【あくねこ考察】ep3-4~3-6を読んで
本稿は、「悪魔執事と黒い猫」メインストーリー第3章4部~6部より得られた情報を元に考察していく。
本稿で考察した内容は、別稿の各種考察にも同じ内容を掲載している。
本稿は物語の時系列順に考察要素を読みたい場合にご活用下さい。
注意点
◆本稿で引用している文章は、悪魔執事と黒い猫アプリで実装されている各種ホーム会話やストーリー等からの引用です。
◆本稿で掲載している画像は、特記事項がなければ、悪魔執事と黒い猫アプリで実装されている各種ホーム会話やストーリー等のスクリーンショットおよび悪魔執事と黒い猫公式YouTube動画のスクリーンショットです。
◆本稿では、各種カドスト・おでかけ有料部分のネタバレを含みます。
◆筆者は、すべてのカドスト・思い出を回収していません。そのため既存カドスト・思い出で開示済みの情報でも知らない=言及していない情報があるかもしれません。(教えていただければ全力で取りに行きます!!!)
◆本稿では、可能な限りメタ推理を行わず、ゲーム内で開示されている情報だけで考察を行っています。
お願い事項
◆ご意見・情報・ツッコミ等はコメント、twitterやお題箱等でお願いします!
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考察の前に
考察内で用いる用語・略称等
現実世界:「悪魔執事と黒い猫」をプレイしている、我々の現実の世界≒主様が元々いた世界
あくねこ世界:デビルズパレスのある世界
知能天使でない天使:下級天使
天使らを創り出した存在:創造者
ep〇-△:メインストーリー〇章△(例:ep2-1→メインストーリー2章1部)
考察のベースにしている情報は?
メインストーリー:3章6部まで
イベントストーリー:水龍の唄まで
※イベントストーリー「Butterfly forest」の重大なネタバレを含みます。
今回の考察の対象
メインストーリー3章4部~6部。
更新日
更新箇所は★でマークしています。
誤字脱字等による更新は随時行っているためここには記しません。2023/7/25 初稿
ep3-4 違和感
1.ルカスの杜撰さ
意外とルカスは口を滑らせたり、計画をちゃんと隠蔽できてなかったりする。
本当に土壇場で作戦を大幅に変えるとなったら、もうこの作戦で行くしかないとか、事態は動き始めているとか、そのような言い回しになるのでは、と感じた。
また襲撃に向かう格好にしても、「東の大地の反乱軍」に偽装して「グロバナー家の輸送部隊」を襲うのに、なぜグロバナー家のローブを着ることにしたのだろう?
そして、ミヤジがひとまず納得?した後の、ルカスの各人への指示があまりにもテキパキとしていた上に、ユーハンに「サルディス家の終焉」をはっきり口にしてしまった。
今回の作戦は、最終的には全員に打ち明けることを想定していたからさほど気を使わなかっただけかもしれないが、今後、本当に秘密にしないといけない計画が出てきた場合、少々気がかりである。
2.ラムリの絶望
今回、ラムリは「自分も執事として役に立ちたい」と、自身の存在意義を確かなものにすべく、奪還作戦に立候補した。
しかしながら、結果として当初の奪還作戦はブラフであったため、ラムリは今回の彼自身が立てた目標を達成することが出来なかった。
ラムリは、「執事の祈り」ラムリストにて、「役に立ててば愛してもらえる」「役立たずでダメな子だと愛されない」という価値観を持っていることが伺える。
また、ラムリ執事スト「どうして捨てたの」にて、
とあることから、愛してもらうため必死で役に立とうと努力するも、結局は捨てられてしまい、おそらくはその時に「結局努力してもムダ」という価値観が芽生えてしまったのではないか。(そして日々のサボリ行動に繋がる)
そんな中、執事として役に立とう、と一念発起した結果、役に立てなかったどころか、参加した作戦はブラフでしかなく、ラムリがいようがいまいが関係なかったという事実は、ラムリにとって重くのしかかるのではないか。
また後述するが、悪魔は執事が絶望ののちに死ぬことを望んでいる可能性が非常に高い。ストラスは悪魔化の反動もしくは執事同士の相打ちでの死を狙っていたが、自害をさせようとする悪魔がいてもおかしくはない。
