【あくねこ考察】あくねこ世界の技術水準について

本稿では、あくねこ世界の技術水準がどの程度の物なのか、作中の要素から考察していく。
技術の項目名、大まかな分け方は、筆者が過去激ハマリしていたCivilizationIVのテクノロジーツリーを大いに参考にする。
※Civilizationとは:正式名称はSid Meier's Civilization® 。ジャンルは歴史リアルタイムストラテジーゲーム。プレイヤーは史実の偉人(ナポレオン、ヴィクトリア女王、アレクサンドロス大王、etc…)を操作し、史実の国家(アメリカ、イギリス、フランス、etc…)を率いて、国を様々な方法で富ませ、勝利条件(技術開発競争に勝ち宇宙に進出する、全ての国家を武力で平定する、etc…)を達成するゲーム。本ゲームでは、国を富ませるために科学技術を戦略的に研究してくことが重要になる(海洋国家なら海洋系技術を優先的に研究する、など)。本ゲームで研究する科学技術は史実に準じた内容になっている(登場時期や研究の結果できるようになることが史実に沿っている。例えば「採鉱」を研究完了すると、鉄や銅と言った資源を獲得することができる。獲得した資源は他国に輸出し外貨を稼ぐ、自国で戦闘ユニットを生産するために使うなど、様々な使い道がある)。


注意点

◆本稿で引用している文章は、悪魔執事と黒い猫アプリで実装されている各種ホーム会話やストーリー等からの引用です。
◆本稿で掲載している画像は、特記事項がなければ、悪魔執事と黒い猫アプリで実装されている各種ホーム会話やストーリー等のスクリーンショットおよび悪魔執事と黒い猫公式YouTube動画のスクリーンショットです。
◆本稿では、各種カドスト・おでかけ有料部分のネタバレを含みます。
◆筆者は、すべてのカドスト・思い出を回収していません。そのため既存カドスト・思い出で開示済みの情報でも知らない=言及していない情報があるかもしれません。(教えていただければ全力で取りに行きます!!!)
◆本稿では、可能な限りメタ推理を行わず、ゲーム内で開示されている情報だけで考察を行っています。

お願い事項

◆ご意見・情報・ツッコミ等はコメント、twitterやお題箱等でお願いします!
https://twitter.com/azukibar_nekko
https://odaibako.net/u/azukibar_nekko

考察の前に

考察内で用いる用語・略称等

現実世界:「悪魔執事と黒い猫」をプレイしている、我々の現実の世界≒主様が元々いた世界
あくねこ世界:デビルズパレスのある世界
知能天使でない天使:下級天使
天使らを創り出した存在:創造者
ep〇-△:メインストーリー〇章△(例:ep2-1→メインストーリー2章1部)

考察のベースにしている情報は?

メインストーリー:3章6部まで
イベントストーリー:Perfume of memorieまで

今回の考察の対象

あくねこ世界の技術には何があるか、その技術の水準はどの程度か。

更新日

更新箇所は★でマークしています。
また、誤字脱字等による更新は随時行っているためここには記しません。
2023/08/26 初稿
2023/09/02 イベストPerfume of memorie追加による加筆(7.その他特記事項)、4.5軍事科学に追記


考察

1.太古

1.1 生活・移動(狩猟、漁業、農業、畜産、車輪、帆走、陶器、石工術、採鉱、筆記)
狩猟:
公知の技術である。
ボスキが悪魔執事になる前に、森で狩りをして生活していたこと、ボスキ恒常カドスト「教えを守っただけ」より、ボスキにはかつて生きる術を教わった人物がいたことから。
漁業:
公知の技術である。
ロノがハウレスの魚嫌いを克服するために様々な魚料理を作っていること=市場に流通している食材であることから。
農業:
公知の技術である。
各種スイーツを作るためには大量の小麦粉・砂糖(サトウキビ、テンサイ等)が必要である。農業技術が確立していないとそもそも菓子文化自体が成立しない。
畜産:
公知の技術である。
馬が移動手段として広く使われていること、デビルズパレスで馬の飼育が出来ていることから。
また、羊の放牧が実施されていることから。(ハウレス梅雨会話より)
車輪:
公知の技術である。
馬車が存在することから。
帆走:
公知の技術である。
イベント「Masquerade Jewel」にて、近海を航行できる大型旅客船があることから。
陶器:
公知の技術である。
ティーカップ・ポッド等、様々な容器が存在することから。
石工術:
公知の技術である。
エスポワールの街並みが石畳であることから。
採鉱:
公知の技術である。
各種貴金属のアクセサリーが存在することから。
筆記:
公知の技術である。
各種文書が貴族間でやり取りされていることから。

