【読書感想】やっと時代が追いついた!いまこそ「千葉の英雄」ジャガーさんを知ってほしい!
ジャガー自伝 みんな元気かぁ~~い?/ジャガー
とある深夜番組で話題になった、謎だらけの「ジャガーさん」
本書は、そんなジャガーさんを知るための必読書となっている。
※この記事は約4000文字、だいたい8分で読めます。
〇「ジャガーさん」って…、だれ?
わたしが初めてジャガーさんを見たのは、
人気の深夜番組「月曜から夜ふかし」だった。
司会を務めるマツコ・デラックスさんが千葉県出身ということで、
その「千葉が産んだスーパースター」として、
ジャガーさんを取り上げたのだ。
ふつう、「千葉県出身のスーパースター」といえば、
「長嶋茂雄」とか「キムタク」※あたりだろうけど、
そこはそれ、
深夜バラエティーのノリってやつだ。
で、
肝心のジャガーさんについて。
見た目のインパクトからして、
ただモノではない感は否めないが、
それもそのはず。
ジャガーさんはジャガー星人。
つまり、宇宙人(という設定)なのだ。
実際は、千葉県内の市川市本八幡(もとやわた)を中心に活動しているロックミュージシャンであり、
洋服直し店、ライブハウス、飲食店などを経営する
ビジネスマンでもある。
ロック歌手として成功した永ちゃんが「成り上がり」なら、
ビジネスを成功させてからロックスターになったジャガーさんは
「上がり成り」ということらしい。
※キムタクこと木村拓哉さんは、東京出身ということになっているが、
マツコ・デラックスさんと同じ、千葉県内の高校に通っていたことがある。
○物語は「東京大空襲」からはじまった。
まず、いちばんビックリしたのが、
この本の書き出しである。
なんと、「東京大空襲」から始まるのである。
え?なんで…そんな前から書くのかな…
答えはすぐにわかった。
このとき、ジャガーさんは1歳。
え?産まれてたの??
ジャガーさんってそんな歳なの??
もちろん本人に記憶はない。
母親の背中におぶさり、焼夷弾の雨を逃げる途中、
ジャガーさんをくるんでいた服に火がつき、
あっという間に火だるまになった。
もうだめか、と思われたが、
たまたま防火水槽みつけ、ことなきを得たという。
まさに「地獄絵図」としか言いようがない。
知らなかった…。
まさかジャガーさんが
こんな九死に一生を得た体験をしていたなんて…。
〇世を忍ぶ「仮の本業」
ジャガーさんは、何でも自分でやるこどもで、
高校生の時に自作の自動車をつくった。
また、
成績はトップで、東大を狙える!
とまで言われてたそうだ。
こういうスゴいことをサラッとしか書かないのは
ジャガーさんがそこにあまり価値を置いていないからだ。
それよりも、
工作でも洋服でも
「自分でつくること」に興味関心があり、
そこを満たせる進路を選択する。
今の時代ならまだしも、昭和30年代半ばで。
都会ならともかく、地方で。
世間の価値観よりも自分の価値観を優先した選択をする。
ジャガーさんはこの時代にすでに
「自分軸」をもっていたのだ。
戦後の高度経済成長期とあいまって、
ジャガーさんのビジネスは次々に大当たりする。
クリーニング取次店から洋服直し店になり、
パートを雇い軌道に乗ると、
いちどちゃんと勉強しておきたいということで、
洋裁学校に通うようになる。
学校を出て手に職をつけてから、社会に出る。
そんな常識を、ここでもみごとに打ち破ってみるのであった。
いまでいう「リカレント教育」(学びなおし)を
この時代にみずからやっていたなんて、
ジャガーさんの先見の明には驚かされる。
洋服直し店のほかに、ライブハウス、飲食店、美容院なども経営。
ビジネスマンとして大成功したジャガーさんは、
今度はロックミュージシャンとして活動する。
これは、はやりの「FIRE」だ。
「FIRE」とは、
「ファイナンシャル・インディペンデンス・リタイア・アーリー」の頭文字。
先に必要な分のお金を稼いで、