ep4以降で、ラムリが救われることを祈るばかりだ。
ep3-5 狂乱
1.災禍の監獄
主様の感想とグラフィックが合ってないというツッコミは一旦忘れることにしよう。(水面綺麗だし緑もある…。)
ここでは災禍の監獄は主様の感想の通りの状態と仮定して進めていく。
真っ黒に染まった、というと石油やタールなどの化学物質流出による汚染を思い浮かべるが、主様はにおいについて言及していない。また、この後ラト奪還のため監獄に乗り込む際に舟で監獄まで渡ったが、特段障害があったという記述がないことからも、まず油系の汚染ではないこと、においがある物質による汚染ではないことがわかる。
なら単純に真夜中だから黒いのでは?と思うが、満月が近い状態で観察した結果「真っ黒な湖だ」と言っているので、光の反射を吸収するような物質が混ざっているのかもしれない。(筆者はこの辺りの知識に乏しいので、有識者からのご意見お待ちしています。)
また、周りに一切の生き物の気配がしない、植物もないとあることから、やはり水中は何らかの有害物質で汚染されていて、かつ周辺の土壌も同様に汚染されているか、微生物すら生き残れないぐらい土壌が瘦せている可能性が非常に高い。
災禍の監獄は、あくねこ世界のほとんどを占める「人の住めない環境」にあるとep2でベリアンが説明していたので、他の居住不可地域も同様の状態であるとわかる。
この状態と、居住可能地域を比較すると、天と地ほどの差がある。
何が境目になっているのか、何をもってこの2つの環境が区切られているのか、この居住不可状態は伝播してこないのかどうか、ep4以降の描写が待たれる。
(個人的には、古の塔が結界になっているのでは?と感じている。ただの思い付きだが。)
2.ミヤジの絶望
ミヤジ執事スト「救ってくれた男」では、ミヤジがかつて目の前の瀕死の患者を助けようとするあまり、次に運ばれてきた患者を後回しにしている描写がある。
ミヤジはかつて軍医であったとのホーム会話と併せて考えると、南での宗教戦争で瀕死の患者ばかり構い、結果として他の患者を死なせてしまったことを繰り返したのではないだろうか。
3.ラトに施された洗脳について
ラトの絶望は「信頼を裏切られたこと」「愛してくれる人に裏切られたこと」であろう。悪魔化を克服したことにより、ラトには「愛してくれている人がいる」という確信を得、絶望を克服するに至ったが、克服したのはあくまで絶望だけであり、洗脳は未だ解けていないと想定される。
今後、洗脳を解くか否かはラトの意思次第だろうが、おそらくラトは頓着しないだろう。ラトにとって重要なのは「信頼」であり、自身が「家族」に愛されているという確信である。仮に洗脳を解いて、天使に対する恐怖心が戻ってきたとしても、絶望を乗り越えたラトであればいずれ克服するだろう。
4.絶望への誘惑
ラトが放火を決意するに至った、「???」の一連のセリフやその後のアレクの感謝のセリフは一体誰が発したものだろうか?
①.実験体の子供、あるいはラトが実際に発したセリフ、またはラトの妄想の産物である
その場では発していないが、これまでの生活の中でこれらのセリフを発していた可能性は十分考えられる。ラト自身もそのように考えていたとしてもおかしくはない。一緒に逃げだそうという一世一代の提案を、最も親しいアレクにも断られ、辛い記憶が思い出された、という可能性は十分あり得る。
最後のアレクの感謝は、ラトの妄想の産物ではないだろうか。そうでなければ現実に耐えられない。
②.何らかの超常的存在が外部から唆した
放火の準備が整っている状態のラトに、「早く殺して」「自由にして」と、懇願するセリフを発して、本来助けるはずだった仲間の子供たちやアレクを自らの手で殺させることで、後にこのことを自覚した時、確実に絶望に落とすよう、何者かが仕向けた可能性はないだろうか。
また、ep2.5でテディが療養先の病院で見た悪夢も、兵士は「「また」お前だけ助かったんだな」と、かつてのテディの絶望を想起させるようなセリフを発した。
絶望的状況にある人間に、確実に絶望を感じられるようにするため、何らかの超常的存在が悪夢や妄想を見せている可能性はないだろうか?
