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【あくねこ考察】あくねこ世界そのものについて(第二版)

本稿は、「悪魔執事と黒い猫」における世界設定について考察していく記事です。
第一版投稿から間が空き、色々と新事実が判明したり筆者の考えが変わったりしたので、記事を改めました。
主様とか悪魔執事とかの記事も折を見て改めていく予定です。
今後ともよろしくお願いいたします。


注意点

  1. 引用について

    • ここで使っている文章は、ゲーム内の会話やストーリーから引用しています。

  2. 画像について

    • ここで使っている画像は、特別な記載がなければ、ゲーム内のスクリーンショットや公式YouTube動画のスクリーンショットです。

  3. ネタバレについて

    • この文章には、カドストやおでかけの有料部分のネタバレが含まれています。

  4. 筆者の持つ情報量

    • 筆者は、すべてのカドストや思い出を集めていません。そのため、既に公開されている情報でも知らないことがあるかもしれません。(教えてもらえれば、全力で集めます!)

  5. 考察の方法

    • できるだけゲーム内の情報だけで考察を行い、ゲーム外の情報を使った推測はしません。

    • 例えば、我々の世界において悪魔とは、キリスト教から見れば堕落した天使であったり異教の神であったりします。そのため、あくねこ世界の悪魔は天使の一形態ではないか?(逆もまた然り)と、我々の世界の情報とあくねこ世界の情報を関連付けて考えることが出来ますが、本考察では、考察の根拠に我々の世界独自の要素は用いません。

お願い事項

考察の前に

考察内で用いる用語・略称等

  • 現実世界:「悪魔執事と黒い猫」をプレイしている、我々の現実の世界≒主様が元々いた世界

  • あくねこ世界:デビルズパレスのある世界

  • 知能天使でない天使:下級天使

  • 天使らを創り出した存在:創造者

  • ep〇-△:メインストーリー〇章△(例:ep2-1→メインストーリー2章1部)

考察のベースにしている情報は?

  • メインストーリー:4章4部25話(「追想」part.3)まで

  • イベントストーリー:Butler’s wedding partyまで

今回の考察の対象

  • あくねこ世界そのものについて

更新日

更新箇所は★でマークしています。
なお、誤字修正のような軽微な修正はここには含まれません。

  • 2024/04/08 初稿

  • 2024/04/08 ひな祭りについてユーハン会話内容を追記

  • 2024/04/09 両世界の類似点->3.文字編、あくねこ世界の独自の要素->1.魔女族たち、2.天使の警報、3.四大貴族の序列、4.ミドルネーム を追加

  • 2024/04/11 類似点->3に追記、あくねこ世界の技術水準追加、独自の要素->古の塔、災禍の監獄に追記

  • 2024/06/23 文章を全体的に修正、ミヤジの悪魔の力について追記


考察:現実世界とあくねこ世界の関係性

【1】両世界の行き来

この章では、主人公が持つ指輪を使って現実世界とあくねこ世界を行き来する様子をもとに、両世界の関係性を考察する。

1.場所編

ep1より

ep1-1で、主様が道で指輪を拾い、それをはめるとあくねこ世界に召喚された。主様は「主様の部屋」で目を覚ましたが、ベリアンが言うには、主様が召喚された直後は気絶していたらしい。

ep1より

また、指輪を外すと、現実世界の自宅に戻った。そして、地下倉庫で指輪を外すと、現実世界では自宅に、あくねこ世界では外した場所に現れた。

以上のことから、指輪のつけ外しによる現実世界とあくねこ世界の行き来には、以下の特徴があることがわかる。

①現実世界で指輪をはめると、あくねこ世界に召喚される
召喚される場所は、最後に指輪を外した場所。
疑問:最初に召喚されたときはどこに現れたのか?過去の主様が最後に指輪を外した場所と同じか?

②あくねこ世界で指輪を外すと、現実世界に戻る
戻る先は自宅。
疑問:自宅とは、指輪を外した人間が自分の家と思っている場所のことか?

共通の疑問:デビルズパレス外で指輪を外すとどうなる?
戻る場所は自宅かもしれないが、その後現実世界で指輪をはめなおした際、指輪を外した場所に現れるのか、それともデビルズパレスに戻るのかは不明だ。

Closed secret gardenより

イベント「Closed secret garden」では、村から出ることを禁止されたが、執事たちは主様だけでも逃がすために指輪を外すことを提案した。確かに指輪を外せば現実世界に戻れるが、再び指輪をはめたときに村に戻るとなると解決にならないし、村人に見つかるリスクがある。
そのため、デビルズパレスの外で指輪を外した場合、再びはめたときにデビルズパレスに戻る可能性はないだろうか。もしデビルズパレスに戻るのであれば、主様の身の安全は保障されるので、執事たちはこれを見越したうえで指輪を外す提案をしたのではないだろうか。
しかしながら現時点ではこれ以上の描写がなく、結論が出ない。

2.時間編

ep1より

あくねこ世界における朝、昼、夕方、夜の描写(窓の外の景色)は上記のとおりである。
朝は空が白んでおり、昼は青空が見え、夕方は夕焼けの光が差し込んでおり、夜は濃い紺色しか見えない。

ep1より

現実世界では「夜」、指輪をはめた。
その後、黒猫との短い対話を行う。場所は不明。
そしてあくねこ世界の「昼」に目覚めた。

ep1より

その後初めての天使狩りを行い、「夕方」、指輪を外し現実世界に戻った。
現実世界で目覚めた主様は、一連の出来事を「リアルな夢だった」と感じた。つまり、目覚めた時間は「朝」であったと考えられる。

ep1より

「リアルな夢だった」と感じた後「一日の予定を終えた」わけだが、「その日の夜」に、ベリアンの呼び掛けをきっかけにあくねこ世界に再び召喚された。この時のあくねこ世界は「朝」だった。

以上の「朝」「昼」「夕方」「夜」の時間帯の描写を、以下にまとめる。
1.現実世界の「夜」→(主様気絶)あくねこ世界の「昼」
2.あくねこ世界の「夕方」→現実世界の「(おそらく)朝」
3.現実世界の「夜」→あくねこ世界の「朝」
つまり、これまでの描写では、現実世界とあくねこ世界の時間は、およそ半日程度ズレがあるとわかる。
しかし、一番最初の召喚時に主様が気絶していたことや、つけ外しにより強烈な眠気に襲われ、眠っている?ような描写もあるため、ズレはそのことによるかもしれない。

ep1より

その後、ベリアン・ムーちゃんの目の前で指輪のつけ外し実験を行った。
その際、ムーちゃんは「消えたと思ったらまた現れた!」と驚いた。
前後するが、主様が再召喚された際のベリアンの「昨日も言いましたが」という発言とこの実験結果より、現実世界とあくねこ世界の時間の流れに大きな差異はないことがわかる。(浦島太郎のように、あくねこ世界の一日が現実世界の一ヵ月・一年、などということはない)

以上のことから、指輪のつけ外しを介した現実世界とあくねこ世界の行き来には、以下の特徴があることがわかる。

①指輪をはめることによる主様の召喚は、リアルタイムで行われる
指輪をはめることで、例えば
・特定の日時にのみ召喚される
・指輪を外した日時に召喚される
ということはない。
これらは、主様がいない間にボスキが単独で戦闘を行ったというエピソードでも補強される。
指輪を外すことによる主様の帰還は、おそらくリアルタイムで行われる
主様が現実世界に帰還した際は必ず自室にいるが、日時を確認できる要素がないため、いつ帰還したのか正確な時間はわからない。また同居人もいない?ため、地下倉庫のつけ外し実験について現実世界側でも「消えたと思ったらまた現れた」のかどうかが判明していない。
そのため、指輪を外すことによる主様の帰還は、①で挙げたシチュエーションの帰還バージョン、つまり、
・特定の日時に帰還する
・指輪を外した日時に帰還する
などの可能性を考えることが出来る。
が、現時点で現実世界の要素があくねこ世界に全く関与していないことから、物語上このような複雑な機能を指輪のつけ外しに持たせる意味がない。
メタ的考察になってしまうが、指輪のつけ外しによる主様の召喚・帰還はリアルタイムで行われているとみて良いだろう。
③現実世界とあくねこ世界の時間の流れはほぼ同一である
浦島太郎の様に、あくねこ世界の一日が現実世界の一ヵ月などといったことはない。
④現実世界とあくねこ世界の一日は、半日程度ずれている
指輪のつけ外しを行った描写から、主様の認識では半日程度の時間のズレがあることがわかる。しかし、指輪のつけ外し時に意識を失う描写があり、その間に半日程度の時間が経過している可能性もある。
→結論:上記②が真ならば、意識を失った時間は無視できるレベルの短い時間であり、現実世界とあくねこ世界の一日は、半日程度ずれている。
以下に、初日に指輪を拾った際の時間の流れを場合分けして図にしたものを示す。最初に指輪を拾ってはめた日時を12/24 24:00、ベリアンの静止を遮って指輪を外した時間を12/25 18:00と仮定する。