1.2 思想・信仰(神秘主義、瞑想、多神教、一神教、聖職)
神秘主義:
おそらく公知の技術である。
中央:教会やそこに仕える神父・シスターの存在から、何らかの超越的存在への信仰はあると想定。
東:神獣の伝説、剣舞奉納、穢れの祓い清めなどの儀式的行為があることから、何らかの超越的存在への信仰はあると想定。
西:描写が少なすぎるので何とも言えないが、様々な「掟」は宗教における教義の原型に近いのではないだろうか。
南:マラーク教の存在より。
北:魔術の存在より。
瞑想:
公知の技術である。
様々な思い出・エピソードで執事たちが瞑想を行っている。
多神教:
おそらく公知の技術である。
ルカス夏会話にて、へびつかい座に由来する医学の神アスクレピオスについて言及があった。「医学の神」がいるということは、他の神もいるということである。
一神教:
おそらく公知の技術である。
マラーク教における神は、ただ「神」としか言及されていないことから、一神教ではないかと思われる。
聖職:
公知の技術である。
神父、シスターの存在から。

1.3 軍事(弓術、青銅器)
弓術:
公知の技術である。
ep2より。
青銅器:
おそらく廃れた技術である。
青銅で造られたものの存在の描写がないこと、2023夏イベントルカスカドストにて、かつて風鈴は青銅で造られていたが、今はガラスで造られているとの説明から。

2.古典

2.1 文化(文学、美学、演劇)
文学:
公知の技術である。
各種小説、絵本の存在から。
美学:
公知の技術である。
美術館の存在から。
演劇:
公知の技術である。
イベント「黒鴉の檻」ユーハンカドストにて、劇作家が登場することから。

2.2 学問
(アルファベット(文字)、数学)
アルファベット(文字)
公知の技術である。
本が流通していることから。
また、翻訳者が存在しない?ことから、全ての大地にて同一の文字・言語が用いられている可能性が高い。
数学:
公知の技術である。
通貨、暦、建築学、工学等、数学がなければ成立し得ない技術があることから。

2.3 生活(通貨、暦、建築学)
通貨:
公知の技術である。
貨幣経済が成り立っていることから。(単位:ゼニー)
また、両替所が存在しない?ことから、全ての大地にて同一の貨幣が流通している可能性が高い。少なくとも中央と東では通貨の単位が同一である。
(造幣局はどこに…その貨幣の価値は誰が何をもって保証している…?そもそも金貨・銀貨のように貨幣それそのものが価値を有しているのか、紙幣のように、何らかの機関―大抵は国家ーが価値を保証している類のものなのか…)
暦:
公知の技術である。
年月日の概念および元宵節(ミヤジ2023正月ストより)の存在から。
ミヤジ2023正月ストにて、東の大地出身の料理人が、故郷の元宵節を再現した料理を振る舞っていた。あくねこ世界での元宵節は、正月ストの時間軸より1ヵ月遅い時期に開催するのが本来であるが、中央の大地の元旦に合わせて1ヵ月早いが出店したと述べていた。
この事より、大地・地域毎に独自の暦が存在しうることがわかる。
建築学:
公知の技術である。
種々の屋敷の存在から。

2.4 政治・法(君主政治、法律)
君主政治:
公知の技術である。
4大(3大)貴族による統治は、一つの大貴族の、一人の当主=君主によって統治されているものであることから。
法律:
公知の技術である。
ハウレスが裁判にかけられた過去の事実から。

2.5 軍事(鋳金、鉄器、羅針盤)
鋳金:
公知の技術である。
各種武器、金属部品の存在から。
鉄器:
公知の技術である。
鋳金に同じ。
羅針盤:
公知の技術である。
イベント「Masquerade Jewel」にて、近海を航行できる大型旅客船があることから。
また、各種大地を東西南北で分けていることから。