②-1.悪魔
今のところ、悪魔に人類全体を抹殺したいという願望は描写されていないので、可能性は低い。(契約により縛り付けられている状態から自由になりたい、そのために契約者に死んでほしい、と考えている?)
テディの件は、元々兄の代わりに生き残ってしまった、という負い目も重なって、ラトと同じく自ら妄想したのではないか。
②-2.天使
絶望することでラトの様に暴走し周りを巻き込むことで、旧人類の殲滅により近づけるようになるため、メリットはある。が、ラトのように周りを確実に巻き込めるパターンが多いか、と言われると、疑問が残る。
②-3.人類に味方する何者か
人類にとっては、悪魔執事の素質がある人間を生み出すという明確なメリットがあるので、天使をどうにかしたいと考えた何者か(ゴエティア様?)が、深い絶望に陥りそうになった人間に干渉するような何らかの超常的手段を現在に至るまで継続させている、かもしれない…
③.元々人類の内側に存在した悪魔が、内側から唆した
悪魔は、自由な状態の悪魔を無理矢理捕まえて縛り付けているのではなく、元々あくねこ世界の人類の内側にいた存在と仮定する(☆thx @MariaHaniel)と、悪魔が人間から自由になるため、絶望に陥れ、自死を選ぶよう唆したのではないか。
事実、各執事のホーム会話にて、天使によって家族を失った人間が自死を選んだことについて言及する会話が存在する。これはもちろん本人の精神力の問題で悪魔関係なしにそうなってしまう場合もあるだろうが、内側の悪魔が唆した結果そうなった、というケースはないだろうか?
反論:
イベントストーリー「Butterfly forest」では、村長のキノタが失われつつある祭りの復興に何十年と取り組むも、ついには成功せず、さらに気づけば母親が認知症を発症し息子である自分のことを忘れられていた。
絶望するに十分な状況がそろっているにも拘らず(事実、村を訪れた主一行に諦めから「余計なことをするな」と何度も釘を刺していた)、自死や心中などの、悪魔が唆しそうな状況に至っておらず、またそのような幻覚に苦しむシーンもない(ないだけかもしれないが…)。
このことから、内側に悪魔がいる説は、少なくとも人類全体に共通する特徴ではない可能性が高い。ただキノタ氏は何十年もの間ほぼ独力で復興に尽力した精神力の持ち主なので、唆しを意に介さなかった説もなくはない。
なお、キノタ氏を前述の「人類の味方」が唆さなかったのか?は、悪魔執事には戦闘力も求められるため、壮年となってしまったキノタ氏は対象外だろう(復興尽力中は唆してたかもしれないが)。
5.ラトと嘘
エイプリルフールのホーム会話でもラトは嘘をつこうとしない。
上記のストラスとの会話とも併せて、ラトは嘘をつくことを何よりも嫌っているということがわかる。
そのため、少なくともラト加入後の過去の主様は、ラトを裏切るような別れ方はしていないことがわかる。もし裏切っていたのなら、初対面の会話で「どうせあなたも裏切ってくるのでしょう」と、嫌悪感MAXの態度を取られたことだろう。
過去の主様については未だに影も形も見えないが、ラト加入以降の主様については少なくとも誠実な人間であったか、ラトが一切関心を持てない人間だったか、何らかの理由で亡くなってしまったか、いずれかではないだろうか。
6.ラトとストラス
①.ラトが「自我を保って」いたことについて
ラトは、劇中の描写にもある通り、悪魔化しても自我を保っていて、本人は幻覚と勘違いしていたとはいえ、他人と会話もできていた。
これは、ラトがグロバナー家に捉えられてからアレクに化けたストラスが幻覚の姿をとって丹念にラトを精神的に追い込み、ストラスの言い分をラトに信じ込ませることに成功したから、自我を失う必要が無かったのではないだろうか。
後述するが、悪魔は十中八九契約者の過去を読み取る能力を有しており、常に契約者の死を狙っていることから、契約者の絶望を想起させるきっかけがあればいつでもどこでも幻覚を見せてくることだろう。(現に、ラトがアレクとお母様という単語を思い出した瞬間、ストラスがアレクの幻覚を見せ始めた。)
その際、ラトと同じように悪魔の言い分を完全に信じてしまった執事は、「自我を保った」状態になると想定される。その場合、今回ミヤジが取った行動のような、悪魔の言い分が嘘であると確信できる明確な証拠や状況を用意する必要がある。なければ、悪魔化から脱するのは厳しいだろう。
