮影)
これのためだけにポルトガルに通いたい

ほっこりするような優しい味付け、新鮮な魚介類、美味しいワイン…
絶対現地に食べにいって欲しい〜!!!

と言いたいところですが……悲しいかな、イベリアにはじめて足を踏み入れる人の多くがスペインに行ってしまうと思われます。一生に一度はサグラダ・ファミリアを見てみたい気持ちも、プラド美術館に行きたい気持ちも、アルハンブラ宮殿に行きたい気持ちもわかる。私もそうだったから。

ですので、東京にも大阪にもポルトガル料理を提供するレストランがありますので、せめてぜひ食べに行ってみてください…!

そしてポルトガルの魅力に心惹かれるまま航空券を予約してくれよな!!!
一度行ったら忘れられない魅惑の国なので!!


■ベイクタウン フェズ/ポルトガル各地

本編最後はメイクアップアーティスト兼モデルのリップさんがジムリーダーを務めるエスパージムのある街、ベイクタウンです。

こちらも他のどの街とも違った個性的な景観ですね。

・土色の建築物
・街中の水路(イスラーム建築あるある ex:アルハンブラ宮殿)
・BGMがめっちゃイスラーム音楽っぽい

などの主な要素を見てみても、おそらくモデルはイベリア半島に存在する街だけではないでしょう。

正直、ベイクタウンをポルトガル篇に含めていいのかとても迷いました。
ここで一度、ベイクタウンの所在地を見てみましょう。

ちょうどイベリア半島の左下、ポルトガル南部にあたりますね。
(或いはジブラルタルやアルヘシラスあたりかもしれませんが)

ベイクタウンの景観以外の特徴と言えば、陶芸品。ポルトガルにも陶器が有名な街はポツポツとあるのですが、場所が全く一致しないのです。そしてどの街もイスラムっぽいあの雰囲気がない。

探せど探せどポルトガル南部にこんなにイスラムっぽい街は見つかりません。せいぜい中部のシントラやリスボンあたりにイスラム建築が点在するくらい…かな……。

シントラのイスラム建築 Google画像検索より
リスボンのモスク Google画像検索より
割と近い気がしますが、この街並みが広がっているわけではありません

怖くなってきましたね。考察が崩壊する。ポルトガルのどの街よりも、スペインのグラナダなどに近い気がしてきました。

思えばカラフシティの街並みもどちらかと言えばアンダルシアの“白い村”やモロッコ寄りだったな…。これだけ解説をしておいてゲーフリがアンダルシアを歪めて伸ばしており、DLCでポルトガル要素が追加されたらすみません。その際は喜び勇んで真のポルトガル篇を執筆したいと思います。

さて、ここからは恐らくベイクタウンの雰囲気に一番近い街をご紹介します。イベリア半島内にあるわけではなく、アフリカ大陸のモロッコにある街です。

モロッコはスペインとポルトガルの隣国です。
私はにわかにも程があるので多くを語れませんが、フェズという街は焼き物で大変有名でして、街並みもベイクタウンの景観に似ていますね。説明がなくともこれだけで充分なほどの画像がございますのでご覧になってみてください。

Google画像検索より
Google画像検索より

最早ベイクタウンにイベリア要素を感じるところがないくらいです。ただ、ベイクタウンのモデルと思わしきモロッコがイベリアと関係がないわけではありません。

世界史Bの授業を思い出してみてください。“レコンキスタ”という文字列に見覚えはありませんでしょうか?

レコンキスタとは: イベリア半島で、キリスト教徒がイスラーム教徒を駆逐して、この地を取り戻そうとした運動。11世紀頃からレオン・カスティリャ・アラゴンなどのキリスト教国家によって北方から南に向けて行われ、1492年イスラーム側最後の根拠地グラナダを奪って完成した。 (山川出版社 『世界史B用語集改訂版』より)

現在スペインとポルトガルの約二国で構成されているイベリア半島は、1000年ほど昔からつい500年前までイスラームの勢力下にありました。地理的にアフリカが近いこともありますが、スペイン・ポルトガルが他のヨーロッパ諸国と違う雰囲気に包まれているのはイスラーム勢力下にあった時の名残が残っているからです。
言語にも街並みにも、そこかしこにイスラームの香りが残っております。長く支配されてきたスペイン・アンダルシアポルトガル南部はその雰囲気が濃いですね。