現実世界とあくねこ世界の時間軸の比較

この図を基に、両世界の時間軸が同じかどうかを考える。

PT1:現実世界とあくねこ世界は同じ時間軸で動いている
結論:間違い。主様が12/26に目覚めたことに驚いていないため。

両世界が同じ時間軸で動いている、つまり、現実世界で12/24 24:00ならばあくねこ世界でも同様に12/24 24:00であるものとする。
この場合、指輪を初めて拾った時は夜、目覚めた時は昼だったので、はめてから目覚めるまでにそれなりの時間が経過していることになる。(ここでは12時間とする)
そして主様は指輪を外して現実世界に帰還し、「リアルな夢だった…」と感じ「その日の予定を終えた」ので、朝に帰還したということだろう。指輪を外したのは夕方であったため、ここでも外してから目覚めるまでにそれなりの時間が経過していることになる。(ここでも12時間とする)
この一連の流れを整理すると、主様が目覚めたのは12/26の6:00とわかる。(上図のPT1を参照のこと)その場合、大きな矛盾点が一つある。それは、主様が目覚めた後、続けて何の驚きもなく「その日の予定をこなした」ことだ。
この段階の主様は、あくねこ世界のことを夢の中の出来事と捉えている。そのため、6:00に目が覚めて、それを受けて「リアルな夢だった」と感じること自体は自然である。しかし、夢であると考えているからこそ、指輪を拾ってから目覚めるまでに12/25が丸一日飛んでしまっていることには、驚きがないとおかしいのである。「その日の予定をこなした」との描写があるため、現実世界で今何日か、を把握しているはずだからだ。

PT2:現実世界とあくねこ世界の時間軸は異なる。
結論:おそらく正解。12時間程度ずれていると思われる。

両世界の時間軸が12時間程度ずれている、つまり、現実世界で12/24 24:00ならばあくねこ世界では12/25 12:00であるものとする。
この場合、指輪を外して現実世界に帰還した時、現実世界では12/25 6:00である。あくねこ世界の出来事を「夢だった」と感じ、その後何の違和感も持たずに「その日の予定をこなす」ことに矛盾はない。
指輪のつけ外しを行う際、主様に強烈な眠気を引き起こさせる?
指輪を拾った当初はつけ外しの際強烈な眠気に襲われていたが、地下倉庫でのつけ外し実験では、そのような様子は見られない。
描写がないだけで実験時も眠気を感じていたのか、眠気を感じるのには条件があるのだろうか?
ep1-1以降、主様が指輪のつけ外しを行っている描写がない?ため、これ以上の考察は難しい。

本章の結論

・あくねこ世界には主様が金の指輪をはめることで行くことが出来る
・主様が金の指輪を外すことで現実世界に戻ることが出来る
・あくねこ世界には、最後に指輪を外した地点に出現する?
・現実世界には、自宅に出現する?
・世界の行き来はリアルタイムで行われる
・あくねこ世界の一日の長さは現実世界の一日と同じである
・あくねこ世界と現実世界は、半日程度の時間の差がある

【2】両世界の類似点

本章では、まずテーマ別にあくねこ世界にある要素を挙げ、その要素が現実世界にもあるかどうか、どの程度似通っているか/異なっているかなどを検討していく。
特に、いわゆるなろう小説の異世界転生・転移ものでよくある「異世界の用語が主人公にわかる言葉に自動で翻訳される」ルールが、悪魔執事と黒い猫でも適用されているのかどうかを考えていく。
例えばあくねこでは、ベリアンが主様に「ダージリンです」「ディンブラです」などと品種名を伝えて紅茶を給仕することがあるが、これらの品種名は全て現実世界の地名から取られている。が、「自動で翻訳」されているとすると、あくねこ世界にある茶葉でダージリンの味に近いものをベリアンが「●●産のものです」などと発言した時、世界が勝手に「ダージリンです」とベリアンの言葉を翻訳して主様に伝えているので、主様にはベリアンが「ダージリンです」と言っているように聞こえている…という具合だ。

1.行事編

本項では、あくねこ世界、現実世界の両方で一年間のイベントをピックアップし、比較してみた。
※ここで挙げたあくねこ世界の行事、特にカドストでのみ言及された行事については、覚えている限りで挙げている。本稿執筆時点で300本以上のカドストが存在するので見返すのは断念。
「これが抜けてる」というのがあればぜひコメント等で教えてください!
※黒のお茶会などの、明らかにあくねこ世界独自の行事は省略した
※現実世界の行事は日本のものを基準にした

あくねこ世界と現実世界の一年における季節行事
見づらくてすみません クリックすると拡大します
赤字:両方の世界にある行事
黒字:現実世界にしかない行事

■類似点
比較すると、現実世界にある多くの行事があくねこ世界にも存在する。特に、以下については興味深い。
・ホワイトデー:近年(1978年とされる)に日本の菓子店または菓子業界が始めたイベントである。しかしながらあくねこ世界は現実世界と比較して明らかに文明レベルが古い世界である。
・クリスマス:イエス・キリストという個人が起源の行事である。現実世界のキリスト教と非常に深いつながりがある。が、あくねこ世界にイエス・キリストに準ずる個人は今のところ描写がない。それどころか、クリスマスを大々的に祝っている中央の大地では、宗教が重んじられている場面がほとんどない。それに対し、南の大地ではおそらく一神教と思われるマラーク教が強く信仰されている。しかしクリスマス時期の南の大地が描写されたり語られたりしたことがまだなく、あくねこ世界におけるクリスマスというイベントとマラーク教との繋がりは不明。
また、あくねこ世界ではクリスマスは根付いている行事であるらしく、「クリスマスと言えばこれ」と言う要素が存在する。詳細は後述する。
・元宵節:カドスト内で語られた元宵節の内容(時期、食べ物、ランタン)が現実世界の元宵節と同じ。

あくねこ世界における「クリスマスと言えばこれ」
2022年のクリスマスイベントでは、マルータの街にて一足早いクリスマスを執事たちと主様で祝った。その際、各階が各々のやり方でクリスマスを祝うとともに主様に感謝の意を伝えたが、その際「クリスマスと言えばこれです」と供したものが、現実世界でも「クリスマスと言えばこれ」であった。
・1F:七面鳥のロースト
クリスマスに七面鳥を食べる文化はアメリカ大陸由来とされる。アメリカの開拓者が食べ物に困った際、原住民から七面鳥を提供され、飢えをしのげたことに感謝して始まった。この習慣がヨーロッパ各地に広がった。当時、七面鳥が普及する前はガチョウがごちそうとされていたが、庶民には高価すぎた。一方、七面鳥は飼育が簡単で一体が大きく、経済的だったため、クリスマスに七面鳥のローストを食べることが定番となったとされる。
・2F:ポインセチア
ポインセチアはメキシコに自生していた花である。17世紀にキリスト教の宣教師がこれを見つけ、赤い苞葉(ほうよう)を見て「清純なキリストの血」と思い、キリストの誕生祭の行列で使ったことが由来とされる。
また、その花や苞葉の形がベツレヘムの星を連想させることから、他の花ではなくポインセチアがクリスマスに用いられる理由ともされている。
・3F:クリスマスツリー(もみの木、頂点の星飾り)
クリスマスに木を飾って祝う習慣は古代ヨーロッパのゲルマン民族の間で冬至の頃に行われていた祭り「ユール」が起源とされる。ユールではもみの木ではなく樫の木を用いていた。樫の木は冬でも枯れない常緑樹であるため、永遠の象徴として信仰対象であった。後にやってきたキリスト教の宣教師が、宣教目的で樫の木を切り倒したところ、そばからもみの木が生えてきたというエピソードがあったこと、もみの木が三角錐の形をしていて「三位一体」を表すことができることから、樫の木に代わりもみの木を祭りに用いることとなったとされる。
またツリー頂点の星の飾りはベツレヘムの星を模したものとされる。
・地下:「クリスマスと言えばこれ」と供したものはなし