②.悪魔の能力
ストラスは、ラトがアレクとお母様という単語を思い出し苦悩しだした直後から、アレクの幻覚をラトに見せ、アレクを演じつつ、信頼している人物であるミヤジが助けに来るなど、おかしなことであると断言した。
また、ラトが悪魔化するまで、ストラスはラトの過去の事実を織り交ぜながら、ラトの絶望の理由である「信頼していた人物から捨てられたこと」を刺激していったことから、悪魔は、契約者の過去の記憶を、たとえ本人が忘れていたとしても、知る能力を持つことがわかる。
③.悪魔の目的
この会話より、悪魔は契約者の死により自由になることを何よりも望んでいることがわかる。
また、「お前の」と言ったことから、悪魔同士助け合う・連携するという概念はおそらくなく、自身を縛り付けているものの命のみを狙っていることがわかる。
気になるのが、「絶望に突き落として殺してやる」という点。
単なる負け惜しみか、悪魔が自由になるには契約者が絶望した上で死亡しないといけないのか、どちらともとれる。
現時点では何とも言えないが、もしどのような過程であれ契約者が死にさえすればよいなら、ep2で偽トリシアを見つけた時のハウレスは明らかに精神的に弱くなっていたと思うが、その時に幻覚を見せさらに動揺を誘い、天使との戦闘で命を落とさせる…という手法を取ってもよさそうである。
この時は悪魔執事が複数人いて戦闘での落命は期待できそうにないと判断した可能性もあるが、もしかしたら、契約者が悪魔化しないと悪魔は自由になれないのかもしれない。
7.フルーレの絶望
「俺も昔そうだったから」というセリフや、フルーレの過去が描かれた、執事の祈り・Palace of Roseのカドストでは、周りから理不尽な扱いを受けて、憤りを感じている様子が描写されていることから、フルーレの絶望は、復讐・怒りがキーワードとなることが予想される。
8.ベリアンの本気
上記の描写通り、ラトは主様の呼びかけに対し、一喝の後、即短剣投擲を行った。
ラトの身体能力の高さはこれまでにも数多く描写されてきた。特に、悪魔の力を解放せずとも天使の羽を落とせるほどの腕力があることは特筆すべき事項である。
そんな腕力の持ち主の、不意打ちに近い本気の短剣投擲を、細い柄・そこまで幅のない刃の槍ではじいたベリアンは、非常に高い戦闘能力を持っていることがわかった。(最低でも2000年以上、悪魔執事として生き残っているので当然と言えるが…)
ep3-6 隠し事
1.イースト諸侯同盟
これまでサルディス家に取って代わろうとする小貴族たちが反乱を起こしていたが、すんなりまとまったとは考えにくい。
サルディス家は少なくとも悪魔執事出現前より東の大地を納めており、後に語られたミヤジの加入時期からも考えて最低でも2000年の歴史を持つ貴族であり、我々の世界でいうと、一つの王朝に相当する。
我々の世界で王朝が廃される際には、その王朝に代わる別の王朝が興ることが多かったが、この度、サルディス家に代わる別の貴族がトップに立たなかったということは、サルディス家が長きに渡って東の大地全土を治めてきた正当性・権威・軍事力・ノウハウに相当するものを、どの小貴族も持ち得ていなかったということである。
そうなると、どこかの小貴族が全土を統治しようとしても、まず統治自体が非常に困難なこと、困難であるため他の大貴族にとってはまさに今が東の大地を征服する好機であることから、守りのために一時的に同盟を組んだのではないか。
中央の大地に友好的態度を取っていることが何よりの証左である。
そして、多数の貴族の合議で決めるといっても、結局のところ力の強い貴族の発言権が強いことには変わらないため(強力な地盤を持つ貴族ほど、他の貴族に対して裏から圧力をかけることなど容易だろう)、いずれサルディス家に代わる新たな東の大地を代表する貴族が台頭してくるだろう。これまで大貴族による独裁を長く続けてきたが、人民も貴族も、そう簡単にその慣習から自ら変わっていくことは難しい。
今悪魔執事や中央の貴族にできることは、またサルディス家の様に野心溢れる貴族が台頭してこないよう、グロバナー家なしには東の大地を治め得ない、となるよう、今のうちから様々な援助・交易を行っていくこと…だろうか?
