生と死の間にNiziU
SEKAI NO OWARIが今年も北海道に来ないという悲報に
打ちひしがれていたちょうどその頃、
NiziUの全国ツアーが発表された。
恐る恐る、されどギンギンに目を見開いて
会場一覧を見ると、そこには
HOKKAIDO(真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)の文字が。
オタク大歓喜。これは行かねば。
しかしながら立ちはばかるのは
”ファンクラブ先行抽選”という大きな壁。
しかも年間ファンクラブとモバイルファンクラブのW会員が最優先されるというのだ。
どうする私よ、
チケット代だけでも諭吉さんサヨウナラなのに
それプラス入会費、年会費を払うというのか。
しかしこれはNiziUの記念すべき単独ツアー。
やはり確実に行きたいところだ…。いやしかし…。
そう延々と脳内会議を開いていたはずなのに、
気づけば私のスマホには
「W会員先行 エントリー完了」の画面。
これだからオタクは。
節制しようと散々頭を悩ませるくせに
結局は欲望のままに課金している。
神さま私に自制心を与えてください。
しかも一人で行くのが寂しいからと
母上の分まで応募している。
さてその母はというと、非常に喜んだ。彼女は
知り合いが一人も出ていないNHKのど自慢を
観覧しに行くくらい、とにかく何かしらの
ライブに行きたくて仕方ないのだ。
そして抽選結果発表の日。
無事当選。
ホッとはしたが、
実はそれほど不安でもなかった。
北海道というのは正直なところ
他県からのアクセスが悪く、
そもそも道内ったって
簡単に札幌へ行けるわけではないので
倍率が比較的低い穴場スポットなのだ。
問題はそれゆえアーティストが来ないことなのだが。
当日までは
Nizi Projectを鑑賞(5周目)して気持ちを昂らせる。
そして来るライブ公演日。
札幌到着、なぜかそこには父の姿。
さてこの父はというと、
激戦を経てちゃっかり当日券をゲットして
いたのだ。追加席ゆえ少々見えにくいのだが
それでもいいと言う。
結局3人で参戦、ミーハー家族。
まずはグッズ会場へ。
NiziUにはNIZOOという公式キャラクターが
いて、それがとても可愛い。
(このキャラに影響されて私のもう1つの推しであるBE:FIRSTのキャラクターを裏垢でツイートしたこともある。)
(ちなみにこの推し垢は、ものの数ヶ月であずきみみこの総フォロワー数を優に上回った。どうした、みみこ。がんばれ、みみこ。)
本題に戻ろう。
グッズは定番のうちわと
そしてお初にお目にかかる
”うちわカバー”とやらを
必ず入手しようと心に誓っていた。
だがここで迷いが生じる。
我、箱推し故、誰のを買うか決められぬ。
一人になど決して絞れぬ。
オタク、迷いに迷って結局
うちわがマユカ、カバーがアヤカという
優柔不断セットが完成。
見渡せば皆、うちわとカバーが同一の
メンバーであるのに私だけが裏表別メン仕様。
非常に恥ずかしい。
そしてもう一つ
ライブ前にはビッグイベントがあった。
それはオフラインくじである。
A賞はなんと、ミート&グリート。
NiziUと直接ミートしてグリートできるのだ。
なんという夢のようなくじ。
ありがとう、これを考えた人と
実現してくれた人。
5回引いた。
参加賞、参加賞、参加賞、参加賞、参加賞!
クソくらえ!!!!!!!!!!
だが落ち着いて考えなさい、みみこよ。
残り10個中3個がぬいぐるみだった
一番くじでさえ、思い切り外したではないか。
己の圧倒的なくじ運の悪さを知っているだろう。なぜ僅かでも当たると思ったのか。
諦めて会場を一度離れる。
ライブ前に早めの夕食。
着いたところは「和食処とんでん」
なぜか我が家には
「ライブの日はとんでん」という
謎ルーティーンがあるのだ。
外食チェーンの割には
胃腸に比較的優しいメニューが多いのが
嬉しいポイント。茶碗蒸しを食べて
小腹を満たした。
車を駐車して徒歩でライブ会場へ。
もうすぐ到着といった地点で
何かの看板を発見。
「この付近で先月、
熊が目撃されました。ご注意ください」
恐怖の看板だった。
しかも出現日が最近すぎてリアルに怖い。
言われれば木々も多く、
いかにも熊が出そうな雰囲気。
「ご注意ください」ったって
どうすればいいのだ。
NiziUのライブの幕が上がる前に
私の人生の幕が降りそうだ。
気持ちが天から地へ突き落とされつつも
意地でライブ会場に到着。
CD売り場に響き渡る
「ミート&グリート、制限時間あと5分
残りアヤカさんの1枠のみでーす!」
というスタッフの呼びかけに
アヤカ大好きオタク、釣られて購入。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ…
はい、惨敗。
淡い期待よサヨウナラ。
ほんの1分後に目の前のおじさんが
「うぉぉぉぉぉぉぉー!!!!」
と雄叫びを上げる姿をぼうっと見つめる。
羨ましいよおじさん、アヤカに会えるなら
3時間だけあのおじさんになりたい。
それでもライブは観れるのだからよいではないか。気を取り直して入場。
W会員なだけあって、なかなかいい席だ。
お金を積んだだけある。
ふと前方を見ると、見覚えのある姿が。
我が父だ。
いや、父よ、
なぜそんないい席に座っているのだ。
ファンクラブでないどころか
通常より安い当日券なのに、
私たちとそれほど変わらない。
そんな父に気を取られていたら
すぐにライブが開幕。
目の前に現れるNiziU。
可愛いがすぎて卒倒しそう。
ずっと画面越しで見つめてきた彼女たちが
今、数十メートルと離れていないところに
いるのだ。感動。
1曲目で踊る。
2曲目、踊る。3曲目も踊る。
4曲目…いつまで踊るんだNiziU!すごすぎるよNiziU!
その体力はどこから来てるの?!
私は今この席に立っているだけで
精一杯だというのに…!
そしてなんと言ってもNiziUの
パフォーマンスはフォーメーションが
本当に美しい。
全方位を観客に囲まれている今、
その真価を発揮しているようだ。
360度どこから見ても美しい隊列。
素晴らしいNiziU。
歩道をまっすぐ歩くことすらままならない
私に煎じた爪の垢を飲ませてほしい。
一体、どれほどの努力をしてきたのだろう。
私が掃除するのをためらって
ゴロゴロしている間に
彼女たちは血の滲むような努力を
重ねてきたのかと思うと
色んな意味で涙が出そうだ。
別メンうちわの効果はというと、
うちわを適宜ひっくり返して
必死に手を振っていたらマユカがこちらに
気づいて手を振りかえしてくれた。気がした。
気がしたもん勝ちなので、あの時は私に手を振ってくれたのだと思い込むことにする。裏表うちわにして良かった。
そしてライブはあっという間に終わってしまった。
今日は最後まで集中して見れたので嬉しい。
いつもはMCに「明日のことなんか忘れて騒ごうぜ!!」と言われたら途端に明日のことを思い出して憂鬱になるような人間なので、今回は変なことに思考を妨げられなくてよかった。
終演後、くじのA賞が当たった人たちが
集められているのを目撃してしまったが
羨ましすぎるので必死に目を逸らして帰った。
あのおじさんは今頃アヤカに
会えているのだろうか。
そう思いを馳せながら、昼に買ったミニあんぱんをむさぼり帰路についた。
おしまい
最後までお読みいただきありがとうございます!いただいたサポートで体にいいごはんを犬と猫に買ってあげようと思います。