クリスマスの事例から見る、あくねこ世界と現実世界の関係
結論:「世界が自動で翻訳している」「対象物の特性からあくねこ世界のクリスマスに採用されるに足る理由がある」で説明がつく。
七面鳥のローストは「世界が自動で翻訳している」説で充分説明がつく。家畜肉をお祭りにごちそうとして供することはあらゆる文化で見られる風習である。
ツリー頂点の星飾りも、あくねこ世界にも流れ星に願いを込める風習があること、ラムリが星を眺めることが好きであること、単純に飾り物として豪華であることから翻訳の有無に関わらず採用されていても不思議ではない。
もみの木は少し疑問が残る。クリスマスツリーで用いたもみの木は常緑樹であるが、常緑樹はもみの木以外にも多くの種類がある。現実世界でもみの木がクリスマスに使用される理由はキリスト教の宣教がきっかけだが、あくねこ世界にキリスト教はおそらくない。なのになぜもみの木がクリスマスに用いられているのだろう?
身も蓋もない説だが、マルータの近辺にはもみの木がたくさんあるとのことなので、手軽に調達できて常緑樹で高さもボリュームもあることから飾りが見栄えするのでマルータでの祭りに用いられるようになり、それが広まってクリスマスにはもみの木、となった可能性はあり得る。
ポインセチアは何故「クリスマスと言えばこれ」なのだろうか。冬に咲く鮮やかな花は多い。現実世界でポインセチアがクリスマスに使用される理由はキリストの血が由来とされるが、あくねこ世界にキリストに準ずる聖人の存在は示唆されていない。あくねこ世界でポインセチアがクリスマスの象徴の花となっている理由はなぜだろう?
ポインセチアの特徴に、他の花では中々見ない鮮やかな赤を持ち、その赤と緑の葉のコントラストが人々の目を惹くことが挙げられる。またこの状態になるのはちょうど12月頃である。冬は様々な植物が枯れる中、ポインセチアは鮮やかな赤と緑の葉となることから縁起物や単に飾りとして重宝された結果、クリスマスの定番となった、という可能性はあり得る。ただこれは他の12月に見頃を迎える花でも代用できるため、「なぜポインセチアか」と言われると厳しいが、逆に言えばポインセチアではダメだ、という理由も見当たらない。もみの木同様、マルータ周辺はポインセチアが良く育つ土地なのかもしれない…

■非類似点
子供に関連する行事があくねこ世界には存在しない?のは興味深い。
端午の節句および七五三は言及自体がないのでもしかしたらあるかもしれないが、ひな祭りは、3/3のホーム会話にて東出身のハナマルが「主様の世界にはいい祭りがあるんだな(意訳)」と話す場面があるため、無いと見てよさそうである。(SS撮り忘れました、お持ちの方いらしたらぜひご提供を…あとユーハンのひな祭り会話は確認自体出来てません…ぜひご提供を…)
情報提供ありました:2024/3/3のユーハンホーム会話にて、「主様の世界ではひな祭りという行事が行われるみたいですね。女性の幸せを願うための行事と聞きました。私の故郷にも似たような風習があります。不思議な一致です。」との会話が存在した。東の大地でも地方によって風習に差があることが伺える。

本項の結論:
あくねこ世界の行事やその中身は、現実世界と多くの類似点がある。
しかしいずれも「世界が翻訳している」「対象物の特性からその行事に採用されるに足る理由がある」で説明がつく。

2.名詞・慣用句編

本稿では、あくねこのストーリー内で言及された、考察に値する語句・要素に絞って考察していく。
※ここでは、「世界」「知識」「道具」「大丈夫」といった、仏教由来であるが生活に完全に溶け込んでいる用語はキリがないので除く
参考:大谷大学ー生活の中の仏教用語
※行事編と同様、全てのカドストを見返すのは無理があるため、筆者が覚えている範囲のものを挙げた。「これは?」というのがあればぜひ情報提供をお願いします…!

■国
結論:あくねこ世界と現実世界で異なる意味を持つ、おそらく唯一の単語である。「世界が翻訳」している対象ではない。

ep1-2より、この世界の統治について

あくねこ世界がどのような単位で統治されているかは、ep1-2のベリアンの説明の通り、「大地単位で」「特定の貴族が」治めている。(北は除く)

ep3-4より

そのため、例えば中央の大地と東の大地が戦争状態となった場合、「グロバナー家とサルディス家の戦争」という表現になる。国同士の戦争、という表現は用いられていない。

左:ep1-5より
中央:ベリアン恒常カドスト「マナーの勉強会」より
右:ミヤジ執事スト「救ってくれた男」より

しかしながら、バスティン・ミヤジの過去エピソードより、二人はかつて「国」に所属していたことがわかる。また、「国同士の戦争」や「国」独自の文化・風習があることが伺える。
果たしてあくねこ世界における「国」とはどういう単位なのだろうか?

ep3-1より

ep3にて、サルディス家が東の大地の小貴族に反旗を翻された。このことを指し「東の大地の内乱」と表現されている。
そのため、少なくとも東の大地では頂点となる貴族が一つ=サルディス家があり、サルディス家に従う複数の貴族達がいることがわかる。
そして、サルディス家配下となる貴族達には、兵を持つ権利≒一定の自治権を持つことが許されている。
この配下の貴族達の地位は、現実世界で言う「豪族」にかなり近い。現実世界での豪族は一定の地域支配権を有する存在であった。そのため、四大貴族配下の貴族達が治める地域を指して「国」というのではないか。
これが正しいとすると、「国」という言葉は、同じ音を当てていながら現実世界とあくねこ世界で別の意味を持つ名詞である。このような言葉は今のところ他に見当たらない。(あるよ!!!!と言うのがあれば教えてくださいお願いします!)
どういった理由であくねこ世界の「国」は現実世界の「国」と違う意味を持つようになったのだろうか。物語上、グロバナー家やサルディス家はそれぞれグロバナー王家、サルディス王朝などとしてもなんら不自然ではない。
ep3ラストで、サルディス家が崩壊し貴族による合議制で東の大地が統治されるとなったが、王家・王朝が内的・外的要因で滅び、共和制や民主制に移行した例は現実世界でもいくつかあるため、そういった点からも四大貴族が貴族という身分とされた物語上の必要性が今のところ不明である。

■内弁慶
結論:「世界が翻訳している」で説明がつく。

ep1-3より

フルーレは、他人に対して人見知りをするが、身内(悪魔執事ら)に対してはそうではない。そのことを指しロノは「内弁慶ってやつ?」と述べた。
内弁慶の語源は現実世界の平安時代の僧兵「武蔵坊弁慶」から来ている。弁慶が気性が荒く乱暴者であったことが由来の理由だ。
このことから、あくねこ世界は現実世界の延長の世界ではないか?という疑問が沸くが、同時に、あくねこ世界の過去の偉人に武蔵坊弁慶のような人物がいて、上記の場面でロノはその人物由来の慣用句を述べたが、世界が翻訳し、「内弁慶」と主様には聞こえた、と解釈することもできる。現時点ではどちらかを判定することは難しい。

■七つの海
結論:「世界が翻訳している」で説明がつく。

Masquerade Jewelテディカドスト「新しい人生」より

イベント「Masquerade Jewel」テディカドストにて、「もし海賊船の船長だったら」という話になり、テディは「(主様と一緒に)七つの海を一緒に巡らないか」と船長の演技をした。テディはこのカドスト冒頭で子供の頃海賊の冒険小説を読んだことがあると話した。七つの海を~というのはその冒険小説から拝借したものだろう。
七つの海というのは、現実世界では、既知の全世界の海を指す慣用句である。「既知の」というのは、その時代時代で「全世界」が異なるからである。現代では全て大洋であることから七大洋とも言う。
このカドストの場面なら、単に「全世界の海」という意味の慣用句を発言したのが世界に翻訳された結果「七つの海」と聞こえた、で十分説明がつく。
だがもし翻訳されていないとすると、俄然あくねこ世界が現実世界と地続きである可能性が高い。外洋への航海は技術的にも人員的にも可能※であり、天使の脅威から逃れるために別の大陸を探す人々がいても不思議ではない。
しかし、結局のところ5つの大地以外に人類が住んでいるようには見えない。そのため、「七つの海」という言葉がどのように生まれたのかという疑問が残る。外洋航海に成功していないなら、海が複数あるという考えは生まれないのではないだろうか。
もちろん、外洋航海から無事に戻った人々の情報を基に海図を作成し、海を7つに分けたという説もあるが、後述の「三千世界」同様、言葉だけが現代のあくねこ世界まで生き残ったという可能性も考えられる。
※:現実世界で初めて世界一周を達成したのは15世紀の頃である。この頃は壊血病の対策法が確立していなかったため、人海戦術で航海に臨んでいた。あくねこ世界であればビタミンが発見されているのでもっと少ない船員で航海に出られるだろう。