まあ…そう考えれば…イベリアの一部と言えなくもない…

実際、スペインは現在もレコンキスタ期に手に入れたモロッコの一部にセウタとメリジャという領土を持ち続けています。

補足:ジブラルタルは剣盾の舞台・ガラル地方のモデルであるイギリスの領土です。
そんなことが許されていいのか

本当に怖くなってきました。ポケモンSVはあまりに“ポルトガルらしさ”が薄いのです。ポルトガルモチーフならどこかにヨワシの一匹でも居ていい筈なのですが。

ただ、マリナードタウンに存在するタイル装飾。これはポルトガル特有の“アズレージョ”という焼き物がモチーフだと思われます。

アズレージョ Google画像検索より

しかし、ベイクタウンにある初代手持ちアイコンモチーフのタイル装飾はマリナーどにあるものとはまた趣が違いますね。

タイルはタイルですが、これを“アズレージョ”と言い張ることは私にはできません…。ここは本当にモロッコモチーフなのかもしれない。他の街から隔てられているし、景観があまりにアラブっぽいから。

そもそもクエスパトラやシガロコは完全に古代エジプトから着想を得ているのでしょうし、もっと言ってしまえば御三家最終進化のうちほのおタイプのラウドボーンとみずタイプのウェーニバルはスペイン・ポルトガルに支配されていた中南米がモチーフですし…パルデアの大穴のモデルが南米にあるとの噂もよく聞きます。

最終進化はスペイン海軍モチーフになると思い込んで名前を付けた時期が私にもありました
可愛い相棒です

色んな地域が混ざっている!一筋縄では考察させてくれねえ!!!

本編最後なのに、微妙な考察になってしまい誠に申し訳ありません。

恐らくなのですが、ベイクタウンの聖地巡礼をする際はイベリア半島ならグラナダ、あるいは飛び出してモロッコまで行った方があの雰囲気を存分に味わえると思われます。

モロッコはスペイン南部から船で行けるほど近いですし、スペイン領のセウタやメリジャならすんなりアフリカ大陸に足を踏み入れることが出来ますよ。
旅の思い出にもなりますし、スペイン領とは言えどアフリカの風をビシビシ感じることが出来るのでとてもおすすめです!

■セウタ/メリジャ、グラナダに行くには
セウタはアルヘシラスの港からフェリーで1時間、メリジャはマラガの港からフェリーで6時間ほど
で到着します。特にセウタはイベリア半島から日帰りで観光できるので、時間に余裕があればぜひ訪れてみてくださいね。

イベリア半島内でアラブの雰囲気を感じたいならグラナダがおすすめです!
こちらはマドリードから高速列車で3時間ほど、マラガから電車で1時間強、バスなら2時間弱で到着します。

グラナダの街並み 2016年撮影
アルハンブラ宮殿在住のネコチャン

グラナダは世界遺産のアルハンブラ宮殿を擁する古都。美食の街としても知られていますね。お酒を一杯頼むとその値段だけで結構量の多いおつまみが付随してくるというよく分からない文化もあるので、バルをはしごしてお腹いっぱいになるまで酔いどれる最高の遊びが出来ます。

大聖堂や街並みも素敵なので、スペインに行かれる際はぜひ訪れてみてくださいね!!!

■あとがき

さて、考察に自信のないあまりめちゃくちゃな文量になってしまいましたが、お楽しみ頂けたでしょうか?

本当はマリナードタウンピケタウンナッペ山など他の地域に加えてスター団のオルティガとスペインのアパレル大企業・ZARAの関係性黄色いポストなど散りばめられた要素についても書きたかったのですが、後編記事のボリュームがものすごいことになってしまったのでこちらは気が向いた時に番外編として投稿したいと思います。

あとはポケモンSVの聖地巡礼をされる方に向けて、効率的な観光ルート紹介やおすすめの飲食店の紹介なども出来たらいいな…!宜しければ、その際はまたお付き合いくださいね。

イベリアの二国を愛するあまり勝手に書き始めた考察記事ですが、予想以上にスペイン・ポルトガルに興味を持ってくださった方が多くとても嬉しいです!
海外への渡航も徐々に解禁されつつありますし、皆様の次のバカンスの候補地にイベリア半島を入れてくださればこれ以上の幸せはありません。

行かれる際は治安にお気をつけて、それ以上に存分に太陽と情熱の国・スペインと海と哀愁の国・ポルトガルを楽しんできてくださいね!

私はプロのツアコンでも学者でも何でもないただのイベリア好きの人なので有益な情報を与えられるかはお約束出来ませんが、何か質問などございましたらTwitter(@Ao_pk_SV)のDMにでも投げてくだされば、できる限りお答えしたいと思います。

ではみなさま、素敵なイベリアンライフを!

¡Hasta pronto!

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