2.サルディス・フブキの逃亡
ユーハンは「我が身可愛さに」と評したが、おそらくそれだけではないだろう。
イースト諸侯同盟が瓦解した際、数千年統治を行ってきたという歴史を「正当性」として、再びサルディス家を筆頭貴族として担ぎ上げるための神輿として、フブキは確保された可能性はある。人体実験の件についても、結局は勝者が歴史を作るので、イースト諸侯同盟を制圧した後からなら何とでも言える。
他にも、フブキは歴代サルディス家遺した記録を読み漁ってきた人物の中で、唯一の所在不明な人物である。その記憶を目的に攫われた、と言う可能性も大いに考えられる。
いずれにせよ、フブキの身柄の確保は重要事項だと考えるが、今は統治で手一杯と言うのもその通りだろう。今は、上記の危険性をイースト諸侯同盟に打診し、何とか確保に人員を割くよう要望する以外に、現状取れる手立てはない。(グロバナー家も捜索部隊を出しているとのことだが、土地勘がないとかなりつらいだろう)
3.ルカスの決断
ルカスがサルディス家の宣戦布告行為(ラト身柄要求、中央の街襲撃)を受けて決断した、ラトをサルディス家に引き渡すという行為は、中・長期的に見て人類全体に利益のある行為であった。
ラトを引き渡さなかった場合、悪魔執事らはその場は安寧を得ることができる。
しかしながら、中央の街は次々と襲撃を受け「強化戦士」のための実験体を確保され、もしかしたら「強化戦士」の完成をもたらしたかもしれない。
また、襲撃を防ぐためにグロ家軍隊vsサル家軍隊という人間同士の争いが発生し、いたずらに旧人類の滅亡を早めていたことだろう。また、ここぞとばかり「この度グロバナー家に、反乱軍のみならず罪なきXX街の住民まで虐殺された」と流言飛語を飛ばされていた可能性も大いに考えられ、そこから戦争に発展していくことには想像に難くない。
その際、さらに人類滅亡が早まるほか、グロバナー家に、ラトを引き渡さなかったことによりこの事態になったのだ、と「責任」を取らされることになっただろう。
一方ラトを引き渡すこととなった場合、万が一災禍の監獄に連れていかれず別の場所で人体実験を行うとなった場合、ラトの命は失われ、サルディス家の人体実験の証拠をつかむのも難しかっただろう。(ユーハンが悪魔執事を信頼している、と言う事実をもっとフブキが重く受け止め、ユーハンが嗅ぎまわっていた情報を悪魔執事にもリークされているとフブキが考えたのならば、このストーリーもあり得た)だが、少なくともグロバナー家とサルディス家との争いは回避できるし、悪魔執事らにも「責任」は及ばない。
物語内で描写があった通り、大変に綱渡りでギリギリな作戦だった。
今回の件でルカスとミヤジのわだかまりが解消し、ルカスは一人で重い決断をする必要が無くなった。
今後、同様に重い決断を迫られた際、どうかルカスは、ミヤジだけでなく、悪魔執事みなや主を頼ってくれるようになってくれることを祈る。
4.「悪魔化」の開示
ルカスが今回の計画を実行するにあたり、フィンレイに「執事が悪魔化すること」、「主の力によって悪魔化を阻止できること」を開示した。
悪魔執事システムは最低でも2000年以上の歴史がある。その中で、一度たりとも悪魔化のことがグロバナー家に露呈しなかったと考えるのは無理がある。
どうやって免れてきたか?は後述する。
また、ルカスが、主の力を担保に安全性を提示したので、「主が生きている間だけ」悪魔執事が脅威でないとみなす、は当然の結論だろう。
これで、悪魔執事たちは、主が存命の間に天使たちの殲滅のみならず、天使たちが何故人類を襲うのかという根本原因の究明まで行う必要がある。
5.「裏切者」について
サルディス家が裏切者でないことが明かされた。