■予言の四行詩と三千世界、一場春夢
結論:三千世界はおそらく翻訳されていない。あくねこ世界が現実世界と関連のある世界である可能性が示唆されている。

ep4-3 予言の四行詩、三千世界、一場春夢について

ep4-3でエルヴィラは、おそらくだが悪魔執事達あるいは世界の今後を占った結果を、四行詩の形で主様達に示した。
筆者が真っ先に気になったのが、詩の中の数字を含む単語は、数字を含む必要があるのかどうかということだ。
四行詩は、一行目が4、二行目が3、三行目が2、四行目が1の数字を含む詩で成り立っている。
ここで、二行目の「三千世界」と四行目の「一場春夢」は、現実世界にも存在する言葉である。特に、「三千世界」は仏教用語で、宇宙の単位である。
四行詩を構成する言葉に数字を含めるという作法はないため、どのような必要性があって「三千世界」「一場春夢」という単語が選ばれたのか、数字が行を追うごとに4,3,2,1と下っていっているのはなぜだろうか。

まず、各行について、数字に着目して考察していく。
この予言が示すところは、現時点ではまだ答えが示されていないので「解釈」になるが、

一行目:
・天使陣営に力のある存在(≒知能天使)が四体存在し、地上に「裁き」を下す
・地上の四ヵ所に天使達が「裁き」を下す
(中央、東、西、北だろう。南は天使信仰があるので対象外とみた)
二行目:
天使たちに対抗できるのは世界全体で見ても悪魔執事のみ
三行目:
天使たちに対抗するには悪魔執事の数は20でも足りない
四行目:
近い将来、夢から覚めるときがくる
(夢とは何か?誰の夢か?など、四行目の解釈はリンク先の筆者の考察をご覧ください)

という内容だろう。
この内容を正しいとして、真に数字を含む必要性がある行は一行目だろう。
二行目・四行目は解釈の段階で数字の要素が無くなるので必要性がないことは自明である。
三行目は、要は今の悪魔執事の数では足りない、ないしは単純に悪魔執事の数をそろえるだけではどうしようもない事態がやってくるということを示唆する内容であるので、数字は17以上であれば何でもよい。何でも良いということは、数字を含む必要はないと言える。
一行目は、四と言う数字に意味があるだろうと感じた。
一行目の解釈について、上記で二つを述べた。
前者の解釈の場合、現在、天使陣営には知能天使が3体、下級天使たちが軍団で存在する。また、十中八九天使たちは創られた存在であるため、天使たちの創造主がいるだろう。
これらを踏まえて「四つの光」がなんであるかを考えた時、劇中で執事たちが解釈したように知能天使が4体かもしれないし、3体の知能天使+下級天使達で「四つ」かもしれないし、3体の知能天使+創造主で「四つ」かもしれないし…と複数の「四つ」のパターンがある。
複数の「四つ」のパターンがあるということは、状況次第では「五つの光」かもしれないのだ。だが、予言では「四つの光」となっているため、天使陣営がこの後どう変化しようと、4つに分類される人類への脅威となって地上に顕現する、と解釈した。
後者の解釈の場合、これはカッコで書いた通りである。地上は5つの地域に分けられているにも関わらず4つの大地が「裁き」の対象になる、と考えると「四つ」という数字は重要な要素である。

白の崇拝より。「神」に背かなければ「裁き」は来ない?

さて、予言の四行詩で、解釈内容から数字に意味があるのは一行目の「四つの光」だけであるとわかった。
この場合、四行詩で出てきた「三千世界」「一場春夢」は果たして「世界が翻訳した」結果の言葉なのだろうか。
筆者は、「少なくとも三千世界は翻訳していない可能性が高い」と感じた。

二行目から四行目は上記で考察した通り数字自体に意味はないだろう。
だが三行目は読み解く会話内で「20」という数字に皆着目していたことから、世界が翻訳していたとしても、20という数字は残り続けている。
そうなると一行目と三行目は詩の中に数字があり、かつその数も行数と関連している。そのような中、二行目と四行目は数字と無関係…というのは少し考えにくい。

四行目の「一場春夢」は、栄華が儚くひとときで終わってしまう様が表現でき、「1」の要素があればどの様な言葉でも良く、「一場春夢」には「一炊之夢」「黄梁一炊」という言い換えも存在する。これは「世界が翻訳していた」としてもおかしくはない。そもそもの一場春夢の「ひと時の春の夢のよう」という表現は普遍的であり、あくねこ世界に元からあってもおかしくない。

二行目はムーちゃんが「三千世界ってなんですか?」と聞き、ボスキが「東の大地に伝わるどこかの宗教の言葉だ」と言葉の由来を述べた。なので、仮に世界が翻訳していたとしても、「三千世界」は単に「世界のすべて」を訳したような言葉、例えば英語で直訳したときの「universe」「whole world」の様な単純な言葉ではないはずだ。
特定宗教で用いられる特殊な単語で、「この世のすべて」という意味を持ち、単語に3という数字を含む…
世界全体を3つに分割する概念自体はいくつかあるが※1、それらを表す一つの単語となると思いつかない。
ただ、「3」と言う数字は、現実世界で神性・信仰・思想を表すのに度々用いられている※2。
そのため、あくねこ世界でも三千世界に該当する宗教用語がないとは言い切れない。
…言い切れないのだが、「東の大地に伝わるどこかの宗教の言葉」で、「三千世界」は、いくらなんでも出来過ぎだと感じる。2023夏のフガヤマイベントでフガヤマの祭りに参加したが、フガヤマの夏祭りはどこからどうみても日本の夏祭りと同じであった。また、別邸執事の部屋やハナマルが暮らしていた教会に畳が敷かれていた。そしてロノ恒常カドスト「気に入ってほしくて」では、ロノから給仕された東の大地の料理を主様は「中華料理みたい」と評した。このこと以外にも東の大地のものとして描写された様々なものが、極東アジア圏の文化と高い近似を見せる。
そう考えると、「東の大地に伝わるどこかの宗教」はもう「仏教」としか思えない。あくねこ世界にて宗教はマラーク教しか描写されておらず、また中央や東の大地の一般人が、何かしらの宗教を信仰している描写もない。「伝わる」とボスキが表現したことから、「どこかの宗教」はかつては信仰されていたが今は信者が少ない・いない宗教だろう。
※1:縦横高さ、空陸海、天地人
※2:キリスト教:三位一体、ヒンドゥー教:三神一体、インド思想:トリヴァルガ、中国民間信仰:三星信仰

長くなったが結論としては、あくねこ世界は現実世界とつながりがあり、どこかの段階で仏教が廃れたが少なくとも用語は後世に語り継がれ、今回の予言で「世界全体」を示す言葉として三千世界が用いられた…可能性がある、である。

余談だが、仮にあくねこの英語版があったとして、「三千世界」「一場春夢」はどう訳されるのだろう。何も考えずに訳せば「三千世界」は「Universe」あるいは「Whole world」、「一場春夢」は「King for a day※」などとなるだろうが、それぞれ3と1の要素を持たせるとなると英訳に苦労しそうだ。
※:一場春夢の直接の対義語が英語にないため、近い意味の「三日天下」の対義語を用いた
実際に英訳する際は、各行の関連性は詩の頭で持たせるのではなく韻を踏む形で持たせるのだろうか…詩は全くの門外漢なのでもし英語版があるならぜひ読んでみたい。なお中国・韓国語版の場合なら翻訳には苦労しないだろう。一場春夢は古代中国の「侯鯖録」から取られているし、三千世界は仏教用語のため中国・韓国にもその言葉自体が存在するだろう。

3.文字編

本稿では、あくねこ世界で使用されている文字について描写されているシーンを材料に、現実世界との関連を考察していく。

ep1-1より

主様からみて、屋敷の表札には「Devil's Palace」と記載されていた。
また、ムーちゃんが身に着けていた首輪には「MUU」と書かれ、ロノはそれを、ムーと読む前に、「えむゆーゆー」と読んだ。
このことや、イベント「星々の唄」にて、リアソンの名前をムーが読み上げる際「R.I.A.…」と一文字ずつ読み上げたことから、あくねこ世界では文字として現実世界と同じアルファベットが使われていることがわかる。