3.中世

3.1 文化(音楽)
音楽:
公知の技術である。
演奏を行っている種々のエピソードから。

3.2 学問(哲学、神学、光学、工学)
哲学:
公知の技術である。
哲学の対象となる事柄は時代によって大きく異なるが、広義には物事の真理や性質を追求していく学問であるため、ある一分野を極めようとするその行為自体が哲学のそれとも言える。
神学:
不明。
これまでのエピソードにおいて、宗教の存在は示唆されてきたが、それらが研究対象となっている描写が存在しないことから。
光学:
公知の技術である。
2022ジューンブライドイベントの、乾板カメラの存在より。
また、イベント「Masquerade Jewel」にて、近海を航行できる大型旅客船があることから。
工学:
公知の技術である。
ボスキの義手の存在、フェネス恒常カドスト「俺にできること」で工学の本が登場したことから。

3.3 製造(紙、機械)
紙:
公知の技術である。
書物の存在より。
機械:
公知の技術である。
天使の警報、ミシンの存在より。

3.4 経済・職業(銀行制度、ギルド)
銀行制度:
公知の技術である。
ep1のナックが銀行に行くエピソードより。
ギルド:
公知の技術である。
株式会社が存在することから。またアモンが裏の情報屋・盗品販売で生計を立てていたことから、そういった裏社会を取り仕切る組織はあると想定される。

3.5 政治・統治制度(封建制、官吏、神授王権)
封建制:
公知の技術である。
かつて東の大地では、サルディス家以外の貴族も土地を納めて「国」を作っていたことから。
官吏:
公知の技術である。
警備隊、職業軍人=大地を統治する貴族に仕えるものがいることから。
神授王権:
不明。
少なくとも中央・東では、大貴族の当主が神のみに縛られる存在であるという描写は一切ない。
西では、「掟」の存在があり、当主は森の精霊を操れるとの噂があることから、精霊信仰がもしかしたらあるかもしれない。が、当主がどのようにして選ばれているか、そもそもなぜウォールデン家が大貴族、ひいては西の大地の統治者なのかという描写がないため、今のところ、ウォールデン家の権威や当主ががどのようにして確立・決定されているのかは不明。
南では、マラーク教がポートレア家並びにその領地における「国教」に相当する。ごく些細な日常的行為も神の宣託に従うとのことで、当主も神によって定められるものと考えられる。が、当主が神以外の要素、特に法に縛られていないかどうかは描写がなく、今のところ王権神授説により権威を確立しているかどうかは判断できない。

4.ルネサンス

4.1 学問(化学、天文学、教育)
化学:
公知の技術である。
ナック恒常カドスト「潔癖症の執事」より、ナックが人口肥料を造るにあたり、書物より肥料に必要な物質(窒素・リン酸・カリ)およびそれらの配合割合を導き出していたことから、少なくとも物質を構成する要素が元素であり、元素の発見も進んでいるものと思われる。
しかしながら、後述する「核分裂」がおそらく未知の技術であることから、元素の正体が原子であることまではわかっていないはずである。
天文学:
公知の技術である。
イベント「星々の加護」にて、サムルスの村民が天文台を立て、中央の学者がそれを目的に訪れていたというエピソードや、リアソンの遺品である星座早見、日記に記された星の角度、時間、明るさの等級や、それらの数字の意味を現代に産まれた東の大地出身のユーハンが知っていたことから。
教育:
公知の技術である。
ルカス執事スト「傷つけてきた過去」にて、飛び級で学位※を取得したというエピソードから。
※我々の世界で学位を取得したとは、最低でも大学の学部卒・高等専門学校の専攻科卒であることを示す。あくねこ世界にも同等の教育機関があると見て間違いない。

4.2 製造(活版印刷、共通規格)
活版印刷:
おそらく公知の技術である。
あくねこ世界で流通している本がどのように作られているかの描写はないが、本屋にてフェネスが「この本は読んだことがある」というエピソードが複数あることからまず本の複製は必ず行われていることがわかり、そして本屋・古本屋が商売として成り立っている以上、複製は写本以外の方法で行われていると考えられる。その方法は、我々の世界を参考にするなら、活版印刷が最有力候補だろう。(というか他にない。)
共通規格:
おそらく公知の技術である。
イベント「Masquerade Jewel」で登場した旅客船は屋敷よりも巨大であると形容されていた。そのような巨大建造物を作るためには、ネジ・板金・竜骨の形状など、各部品の規格がはっきり定まっていないと建造不可能である。また、ネジなどの大量に必要になる部品は効率化の観点から同一の金型から造られたと考えるのが自然である。このため、共通規格の概念は存在すると考えられる。

