青い世界の異邦人

見上げれば晴れ渡った青い空。眼下に広がるは紺碧の海。

「どこまでも青い。」

それが沖縄の第一印象だった。

宿泊場所と往復チケットのみを手配した、ノープランぶらり旅。それは夢破れた私の心を癒すための、現実逃避の旅でもあった。

宿泊先に選んだのは海にほど近い、小さな民宿。案内された部屋からは沖縄特有の豊かな自然が一望でき、ここに私の日常は何一つ存在しない事を教えてくれた。

温暖な気候に、陽気な空気。耳に届く聞き慣れない単語に耳を澄ませ、独特な琉球の文化に目を見張る。

何もかもが私のいた世界と違う。まるで別世界に迷い込んでしまったような、不思議な感覚。それらは優しく暖かく、私の心を解してくれた。

今の私は、ただの異邦人。この地を離れれば、また現実の波に打ちひしがれる事になる。それでも。

「もう一度、前を向いて歩き出そう。」

弥立つ思いを胸に抱き、私は青い世界に別れを告げる。

新たな一歩を、踏み出すために。