2023年正月イベント「Butler's New Year」より

2023年正月イベント「Butler's New Year」では、3F執事が主様のために複数種類(金運上昇、恋愛成就、合格祈願…)あるお守りの中から一つを選んで主様に贈った。結果、画像の通りルカスは「無病息災」、ナック・ラムリは「家内安全」を選んだ。この3つのお守りや、店頭でお守りを物色する際、皆お守りの祈願の文面を読むことに苦労を見せていなかった。
つまり、あくねこ世界の文字には漢字?が存在し、少なくとも中央と東の大地には「母国語」といって差し支えないレベルで浸透している?と思われる。(ラムリの幼少期は悲惨で、まともに教育を受けていたかも怪しい。執事になってから読み書きを覚えたとしても何らおかしくはないが、漢字が読めるということは、漢字を学ぶ必要があった=漢字が日常に浸透している、ということではないだろうか。)
また、画像にある漢字の形は、現実世界の漢字とはかなり異なるように見える。「無病息災」は土台のお守りが文字と同じ黄色なのでかなり見づらく判断に困るが、「家内安全」は、筆者には3文字にしか読めない。草書のくずし字が一番近い?と思われるが、それはそれで特に主様が一発で読めたことが謎である。ただこれは、かなりメタ視点になるが、悪魔執事と黒い猫アプリを操作している我々ユーザーにはあくねこ世界の漢字がそのままの形で見えているが、主様には、世界が翻訳して主様が読める形の漢字に見えている…という可能性はある。

2ndAnniversary Tarot of Destinyより

イベント「Tarot of Destiny」で、エルヴィラより送られたタロットカードを一人一人確認する場面、ハナマルのカードを確認する際、死神のカードに対し「「DEATH」…「死」って書いてあるし。」と述べた。
これは、タロットカードそのものに両方の単語が書かれていたという場合と、タロットカードには「DEATH」としか書かれていないが、ハナマルが「死」と訳して読んだ、という場合の両方を考えることが出来る。
ただいずれの場合にせよ、「DEATH」は「死」と同じ意味を持つ単語であるということは、あくねこ世界でも同じであることがわかる。
そのため、あくねこ世界には、少なくとも2つの言語が存在し、それら2つの言語は一般人に広く浸透しているということがわかる。
その二つの言語は、主様視点では「日本語」と「英語」であるが、世界が翻訳している可能性は十分ありえる。

「Butler's valentine」ナックカドスト「誓いの夜」より

2022バレンタインイベントのナックカドストにて、主様はナック直筆の手紙を受け取ったが、画像の通り主様は字を一目見て誰からの手紙か、を判別できた。

ep2より

ep2でハウレスを励ますために主様はアイディアを紙に書き記したが、ハウレスも一目見て主様の字だ、と判別できた。
このことから、主様は執事たちの字を、執事たち(少なくともハウレス)は主様の字を何度か見ていることになる。そして、「主様の世界の文字とはこのようなものなのですね」というエピソードがないことから、(ないだけかもしれないが…)あくねこ世界の文字=現実世界の文字である可能性が示唆されている。
執事たちの字は世界が字の癖ごと翻訳して主様に見せている、主様の字も世界が字の癖ごと翻訳して執事たちに見せている、で説明がつくと言えばつくのだが、これもまた「三千世界」と同じで、少々出来過ぎな感じを受ける。

本項の結論:
あくねこ世界には少なくとも二つの言語が存在し、一般人に両方の言語が広く浸透している。主様から見ればそれらは「日本語」と「英語」だが、「世界が翻訳している」可能性は否定できない。

4.花言葉編

割といろんな場面で頻繁に花言葉が登場するので比較したいところですが、イベストもカドストも文章量が膨大で追うのがきついです。すみません。いつかやります。いつか…いつか…

本章の結論

あくねこ世界は現実世界と何らかの関連がある可能性が示唆されているが、現時点で公開されている情報では決定的な要素に乏しく、全くの異世界であるという説を否定するまでには至らない。


考察:あくねこ世界の技術水準

本章では、各種ストーリー・思い出等から読み解ける、あくねこ世界の技術水準がどの程度か、を考察していく。
基本的には以前に投稿した記事に任せるが、本章では、特に話題に値する内容について挙げる。

1.あくねこ世界に電気技術や電気を利用した物品はあるか?

結論:ない。
根拠:電灯・電話が存在しないため。

あくねこ世界に電気技術や電気を利用した物品が存在するかどうかは、電灯および電話が存在するかどうかで判定できると筆者は考えている。
■電灯
現実世界の電気の利用の歴史を紐解くと、照明としてまず利用された。電気を利用することにもリスクはあったが、従来の火やガスを利用する照明に伴うリスクを大きく減らすこととなったため、電力網は照明のために大都市に急激に広まっていった。
あくねこ世界に電灯があるかどうかは、エスポワールやグロバナー邸になければないだろう。資金面でもそうだが、人工照明を必要とする場面が最も多いのがここだろう。(裁判所、行政窓口等の書類仕事を行う箇所が多そう)だが現時点で電灯が利用されている様子はなく、電灯は存在しないとみて良さそうである。
■電話
電話は、ご存じの通り直接顔を合わせることなくリアルタイムで情報のやり取りができる手段・技術である。
天使は全くの無秩序に表れ、たった一体の天使によって町や村が一つ壊滅状態にまで陥る。このような世界でリアルタイムで情報伝達のできる手段がどれほど重要かは論じるまでもないだろう。
各村に…となると伝送路を引くコストや村の電話機に電力を供給するコストが高くつくので無理かもしれないが、主要都市や施設、例えばエスポワールやグロバナー邸とデビルズパレスは、真っ先に回線が敷設されていることだろう。現時点でそのような描写がないため、電話も存在しないとみて良さそうである。(情報伝達手段として伝書鳩をデビルズパレスで飼っているのも一因)
以上より、あくねこ世界における電気は、「雷や摩擦などの自然現象で発するエネルギー」程度の認識でしかないと想定される。

2.なぜ遠距離攻撃手段が発達していないのか?

結論:通常の人間の遠距離攻撃は、天使に対する有効打におそらくならないから。

ep1-3より

ep1-3死神事件にて、執事たちの奮闘空しく、ゼパルの遺体は持ち去られた。この時フルーレに弓があれば、と思わずにはいられない。

ep3-1より

ep3にて新執事3名の訓練が行われたが、その中に弓を用いたものがあった。これは、ハウレスの「フルーレの時の様に隠れた才能を見落としたくない」というセリフから、初めての試みと思われる。またこの訓練でハナマルは弓を3張り分、弦を切ってダメにしている。つまり、ハナマルの筋力に合った弓を用意していなかったことになる。
このことから、悪魔執事の武器として通常弓は採用されないと想定される。しかしながら、現主様の召喚以前・以降どちらの場合でも、天使討伐に弓は有効である。

劇中の描写より、下級天使の生態は次の通りと考えられる。
現主様召喚以前の生態については【以前】と表記する。
・【以前】天使は一体で現れる
・【以前】天使は無秩序に現れる
・【以前】天使は人間を襲う、その目的に固執する(決して逃げない)
・天使は手のひらから光を放ち、光を人間に当てることで人を消す
・天使は人間を消すために人間と接近戦を行ったり、建物を壊したりする
・天使は立ち向かってくる人間相手に接近戦で対応する(上空からビーム乱発みたいな塩試合的行為を行わない)
・天使は戦意のない人間に光を当てて消す?(戦意を見せる人間には光を当てようとしていないように見える。光の照射には何らかの制限がある…?)

天使は人間と接近戦を行う習性があることから、近接攻撃手段が発達していったことは自然である。
だが、だからこそ遠距離攻撃手段も発達していないことが疑問である。
悪魔執事ならば近接攻撃のみでも十分天使に対抗できるだろうが、二人一組になり、近接攻撃で天使をひきつけ隙を見て遠距離攻撃で羽を攻撃すれば、より安全に天使討伐が行える。実際、イベント「Honeymoon knight」「Tarot of Destiny」では、フルーレはラト/主様を強襲した天使をカウンターパンチのごとく射貫き一時的な無力化に成功している。
悪魔執事でなくとも、決死隊で近距離攻撃を挑み天使を足止めしている間、弓兵隊で決死隊ごと天使を矢衾にかける、頑丈な投網を投げたり建物の上から樹脂を流して天使を無力化する、花火、転じて大砲を天使に当てるなど、様々な手段が挙げられる。決死隊前提の戦法は人道的ではないが、天使は人類の天敵である。手段を選んで全滅するぐらいなら犠牲も止む無しではないだろうか。
人海戦術を基本とするサルディス家ですら、天使との対抗手段に、最終的には強化戦士の作成という手段を取った。このことから通常の人間が行う遠距離攻撃は、
・天使の異能か何かで無効になる
・天使が遠距離攻撃を行う者を真っ先に狙う習性がある
などの理由で無意味である可能性が考えられる。
後者は、単に遠距離攻撃隊を複数用意すればいいだけであるため、有効な理由ではないだろう。
前者は、ep2でセラフィムが「通常の弓矢ならかわすまでもないが、悪魔執事のものならかわさないと」と、悪魔執事の放った矢を避けていた。このことからも、天使には遠距離攻撃に関する何らかの異能があるのではないかと考えられる。