4.3 経済・職業(経済学、企業)
経済学:
公知の技術である。
株式会社、銀行の存在から。
企業:
公知の技術である。
株式会社の存在から。

4.4 政治・法・思想(憲法、自由主義、ナショナリズム、民主主義)
憲法:
おそらく公知の技術である。
各大貴族らが、何を根拠に、何を権威として君臨しているか、何をもって治める大地の決定権を有しているか、が描写されていない。
が、特にグロバナー家・サルディス家が2000年以上の長きにわたり中央・東の大地を治めてきたことから、統治の規範となる何かは存在している、と考えるのが自然である。
自由主義:
おそらく存在しない技術である。
2000年以上の長きにわたり、大貴族による統治=君主政治が行われており、主様があくねこ世界に召喚されてなおそれはほぼ変わらないことから。
ナショナリズム:
公知の概念である。
大貴族が統治している大地単位でそれぞれ独自の文化が形成されていることや、各大地の住民が自らを「中央出身」「東の大地の人間」などと言うことから。
民主主義:
おそらく存在しない技術である。
イースト諸侯同盟が発足した際、「貴族による合議制」をとったことから。

4.5 軍事(軍事科学、職業軍人、火薬、ライフリング)
軍事科学:
戦略学、戦術学の観点では公知であるが、戦争に用いる兵器の研究という観点ではほぼ手付かずの技術である。
戦略・戦術について:
ユーハン思い出「冷徹な軍人」にて、撤退を目的とする陣形を主様にレクチャーする様子が描かれていることから、まず戦術について研究されていることがわかる。またこのシーンでは、「撤退とはその場の危機を乗り越え、最終的に勝利をつかむためのもの」と表現されていることから、戦略においても研究がなされているとみてよい。
兵器について:
弓矢が悪魔執事の武器として今まで考慮されてこなかったことと、我々の世界の戦争の歴史から考えるに、あくねこ世界における兵器とは近接武器の類のみを指すのではないかと思われる。
下級天使は、人間と比較し段違いの肉体性能を誇るが(膂力、スピード、飛行能力)、人間を消すためにはその方向に手をかざし光を放つ必要がある。
そのスキをついて大人数で弓矢で射掛ける、ep2でも有効性が証明された網を投げ動きを止めるなど、やり方はいくらでもあったはずだ。
しかしながら、ep2.5でユーハンがフブキが何か企んでいるとバスティンにリークする際、「悪魔執事には天使を倒してきた実績がある。だがサルディス家にはない。」と断言していたこと、フブキが悪魔執事に取って代わるための手段として強化人間の研究を選んだことから、通常の人間が扱うことのできる兵器、特に遠距離武器の研究は行われてこなかったものと考えられる。
事実、フルーレに弓術の素質があり、ep2で知能天使の捕獲に弓矢が有効であるとわかって初めて、悪魔執事の訓練にて遠距離武器の素養を見る訓練が追加された(ep3でフルーレは弓術の手本として呼ばれたが、本人は再訓練だと思い込んでいた)。中央・東の大地の軍では一通り武器の扱いは学ぶとのことだったが、悪魔執事の訓練に採用されていないということは、あくねこ世界における弓術は天使と戦うという水準をクリアしてないレベルだったと想定される。実際、ハナマルは訓練にて弓を3つも壊して(弦を切って)いた。弓は使用者の体格や筋力によって適切な弓力が異なり、それにより弦の張力や弓自体を見直す必要がある。訓練に初めて弓が採用されたという事情もあるだろうが、訓練時に複数の異なる弓を用意していなかった/事前に3人に合う弓を用意していなかったことが、あくねこ世界における弓術水準のお粗末さを表している。
対照的に、我々の世界において、火薬を用いた兵器が登場するまでは、弓は近接武器と共に常に戦場にあった。その過程で様々な種類の弓、矢、射法が研究され、実戦に投入されてきた。現代で戦争に弓が使われることはないだろうが、アーチェリーや弓道などの形で今も残り続けている。
このこと、および後述する「火薬」が兵器転用されなかったことを考えると、あくねこ世界にて、戦いに用いる武器とは近接武器の類のみを指すのではないだろうか。
★(ただ、ep2にてセラフィムは、「通常の弓矢なら避けるまでもない」と発言していた。これはもしかしたら、悪魔と契約していない人間の遠距離攻撃はどのようなものでも無効化する異能を天使が有している、ないしは単純に天使の皮膚が異常に頑強であるという可能性が考えられる。
また投網も、セラフィムは簡単に引きちぎってみせたので、通常の天使でも同様のことができて本当に一時しのぎにしかならず、兵器としては採用できなかった、という可能性もある。
つまり、遠距離攻撃・足止め手段はとっくの昔に試していて、ただの人間では有効打にならないため、研究対象にならなかった可能性はないだろうか。
が、この説は、悪魔と契約していない人間による遠距離武器を用いた天使との戦闘・足止め行為が描写されていないので憶測の域を出ない。)