これにより、裏切者=天使への情報提供者が誰か、は以下の陣営のうちいずれか、あるいは複数と考えられる。
①グロバナー家並びにグロバナー家に非常に近しい貴族
②中央・東の小貴族たち
③ウォールデン家
④ポートレア家
⑤魔女族
⑥悪魔執事
⑦悪魔自身
具体的な考察については、本稿で扱うにはとても長くなってしまったので、別稿:【あくねこ考察】天使への情報提供者についてを参照されたし。
6.悪魔との契約
ルカスの悪魔「フォラス」の能力は、人間の生存可能性を見ることが出来る能力であった。
ルカスは、上述した通り、中・長期的目線で人類の最大利益を考え、どれだけ非情に見える作戦であっても実行することが出来る人物である。
医者であることも併せて、あまりにもルカスに合いすぎている能力である。
従って、ルカスが悪魔執事になった頃から、新執事3人に行ったような隠蔽工作を実施していた可能性が高まった。
7.過去の遺物
①何のために造られた鍵か?
①-1.古の塔の扉を開ける鍵である
一般的に「鍵」は錠前を開けるために存在する。
この世界で、遺物であるこの鍵に対応する錠前が何かと言えば、同じく遺物である古の塔が連想される。
悪魔執事の数は16人、世界に存在する古の塔も16基。
可能性としては十分考えられる。
ただそうなると、古の塔もゴエティア様が造ったと考えられるが、古の塔はフェネスが知る限りどの歴史書にも存在の記述がない。
この世界の歴史が、天使出現→悪魔との契約方法確立→魔導服の発明という順序だとすると、天使の出現は絵画が残っているのに、古の塔が歴史書に記述がない理由が説明できない。
①-2.悪魔との契約の儀式に用いる祭具である
悪魔は、契約者の精神力によって、文字通り鎖で縛り付けられている様子がep3-5で描写された。
その鎖を繋ぎ合わせているもの、封印をしているものの錠前が、この鍵ではないだろうか。
ただこの鎖は現実に存在するものではなく、契約者の心の中で、契約者の精神力によって具現化されているものである。
従って、現実にあるこの黒い鍵は、悪魔との契約の際、悪魔を鎖で縛り付ける契約の儀式のどこかの段階で、心の中の鎖による封印を完了させるための儀式用祭具なのではないか。
またこの仮定が正しいのなら、ベリアン以外の全員が鍵を見ても思い当たることがなかったこと、ベリアンがこの鍵を探していたこと、サルディス家領地内にある災禍の監獄から見つかったことに驚愕していたことも説明がつく。
悪魔との契約は、デビルズパレス外で行い、数カ月かけて行うもの、命がけの行為であること、以外の情報は、契約者にすら情報が明かされていない。
明かされない情報の中には、儀式手順・儀式用祭具の存在もあって当然である。
また、後にベリアンから、ベリアンの契約している悪魔「ベリアル」は、ベリアンの育ての父であるゴエティア・クライアンの契約している悪魔でもあったことが分かった。このことより、悪魔の力は継承できる、あるいは一度自由になったとしても再度別の人間と契約を結ぶことが可能だとわかる。
そうなると万が一ベリアンが死ぬことがあった場合、祭具が契約に必要ならば、ベリアルとの契約は行えなくなってしまう。
悪魔の総数についてはまだ公開されていないが(十中八九72柱だろうが…)、減ってしまうこと自体が人類にとっての損失であり、さらにベリアン自身にとっても、地下室に幽閉した「彼」を生かし続けるためにも、鍵の確保を望んでいたことは自然である。
そして、この鍵がサルディス家領地内から発見されたことも、鍵が悪魔執事に深く関係するのならば驚いて当然である。サルディス家は、数千年の長きにわたり悪魔執事を擁してこなかった。
②なぜ災禍の監獄から見つかったのか?