3.伝書鳩

ep1-5より

あくねこ世界の謎技術の一つに、伝書鳩の存在がある。
伝書鳩は拠点→執事間のみならず、執事→拠点間の通信を可能としている。
現実世界の伝書鳩は、鳩の帰巣本能を利用した技術であるため、送信側を巣とする鳩と受信側を巣とする鳩の二羽が必要である。
一方あくねこ世界の伝書鳩は、リアルタイムで場所を移動している執事に通信を送ることが可能である。鳩の感覚は人間に近いとされている(※リンク先pdf)ことから、あくねこ世界の鳩が現実世界の鳩と同じなのであれば、上空から姿orにおいを検知しているということもない。
どのように劇中のような伝書鳩システムを成立させたのかは、以下の二案が考えられる。
1.あくねこ世界の鳩は、伝書鳩システムを成立させる特徴を持った動物である。
身も蓋もないが一番考えられるのが本案。伝書鴉とレイヴンマスターなる存在までいる。そもそもあくねこ世界は推定異世界である。天使、悪魔、小人族…現実世界にない生物(?)は他にもいる。
2.誰かの悪魔の力によるものである。
個人的に本案だとグッと物語の没入感が高まってよいのではないかと思う。
この場合、誰の悪魔の力だろうか?
2-1.悪魔の力が判明していない執事の誰かである。
今のところ、一人の執事には一つの悪魔、一つの悪魔には一つの能力という描写しかなされていない。
前者について:悪魔との契約はそれ自体が命の危険がある行為で、かつ生涯にわたって悪魔から自身の絶望と死を狙われるようになる。悪魔を抑え込むためには強い精神力が必要との説明もあることから、一人の執事が複数の悪魔と契約することは、可能だとしても誰もやっていないのではないかと想定される。
後者について:新執事3名の悪魔の能力の説明の時でも一つの能力しか開示されず、本人たちも他の能力があるという自覚がなかった。既執事も同様であり、一つの悪魔には一つの能力、とみて良さそうである。
なお、ミヤジの悪魔の力は不明扱いとする。ミヤジが悪魔の力を解放すると姿形が獣人間のようになるが、これはベレンが異形と化したのと仕組み的には同じである。フルーレがep3でミヤジの悪魔の力を「悪魔と一体となる」と述べるが、これはおそらくフルーレの勘違いである。(詳しくはイベント「執事の祈り」ミヤジストをぜひ読んで下さい。)
★ホーム会話にて、ミヤジ本人から悪魔の力が「全ての身体的な能力の増幅」であると説明があった。
2-2.ラムリではない。
ラムリは伝書鳩が窓から入ってきたことに驚き、「誰から?」とルカスに問いかけている。ラムリが伝書鳩を操っていたのならこのような疑問は出てこない。
2-3.ラムリが能力を把握している執事ではない?
伝書鳩が窓から入ってきたことに驚いていたので、誰かが操っているという発想がないかもしれない?
ただ、この場面は、どちらかというと伝書鳩が窓から入ってきたこと、今回の調査に伝書鳩が用いられていることに驚いているという描写の様に思える。
2-4.アモンではない。
ハウレス班に伝書鳩が到着した際、「ルカスさんの伝書鳩だ」とハウレスがリアクションした。ハウレス班の誰か、この場合アモン以外の悪魔の能力はわかっているので、アモンが鳩を操っていたらアモンが「鳩がきた」とリアクションを返すのが自然である。

上記をまとめると、可能性があるのはナックである。
今後の情報開示に期待する。


考察:あくねこ世界独自の要素

本章では、各種ストーリー・思い出等から読み解ける、あくねこ世界独自の要素について考察していく。

1.魔女族たち

ep1-2より

ep1-2で舞踏会の買い出しにエスポワールに赴いた際、ナックとアモンから魔女族について簡単な紹介がなされた。
この記述や周囲の描写より、以下の疑問点が浮かぶ。
①魔女族は人間なのだろうか?
アモンが「人間と言うか」と言ったことから、魔女族はあくねこ世界の「人間」とは違う人種である可能性がある。
イベント「Palace of rose」にて、舞台となった薔薇屋敷の女主人を指してルカスは「魔女の秘術に魅せられた"一人"」と形容した。
アモン、ナック共に悪魔執事になる以前は裏稼業に携わっており、魔女族と関わりのある依頼が舞い込んできたことはあったのではないだろうか?(ライバル貴族の持つ呪具を奪ってこい・壊してこい、魔女族との繋がりを探って来い、など…)
その二人が「人間と言うか」と表現し、それを否定しないあたり、人間ではないかもしれない。
が、現時点では判断材料に乏しく、これ以上は難しい。
②魔女族に後ろ盾はあるのか?どのように自衛しているのか?
四大貴族どれにも属さないこと、若い女性しかいないことが噂として知られている魔女族だが、彼女らはどのように自らの身を守っているのだろう?
・四大貴族ではない別の大貴族が後ろ盾になっている
イベント「Palace of rose」より上流階級にも魔女の秘術に傾倒しているものはそれなりにいると伺えることから、そういった物好きな大貴族が後ろ盾になっている可能性はある。が、代替わりのタイミングで手を引く場合は十分あるため、大貴族の後ろ盾は、あったとしてもメインの自衛手段ではないだろう。
・魔術を自衛に使用している
一番ありそうな説。ep2でエルヴィラは「魔術はむやみやたらに使うものではない」と魔術の使用を常より戒めていることを述べたが、魔女族の危機を救うためならば「むやみやたら」の範疇には入らないだろう。
・そもそも自衛の必要が無い
ep2にて古の塔に向かう際中、魔女族の街に滞在する機会があったが、随伴していたグロバナー家偵察隊は「魔女族は謎の多い一族だ。何をされるかわからない。」と街に滞在することを拒否した。同様の忌避感が広く浸透していれば、襲おうとする不埒者はほとんどいないかもしれない。が、天使はそのような噂などお構いなしだろう。自衛の必要が無い、というのはあり得ないだろう。
③エルヴィラはなぜエスポワールに来たのだろうか?
魔女族の存在理由、立ち位置についてまだ描写が不足しているため、ここではありそうな要素について列挙するに留める。
・単なる買い出し
・一般に流通させて問題ない薬や工芸品や氷を卸に来た
(電気製品としての冷蔵庫のないこの世界において氷は高級品と思われる)
・依頼を受けたので、依頼主に会いに来た
・依頼したいことがあり、エスポワールの仲介業者的な人物を尋ねに来た
・依頼ではないが誰かと約束した用事を果たしに来た
・占いにより導かれた
・単なる気まぐれ

2.天使の警報

ep1-2より

ep1-2でナックと一度別れた後、主様達は倉庫に誘拐されたが、この際天使の警報を聞くことなく天使に遭遇した。
天使が出現した際は必ず警報が鳴っていたが、この時鳴らなかったのは何故だろう?
・倉庫が音を遮断していたのでは?
→十中八九違う。一般市民にとって天使の警報を聞けるかどうかは生死を分かつ事項である。あくねこ世界のあらゆる建物は警報が聞き取れる構造になっていなければおかしい(貧民街にありそうな、職人でない人間が作った建物は別だろう。最もそれはそれでお粗末なつくり故に警報は聞こえそうだが)。
・天使出現が見逃されたのでは?
→これも十中八九違う。エスポワールはグロバナー家の城下町である。天使出現を常時監視する体制がとられているはずだ。
・運悪く出現した地点が倉庫近辺で、警報を鳴らす前に襲撃された?
→消去法で理由はこれだろう。

バスティン恒常カドスト「治したい眠りグセ」より

バスティン恒常カドスト「治したい眠りグセ」にて、バスティンとムーちゃんとでエスポワールに赴いた主様が喫茶店で休憩した際、バスティンは強烈な眠気を我慢していた。ムーちゃんが主様の面倒をみるので寝ていてよいとなり、画像の通りバスティンが眠った後メニューを選んでいると、何の前触れもなく天使が表れ主様達を襲った。この後バスティンがすぐ目覚め対処し事なきを得たが、この時も警報は鳴っていなかった。

郵便屋の贈り物より

イベント「郵便屋の贈り物」にて、悪魔執事たちの活動を妨害する目的で、貴族の命令で偽の天使の警報が鳴らされた場面があった。このことから、街を治める貴族にはその街に対して警報を鳴らす権限を持つことがわかる。