職業軍人:
公知の技術である。
ハウレス、テディ、ユーハンがかつて軍隊のみに所属し、軍隊より給与等を得ていたことから、職業としての軍人という概念・制度は確立されている。
火薬:
公知の技術である。ただし、兵器には転用されていない。
ヴェリス・フガヤマの花火が存在することから。
また、フガヤマの花火について、フェネスの思い出からから炎色反応の存在が認知・利用されていること、ルカスの思い出から花火は長い歴史を持つということがわかる。
しかしながらこれまであくねこ世界にて「銃器」および「爆弾」の存在が一切登場していないこと、悪魔執事の武器として火薬を用いた武器が採用されていないことから、火薬を武器・兵器として扱う、という概念はまだ存在しない可能性が非常に高い。
ライフリング:
未知の技術である。
上述の通りそもそも火薬を用いた武器があくねこ世界に存在しない可能性が非常に高いことから。

5.工業化時代

5.1 学問・科学技術(科学的手法、生物学、物理学、電気、医術、核分裂)
科学的手法:
公知の技術である。
科学的手法とは何か、は、以下の記事から引用する。(特に太字の部分)

何が科学的で何が科学的でないかという議論は大昔から繰り返されてきました。
(略)
このプロセスは科学的手法と呼ばれており仮説を立て、実験や調査を行い、得られた結果から仮説を証明するというものです。複数の実験や調査を行いそれら全ての結果に対してつじつまの合う論理的な説明を求められることが殆どです。
(略)
今日では天動説は間違った学説とされています。しかしだからといって天動説が科学ではないというわけではありません。科学的に正しいということは科学的手法に従って出された妥当な結論であるという意味であってそれが絶対的な真実であるということではありません。科学的手法に則った結論を受け入れることで科学はより洗練されたものになっていきます。科学を科学たらしめているのは導いた結果の正しさではなく、その導き方であると言えます。

科学と科学的手法|京都大学理学研究科・理学部

ルカスホーム会話にて、既存の手法より洗練された物質の抽出方法について実験・検証を行っているシーンや、ナック恒常カドスト「潔癖症の執事」より、肥料を作るために文献から調査を行い、その結果をもとに最適と思われる肥料の合成比率・投入タイミングを導き出していたことより公知の概念と判る。
生物学:
公知の技術である。
執事がみな血液型を知っていることから。
また、アレルギーの存在が少なくとも貴族の間にまで知られていることから。
物理学:
おそらく公知の技術ではないかと思われるが、電気系以降の分野については手付かずである。
2023夏イベントでホーム画面に描かれてたフガヤマの蓄音機の存在から、音が振動=波でありそれを記録する装置の開発にまで至っていることがわかる。
だが、力学、波動、そして電磁気学について、それらの要素が明示的に示されている描写はないため、はっきり公知とは言い切れない。
電気:
未知の技術である。
電気を用いた物品の存在、電力を用いた動力源の存在が描写されていないため。
医術:
公知の技術である。
ルカス、ミヤジ、そのほかストーリーで登場した医者たちの存在より。
※医術の水準については、筆者に知識がないため割愛する
核分裂:
未知の技術である。
我々の世界における核分裂反応の発見は「陰極線管」を用いて様々な物質に陰極線(電子ビーム)を当てる実験の中で発見されたものである。
陰極線を作るには電圧を人工的に電極に与える必要がある。
電力を用いること自体がおそらくあくねこ世界では未知の技術であるため、核分裂も未知のと言える。