その後は好きなように生きていくというスタイル。
ジャガーさんにとって、ビジネスは
「仮の本業」なのだという。
とりあえず、
生活していかなきゃいけないという意味では「本業」なんだけど、
それはあくまでも「仮」であって、
本当にやりたいことは、ほかにもある。
そういう意味だと、わたしは解釈してみた。
いまの仕事がつらい。やめたいと思っている。でも…。
すぐに転職なんてできないし、
だいいち、
やりたいことがなんなのかも、よくわかっていない…。
副業をやり始めたけど、思うような成果がでなくて、
なかなか今の仕事をやめられない…。
そんな風に考えて、あたまの中がモヤモヤしているなら、
いっそ、ジャガーさんの、
「仮の本業」
という考え方を取り入れてみてはどうだろう。
現状は変わらなくても、
「いまやっていることは“仮”だから…」と考えるだけで、
少しは気持ちが軽くなると思うのだが、いかがだろうか。
○関わった有名人がスゴい
この本には、
ジャガーさんのお店でアルバイトをしてた人から、ミュージシャンとしてかかわりのあった人たちまで、千葉県出身のミュージシャンがたくさん出てくる。
特に、「X-JAPAN」と「氣志團」とのかかわりには、
思わず「ええ話やぁ~」とほっこりしてしまった。
そして圧巻なのが、
聖飢魔Ⅱのデーモン閣下とのツーショット写真!!
わざわざ本を購入してよかったと思えるほどの衝撃。
なんてったって、悪魔と宇宙人。
スマホの待ち受けにしたら、
とんでもない魔除けになりそうなほど、インパクト大だ。
デーモン閣下とジャガーさんの対談は
終始、キャラ設定の甘さをデーモン閣下に突っ込まれるという、
「謎展開」のまま幕を閉じる。
そこはあくまでも容赦しない、と言うことなのだろう。…悪魔だけに…。
○プライドがないのではないッ!ふところが深いのだッ!
それにしても、
千葉県は何を考えているのだろうか。
浦安の埋め立て地を「東京」あつかいされても、
怒るどころか、むしろ誇りに思っているようだし。
以前、成田空港は「新東京」を名乗っていたし。
袖ヶ浦には「東京ドイツ村」などという、
「結局どこなのよ」的な施設まであるし。
そんなんだから、ジャガー星人に侵略され、
本八幡駅前を乗っ取られたのだ。
そういえは、小倉優子のコリン星は茂原にあったし。
大東京の領土拡大にしっぽをふり、
一度ならずも二度までも、宇宙人の侵略を赦してしまった千葉県。
プライド、ないのか~!!
ちょ、まてよ!
プライドがないのではないッ!
ふところが深いのだッ!
宇宙人だろうが何だろうが、受け入れる!
東京だろうが外国だろうが、なんでもあり!
このおおらかさ…。寛容さ…。包容力…。
千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」が
急に雑食モンスターのように見えてきた…(笑)
多様性が求められる今の時代。
いいかげんで、いい加減な
この「気にしなさ加減」が
これからの時代には必要なんだろうな。
○やっと時代が追いついてきた
エキセントリックでサイケデリック。
その いでたちからは想像もつかない人生。
さすが宇宙人だけあって、地球人離れしているなぁ。
一見、自由奔放に好き勝手しているように見えるジャガーさんだけど、
時代の流れを読み、変化に翻弄されながらも商売を続けているのは、
商才に長けていたからだろう。
その後のジャガーさんの活躍はめまぐるしい。
JR総武線(本八幡駅にとまる)で
全面ジャガーさんのラッピングトレインを走らせたり。
(なにやってんだJR東日本…)
地元、市川市のふるさと納税の返礼品になったり。
(どうなってんだ市川市…)
(残念ながら、今はとりあつかってないようですが…)
2021年にジャガー星に帰還してしまったジャガーさん。
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