これらのことから、天使が出現した際の警報は、一衛兵が勝手に鳴らしてよいものではなく、鳴らす権限を持つ者(衛兵隊隊長など?)が承認して初めて鳴らすという運用になっているのではないだろうか。
ep1-2や「治したい眠りグセ」では、天使の存在に気づいた衛兵はいたかもしれないが、それを権限者に報告し警報を鳴らす承認を得る前に悪魔執事が対処したので鳴らなかったのだろう。

3.四大貴族の序列

ep1-2より

舞踏会にて、招かれた3名の大貴族は、サルディス家・ウォールデン家・ポートレア家の順番で入場した。
この舞踏会は四貴族の政治の場である。入場順には必ず意味がある。
では、どのような順番で決定されたのだろうか?
①家としての歴史が古い順である?

ep4-3より 西の大地の歴史

サルディス家はグロバナー家と同じく2,000年以上の歴史がある。
ウォールデン家は、おとぎ話として語り継がれるほどの長い歴史を持つ。ただ、西の大地の民は、ウォールデン家系を除いて皆短命であり、具体的な歴史の長さは不明。
ポートレア家は、ポートレア家主催と思われる祝祭について、祝祭の詳細が中央に知られていなかったことから、歴史の浅い家なのではないかと推測する。
②戦力順である
あくねこ世界における「戦力」とは天使に対抗できる力であり、天使に対抗する悪魔執事以外の主な手段は人海戦術であることに留意。
サルディス家は悪魔執事出現前まで最も強い戦力を持っていた。また現時点で領地・人口共に最大との説明があり、人口≒戦力であることから、三貴族の中では最大の戦力を持つ。
ウォールデン家は、そもそも西の森から外に出ようとしない=天使と積極的に戦おうとしないことから、政治の場における戦力、と言う観点からは最下位ではないだろうか。
ポートレア家は具体的な描写がないため不明だが、消去法で三貴族の中では2番目か。
③アルファベット順である
サルディス=Sardeis?
ウォールデン=Walden?
ポートレア=Port・・・なんだろう???
どのみちアルファベット順ではなさそうである。あくねこ世界の文字が我々の世界のアルファベットと同一であれば、だが。
④東西南北順である
あくねこ世界でも方角の数え方が「東西南北」であれば、最も角の立たない基準ではないだろうか。
ただし、現実世界において、漢字圏では「東西南北」だが西欧語圏では「北南東西」である。もし④が正しいとすると、あくねこ世界は現実世界の漢字圏をベースにした世界、かもしれない…?

4.ミドルネーム

ep1-2より

ナックは、フブキもそうであるが、名家出身であるが名前は名と家名のみで構成されていることがわかる。ミドルネーム・洗礼名の類は存在しないのだろうか。
※現実世界の命名の風習、特に中世西欧の文化については筆者は全く詳しくないので、ここでは問題提起に留める。

5.古の塔

古の塔は現代を生きる主様も知らない材質で作られ、雲を突き抜けるほど高い。
誰がどのような目的で作った施設なのだろうか?

仮説①:
創造者によって創られた、天使生産のための施設。場合によっては、創造者の冷凍睡眠施設。
根拠:
【あくねこ考察】天使について → 4.天使たちを創ったのは誰か?を参照されたし。

仮説②:
汚染を食い止めるための結界である。
根拠:
【あくねこ考察】天使について → 5.天使の素体、あるいは材料は何か?の仮説で述べた、天然資源を材料としたときの項目を参照されたし。
また、次の「災禍の監獄について」を参照されたし。

ep2より、古の塔全体像

また、古の塔は建物として見た場合、違和感がある。
画像の赤丸の部分をよく見ると、まるで、何かの土台の上に、長い別の建造物が真上から降ってきたように見える。
古の塔は、現代を生きる主様ですら「こんなに高い建物は見たことがない」とリアクションした。そのような建物を、こんな不安定なつくりにするだろうか?
また、この階段と思われる部分も、いったい何のための階段なのかわからない。通常の人間が使うならこんなに長い階段はいらないし、傾斜も急すぎる。ただの装飾だろうか…?
また、塔の間近まで?近づいた執事たちは扉を見つけ、「かなり大きい」とリアクションした。しかし画像を見る限りどこに扉があるかわからない。階段状の部分が実はシャッターかもしれないが、あくねこ世界の住人がシャッターを「扉」と認識するのは厳しいだろうし、主様が「シャッターみたい」とリアクションしていてもよさそうである。
そうなるとこの画像の古の塔は、かなり遠くから見た状態の画像とわかる。

6.災禍の監獄

ep3-4より

主様の感想とグラフィックが合ってないというツッコミは一旦忘れることにしよう。(水面綺麗だし緑もある…。)
ここでは災禍の監獄は主様の感想の通りの状態と仮定して進めていく。
真っ黒に染まった、というと石油やタールなどの化学物質流出による汚染を思い浮かべるが、主様はにおいについて言及していない。また、この後ラト奪還のため監獄に乗り込む際に舟で監獄まで渡ったが、特段障害があったという記述がないことからも、まず油系の汚染ではないこと、においがある物質による汚染ではないことがわかる。
なら単純に真夜中だから黒いのでは?と思うが、満月が近い状態で観察した結果「真っ黒な湖だ」と言っているので、光の反射を吸収するような物質が混ざっているのかもしれない。(筆者はこの辺りの知識に乏しいので、有識者からのご意見お待ちしています。)
また、周りに一切の生き物の気配がしない、植物もないとあることから、やはり水中は何らかの有害物質で汚染されていて、かつ周辺の土壌も同様に汚染されているか、微生物すら生き残れないぐらい土壌が瘦せている可能性が非常に高い。

災禍の監獄は、あくねこ世界のほとんどを占める「人の住めない環境」にあるとep2でベリアンが説明していたので、他の居住不可地域も同様の状態であるとわかる。
この状態と、居住可能地域を比較すると、天と地ほどの差がある。
何が境目になっているのか、何をもってこの2つの環境が区切られているのか、この居住不可状態は伝播してこないのかどうか、ep4以降の描写が待たれる。
(個人的には、古の塔が結界になっているのでは?と感じている。ただの思い付きだが。)

ep3-5より

また、建物としての災禍の監獄も、劇中の人物視点で違和感があることがわかった。
「統一感がない」「長い時間をかけて建物が増築されていったよう」というのは、古の塔にも同じことが言えないだろうか。階段状の部分、塔中央から左右に増築されたような箇所があるなど…
また、ep4で監獄内部を探索した際、主様達は地下室を発見した。その地下室の床面にあった「扉」と思われる設備の素材が、古の塔と同一なのではないかと言うことが分かった。
このことから、災禍の監獄と古の塔は高い関連性を持つことがわかる。

7.絶望への誘惑

ep3-5より

ラトが放火を決意するに至った、「???」の一連のセリフやその後のアレクの感謝のセリフは一体誰が発したものだろうか?

①実験体の子供、あるいはラトが実際に発したセリフ、またはラトの妄想の産物である
その場では発していないが、これまでの生活の中でこれらのセリフを発していた可能性は十分考えられる。ラト自身もそのように考えていたとしてもおかしくはない。一緒に逃げだそうという一世一代の提案を、最も親しいアレクにも断られ、辛い記憶が思い出された、という可能性は十分あり得る。
最後のアレクの感謝は、ラトの妄想の産物ではないだろうか。そうでなければ現実に耐えられない。

②何らかの超常的存在が外部から唆した
放火の準備が整っている状態のラトに、「早く殺して」「自由にして」と、懇願するセリフを発して、本来助けるはずだった仲間の子供たちやアレクを自らの手で殺させることで、後にこのことを自覚した時、確実に絶望に落とすよう、何者かが仕向けた可能性はないだろうか。
また、ep2.5でテディが療養先の病院で見た悪夢も、兵士は「「また」お前だけ助かったんだな」と、かつてのテディの絶望を想起させるようなセリフを発した。
絶望的状況にある人間に、確実に絶望を感じられるようにするため、何らかの超常的存在が悪夢や妄想を見せている可能性はないだろうか?
②-1悪魔
今のところ、悪魔に人類全体を抹殺したいという願望は描写されていないので、可能性は低い。(契約により縛り付けられている状態から自由になりたい、そのために契約者に死んでほしい、と考えている?)
テディの件は、元々兄の代わりに生き残ってしまった、という負い目も重なって、ラトと同じく自ら妄想したのではないか。
②-2天使
絶望することでラトの様に暴走し周りを巻き込むことで、旧人類の殲滅により近づけるようになるため、メリットはある。が、ラトのように周りを確実に巻き込めるパターンが多いか、と言われると、疑問が残る。
②-3人類に味方する何者か
人類にとっては、悪魔執事の素質がある人間を生み出すという明確なメリットがあるので、天使をどうにかしたいと考えた何者か(ゴエティア様?)が、深い絶望に陥りそうになった人間に干渉するような何らかの超常的手段を現在に至るまで継続させている、かもしれない…