5.2 製造・輸送(蒸気機関、内燃機関、鉄道)
蒸気機関:
現時点では判断がつかない。
蒸気機関を用いているであろうあくねこ世界の要素の候補は、イベント「Masquerade Jewel」で登場した旅客船である。
が、あくねこ世界では人身売買・奴隷の存在があり、彼らが動力となっていた可能性も否定できない。
船舶のほかに我々の世界で蒸気機関が用いられたのは、炭鉱での排水、紡績、蒸気機関車などが挙げられるが、いずれもあくねこ世界での描写はない。しかしながら、居住地域が非常に限られたあくねこ世界では奴隷の数も我々の世界のそれとは非常に少ないと想定されることから、排水・紡績の動力として蒸気機関があってもおかしくはない。
内燃機関:
現時点では判断がつかない。
理由は蒸気機関と同上。
鉄道:
未知の技術である。
ストーリー内で描写がないこともあるが、居住地域が狭いこと、河川で船を用いた移動が度々描かれている=移動手段として一般的であろうことから、おそらくそこまで必要とされていないのではないだろうか。

5.3 経済(大量生産、産業主義)
大量生産:
おそらく確立されていない技術である。
大量生産とは何か、は以下の記事から引用する。(特に太字の部分)

大量生産とは、一定の条件(人や場所、設備、原材料など)が整えば、同じ品質の製品がニーズに応じて継続的につくられることである。
(略)
大量生産の起点をなすのは、産業革命である。イギリスを起点とする産業革命(18世紀後半~19世紀前半)によって、それまでの農業社会は工業社会に変貌し、工業のあり方もマニュファクチュアから機械制大工業へと大きく変化した。機械生産は、人力などの制限を超える大規模生産に道を切り拓くが、20世紀以降にみるような大量生産(およびそれを担う大企業)はアメリカの工業化の過程で出てきたものである。
(以下略)

基礎研WEB政治経済学用語辞典->生産力->大量生産

大量生産を語る上で重要なのは、一定の品質の製品が継続的に作られること、すなわち機械による生産が市場の需要に応じて継続的に作られること、と考えられる。
一定の品質を保ったもので市場の需要が途切れないもの、を考えた時、「糸および布」と「服」は生活必需品であるためひとつの物差しになる。糸は、古くは手紡ぎ・糸車を用いた人力によるものから、水力や蒸気機関といった動力を用いた紡績機によって造られている歴史がある。布も同様に、人力で行う手織り機から動力を用いた自動織機で作られた歴史がある。糸や布が人力で作られている場合、それによって造られる服は高価なものになるだろう。
ep1死神事件の際、カランの街にて複数の服を購入しようとした際、店主は4500ゼニーが限界だと一向に告げた。一方、2023夏イベのフェネスカドストで、古本屋の店主は「貴族が保有していた貴重な歴史書」に最終的に4500ゼニーの値を付けた。そしてフェネスは、その古本屋で扱っていた、エスポワールの図書館にない古い小説を、価値があるものとして同じく4500ゼニーの値を付けた。
歴史書および小説は希少価値および骨董品的価値があるが、それらと複数着であるとはいえつるし売りの服が同程度の価値ということ、さらに、イベント「Wing of frill」では優勝賞品が布であったことから、糸および布はそれ自体がそれなりの市場価値を有していると考えられる。
生活必需品であるにも関わらず、糸および布に価値があることは、大量生産体制が整っていないことの表れではないだろうか。
産業主義:
未知の技術である。
「大量生産」で述べたように、大量生産体制がおそらく整っていないであろうことや、人々の社会的地位が、職業ではなく貴族であるか否かに大きく左右されていることから。
(中央でも東でも、平民が軍人になるには試験を突破する必要があった。特に東はフブキの代になって初めてその道が開かれた。裏を返せば、貴族であれば望めば軍人になれるものと思われる。)

産業主義と訳される。
(略)
産業化(工業化)には資本主義的な路線とか社会主義的な路線とかという多様性があるが、同時にまた社会体制、政治体制の違いにかかわりない共通性もあり、その共通性が貫かれることによって、産業化(工業化)が進んだ社会では普遍的諸特徴をもつ社会が形成されてくる。
その社会の基礎的な構成原理がインダストリアリズムとよばれる。それは体制の違いを問わず、技術と科学の発達によってもたらされ、次のような社会構造上の特徴を呈してくるという。
(1)経済的には、人々の所得が平準化している。
(2)政治的には、複数の利害集団によって権力が分有されている。
(3)文化的には、イデオロギーにかわって科学が中心となる。
(4)社会的には、階層間の格差が縮小消滅し、社会移動が頻繁に行われ、平等で多元的な社会が出現する。
(5)人々の社会的地位は主として教育と職業選択によって決められる。
(以下略)