現時点では描写がなさすぎて何とも言えないが、当時の中央と東は天使という共通の敵に対して結託できていて、万一にも鍵が天使あるいは利己的な人間に見つからないよう、災禍の監獄という天然の要塞の中に隠匿したのではないだろうか。
8.ゴエティア様
①教会の神父
ハナマルがたどり着いた教会のシスターといい、一体どのような信仰を掲げる教会だったのだろう?
現在は、宗教についてはマラーク教以外に描写がない。
だが、「執事の祈り」ベリアンカドストで描写されている孤児院の様子からして、南の大地にある教会でなかったことは確かだ。
②ゴエティア様は人類初の悪魔との契約者だったのか?
現時点では結論が出ない。
二番目は地下室の彼だろう。
そして、ゴエティア様が一番目でないとすると、他に悪魔と契約し、天使と戦っていた者がいることになるが、
それが真であったとしても、わざわざ当時子供であるベリアンに教えるだろうか?
9.ベリアルの能力と地下室の「彼」
①ベリアンが焦っていた理由
ep2でフェネスの感じた、ベリアンが焦っているように見えた理由は、「大勢の仲間を見殺しにしてきた」という秘密を明かすべきか否かで悩み、動揺していたからだろう。
現主様(≒ムーちゃん≒黒猫)の力によって悪魔化が克服できるとわかったため、地下室の「彼」も悪魔化から脱する希望が見えてきたが、それを行うためには、ストーリー中で描写されたような秘密の開示が必要になってくる。
そうなると、本人も述べていた通り、周りから責められ、最悪は悪魔執事という集団の瓦解にもつながる可能性があると考えれば、焦りを感じて当然である。
②悪魔「ベリアル」の力について
「悪魔化の進行を遅らせることが出来る」という説明からは複数の解釈が生まれる。
本当に文字通りなのか、あるいは対象を不死にする、悪魔化ではなく本人にとっての時間の流れを遅くする、など。
キリがないので、ここでは文字通りの意味として考える。
そして、ベリアンは、過去のグロバナー家当主に、ベリアルの能力の開示とその証拠として地下室の「彼」を見せたことがあるのではないだろうか。
悪魔執事システムは最低でも2000年以上の歴史があることがep3でわかった。そのような長きにわたって、ただの一度も悪魔化がグロバナー家に露呈しなかったとは考えづらい。
その際どのように乗り切ってきたか、は、ep3でルカスがフィンレイを説得したように、ベリアンは時のグロバナー家当主を地下室に招き、最悪の場合はベリアルの力で、彼の様に無力化してみせますと説得したのではないだろうか。
また、ベリアルの力が複数人に適応可能か?については、わからないし、判明したところで、ベリアンは「彼」にしか使っていないだろう。
悪魔の力には代償が発生するため、複数人に使えたとして、使い続ける中でいずれ限界が来る。そうなれば執事感の不和は避けられない。(「あの人は延命してくれたのに、この人はしてくれない…わかっているけどどうして…!」など。)
ルカスが284年前にトリアージした件でミヤジと絶縁状態で済んでいたのは、本人らの聡明さゆえだろう。
ベリアンは、いずれこのような事態になることを恐れ、「彼」にしか使ってこなかったと想定する。
③地下室の「彼」の契約した悪魔
外見から察するに、黒猫である可能性が高い。
黒猫といえば、ep冒頭で主様の前に指輪を落としていったのも黒猫、
執事が悪魔化した際にムーちゃんに憑依して?心の中に主たちを入り込めるようにし、悪魔化した執事に、悪魔化が解けるような幻覚(ジェシカ、トリシア)を見せているのもおそらく黒猫…
これまで描写されてきた悪魔は、契約者を絶望させるためにどのような汚い手を使うことも厭わず、正体を看破されても悪態をつくなど、明確に人類の敵として振る舞ってきた。
が、これまで主の前に現れている黒猫は人類の味方の様に振る舞っている。
地下室の「彼」の悪魔とどのような関連があるかは、現時点ではまだ結論が出ない。
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