③元々人類の内側に存在した悪魔が、内側から唆した
悪魔は、自由な状態の悪魔を無理矢理捕まえて縛り付けているのではなく、元々あくねこ世界の人類の内側にいた存在と仮定する(☆thx @MariaHaniel)と、悪魔が人間から自由になるため、絶望に陥れ、自死を選ぶよう唆したのではないか。
事実、各執事のホーム会話にて、天使によって家族を失った人間が自死を選んだことについて言及する会話が存在する。これはもちろん本人の精神力の問題で悪魔関係なしにそうなってしまう場合もあるだろうが、内側の悪魔が唆した結果そうなった、というケースはないだろうか?
反論:
イベントストーリー「Butterfly forest」では、村長のキノタが失われつつある祭りの復興に何十年と取り組むも、ついには成功せず、さらに気づけば母親が認知症を発症し息子である自分のことを忘れられていた。
絶望するに十分な状況がそろっているにも拘らず(事実、村を訪れた主一行に諦めから「余計なことをするな」と何度も釘を刺していた)、自死や心中などの、悪魔が唆しそうな状況に至っておらず、またそのような幻覚に苦しむシーンもない(ないだけかもしれないが…)。
このことから、内側に悪魔がいる説は、少なくとも人類全体に共通する特徴ではない可能性が高い。ただキノタ氏は何十年もの間ほぼ独力で復興に尽力した精神力の持ち主なので、唆しを意に介さなかった説もなくはない。
なお、キノタ氏を前述の「人類の味方」が唆さなかったのか?は、悪魔執事には戦闘力も求められるため、壮年となってしまったキノタ氏は対象外だろう(復興尽力中は唆してたかもしれないが)。

8.イースト諸侯同盟

ep3にて、災禍の監獄で行われていた人体実験が明るみになり、サルディス家は4大貴族を除名となった。
東の大地は、それまでサルディス家に反乱を起こしていた小貴族らが「イースト諸侯同盟」を発足し、彼らの合議にて治められることとなった。
しかしながら、彼らがすんなりまとまったとは考えにくい。
サルディス家は少なくとも悪魔執事出現前より東の大地を納めており、後に語られたミヤジの加入時期からも考えて最低でも2000年の歴史を持つ貴族であり、我々の世界でいうと、一つの王朝に相当する。
我々の世界で王朝が廃される際には、その王朝に代わる別の王朝が興ることが多かったが、この度、サルディス家に代わる別の貴族がトップに立たなかったということは、サルディス家が長きに渡って東の大地全土を治めてきた正当性・権威・軍事力・ノウハウに相当するものを、どの小貴族も持ち得ていなかったということである。
そうなると、どこかの小貴族が全土を統治しようとしても、まず統治自体が非常に困難なこと、困難であるため他の大貴族にとってはまさに今が東の大地を征服する好機であることから、守りのために一時的に同盟を組んだのではないか。
中央の大地に友好的態度を取っていることが何よりの証左である。
そして、多数の貴族の合議で決めるといっても、結局のところ力の強い貴族の発言権が強いことには変わらないため(強力な地盤を持つ貴族ほど、他の貴族に対して裏から圧力をかけることなど容易だろう)、いずれサルディス家に代わる新たな東の大地を代表する貴族が台頭してくるだろう。これまで大貴族による独裁を長く続けてきたが、人民も貴族も、そう簡単にその慣習から自ら変わっていくことは難しい。
今悪魔執事や中央の貴族にできることは、またサルディス家の様に野心溢れる貴族が台頭してこないよう、グロバナー家なしには東の大地を治め得ない、となるよう、今のうちから様々な援助・交易を行っていくこと…だろうか?

9.サルディス・フブキの逃亡

ep3にて、災禍の監獄の件が明るみになった際、フブキは囚われの身となったが、護送中に行方をくらました。
フブキの信奉者によるものとの予想がなされ、ユーハンは「我が身可愛さに」と評したが、おそらくそれだけではないだろう。
イースト諸侯同盟が瓦解した際、数千年統治を行ってきたという歴史を「正当性」として、再びサルディス家を筆頭貴族として担ぎ上げるための神輿として、フブキは確保された可能性はある。人体実験の件についても、結局は勝者が歴史を作るので、イースト諸侯同盟を制圧した後からなら何とでも言える。
他にも、フブキは歴代サルディス家遺した記録を読み漁ってきた人物の中で唯一の所在不明な人物である。その記憶を目的に攫われた、と言う可能性も大いに考えられる。
いずれにせよ、フブキの身柄の確保は重要事項だと考えるが、今は統治で手一杯と言うのもその通りだろう。今は、上記の危険性をイースト諸侯同盟に打診し、何とか確保に人員を割くよう要望する以外に、現状取れる手立てはない。(グロバナー家も捜索部隊を出しているとのことだが、土地勘がないとかなりつらいだろう)

10.過去の遺物

主の思考:
 箱の中には、一本の鍵が入っていた。
 まるで鍵そのものが、宝石でできているのではないかと思えるような…。
 そんな美しい光沢を帯びた黒い鍵だ。
(略)
ミヤジ:
 これは、一体いつの物だ…。
 箱の劣化具合からして、かなり昔のものみたいだが…。
(略)
ルカス:
 私も、初めてこの鍵を見たとき…。
 何の鍵なのか分かりませんでした。
 しかし、この鍵の頭に刻まれた紋章を見て…。
 私は、これがベリアンに関係あるものだと思ったのです。
(略)
ルカス:
 この紋章は、ベリアンの物と一致しているんですよ。
(略)
ベリアン:
 これは…。
 お父様…。
 いえ…。
 ゴエティア様がお作りになられた鍵です。

ep3-6より

①何のために造られた鍵か?

①-1古の塔の扉を開ける鍵である
一般的に「鍵」は錠前を開けるために存在する。
この世界で、遺物であるこの鍵に対応する錠前が何かと言えば、同じく遺物である古の塔が連想される。
悪魔執事の数は16人、世界に存在する古の塔も16基。
可能性としては十分考えられる。
★しかし、今後悪魔執事が増える可能性についてストーリー中で示唆されていることや、ベリアル以外の紋章の鍵の存在が示唆されていないことから、有力な説とは言い難い。

①-2悪魔との契約の儀式に用いる祭具である
悪魔は、契約者の精神力によって文字通り鎖で縛り付けられている様子がep3-5で描写された。その鎖を繋ぎ合わせているもの、封印をしているものの錠前が、この鍵ではないだろうか。
ただこの鎖は現実に存在するものではなく、契約者の心の中で、契約者の精神力によって具現化されているものである。
従って、現実にあるこの黒い鍵は、悪魔との契約の際、悪魔を鎖で縛り付ける契約の儀式のどこかの段階で、心の中の鎖による封印を完了させるための儀式用祭具なのではないか。
またこの仮定が正しいのなら、ベリアン以外の全員が鍵を見ても思い当たることがなかったこと、ベリアンがこの鍵を探していたこと、サルディス家領地内にある災禍の監獄から見つかったことに驚愕していたことも説明がつく。
悪魔との契約は、デビルズパレス外で行い・数カ月かけて行うもの・命がけの行為であること、以外の情報は契約者にすら情報が明かされていない。
明かされない情報の中には、儀式手順・儀式用祭具の存在もあって当然である。
また、後にベリアンから、ベリアンの契約している悪魔「ベリアル」は、ベリアンの育ての父であるゴエティア・クライアンの契約している悪魔でもあったことが分かった。このことより、悪魔の力は継承できる、あるいは一度自由になったとしても再度別の人間と契約を結ぶことが可能だとわかる。
そうなると万が一ベリアンが死ぬことがあった場合、祭具が契約に必要ならば、ベリアルとの契約は行えなくなってしまう。
悪魔の総数についてはまだ公開されていないが(十中八九72柱だろうが…)、減ってしまうこと自体が人類にとっての損失であり、さらにベリアン自身にとっても、地下室に幽閉した「彼」を生かし続けるためにも、鍵の確保を望んでいたことは自然である。
そして、この鍵がサルディス家領地内から発見されたことも、鍵が悪魔執事に深く関係するのならば驚いて当然である。サルディス家は、数千年の長きにわたり悪魔執事を擁してこなかった。

②なぜ災禍の監獄から見つかったのか?
現時点では描写がなさすぎて何とも言えないが、当時の中央と東は天使という共通の敵に対して協力できていて、万一にも鍵が天使あるいは利己的な人間に見つからないよう、災禍の監獄という天然の要塞の中に隠匿したのではないだろうか。


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