コトバンクーインダストリアリズムとは

5.4 政治・思想(ファシズム)
ファシズム:
未知の技術である。
ファシズムの定義は、国・研究者によって大きく意味の異なる言葉であるが、ここでは共通する性質に注目する。

第一次世界大戦直後の1920年代初頭から第二次大戦終結時点の1945年までの約4半世紀間にわたり、世界の多くの地域に一時期出現した、まったく新しいタイプの強権的、独裁的、非民主的な性格をもった政治運動、政治・経済・社会思想、政治体制の総称。
(略)
ファシズムの性格
ドイツでは、ファシズムという語よりもナチズムという語が用いられ、日本では天皇制ファシズムあるいは全体主義という語が用いられたように、ひと口にファシズムといっても、3国におけるファシズムの内容はかならずしも同じではないが、共通する性格について述べる。
(1)国家による経済の統制・監督 (説明略)
(2)狂信的民族主義 (説明略)
(3)反自由主義・反議会主義・反マルクス主義 (説明略)
(以下略)

コトバンク-ファシズムとは

4大貴族およびイースト諸侯同盟による統治では、ファシズムの性格に挙げられた要素に当てはまるものは現状見受けられない。

5.5 軍事(鋼鉄、長距離砲)
鋼鉄:
おそらく公知の技術である。
執事達の武器に十中八九使われていること(天使が固いため)、イベント「Masquerade Jewel」で登場した旅客船にも十中八九使われているであろうことから。
長距離砲:
未知の技術である。
遠距離武器の存在が、現状弓以外描写されていないこと、フブキが悪魔執事の対抗手段として研究していたのが強化人間であったことから。

6.現代以降

どれもあくねこ世界では未知の技術であるため割愛する。

★7.その他特記事項

芸術全般について:
イベント「Perfume of memorie」に登場した博物館や、梅雨の時期にナック・フルーレのホーム会話であった美術館の存在より、あくねこ世界では、
1.まず芸術という技術そのものが展示できるほどに成熟して、
2.かつその芸術作品を維持管理・(おそらく常時)公開できるほどに人・モノのリソースを割けるほど余裕があり、
3.そして芸術作品を見ることの需要がある=その世界の人民に芸術に対する理解・造詣・興味がある
ということがわかる。
1は、あくねこ世界は最低でも2000年以上続いている世界なので当たり前と言えば当たり前ではある。
しかしながら、その2000年は常に天使による人類淘汰の危機にさらされた2000年であり、2のようなリソース、1・3のような需要・芸術を究めようとする欲求および余裕があるのかは少し疑問である。
だが天使による襲撃は、現主様が召喚された前後から「これまでになく急に活発になった」とのことで、もしかしたらあくねこ世界における天使の一般市民の理解は、我々の世界での大地震・ハリケーンのような大規模自然災害のような認識なのかもしれない。

結び

本稿ではCivilizationIVのテクノロジー項目をそのままあくねこ世界にあてはめ、当該技術があくねこ世界に存在するかどうかを検討した。
他にも、史実の歴史をなぞることができ、歴史上どのような技術が興り、どのように利用され、廃れていったかを知ることのできる歴史ストラテジーゲームには、Civilization以外にも、Victoria、Crusader Kingsなどのゲームが挙げられる。
本稿では、筆者がプレイしたことがあるという理由でCiv4を選んだが、もし読者の中でCiv4以外のゲームを遊んだことがある方がいれば、そのゲームの技術があくねこ世界にあるかどうか、ぜひ考察してみてほしい。
ゲームによってどの技術がどの時代に分類されるかは、Civilizationシリーズですら異なるが、あくねこ世界にある技術とそうでない技術が何かがわかると、境目となる時代はどこにあるのか?というのが垣間見えて非常に興味深い。
(本稿の考察内容だと、学問・製造では工業化時代が少し見えてくるレベル、経済はルネサンス期レベル、政治・法に関してはルネサンス期からやや劣る?レベル、軍事では、兵器においてはほぼ中世レベルでそれ以外はルネサンス期レベル、と中々にばらつきがあって面白い。)


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