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#1 「親ガチャ」は勝ち組の言葉

今日は屡々世間で話題に上がる「親ガチャ」の話を交えて、まず私が虐待に気付き始めた頃の話をします。

〜私のお母さん、凄く怖い。他の家もこうなの?〜  事の発端は幼稚園の年中さんくらいの時。何が発端だったのかは記憶の彼方ですが、遊びに来た友人が我が家から帰った後、その子の姿が見えなくなった瞬間に私は母に大声で怒鳴られました。

さて、ここで問題です。この時の私の感情は?    ①怒り ②疑問 ③悲しみ

答えは②の疑問でした。発端こそ忘れていますが、確かな事は「決して怒られる事は何もしていない」という事です。なのに何故だか母は怒り狂って私に怒鳴りつけ、手を上げました。この辺りから、母による絶対王政が始まります。

この日を境に私にとって友人と遊ぶ事が恐怖のイベントに変わりました。だって、何で怒られてるのかも分からないのに酷い仕打ちを受け、どうしたらいいのかまるで分からなかったからです。それ以来、友人と別れる5分前から私は異常にソワソし始め、「ねぇ、この後怒らない?怒らないよね?」と友人を見送る事よりも必死に母に聞きまくるようになりました。今思い返せば、この時点で中々ぶっ飛んでいますよね。しかし、当時の私は、周りの家庭と比べるとかなり厳格な家庭である事は認識していたものの「私のお母さんは怒ると怖いなぁ」くらいにしか考えていませんでした。

〜「親ガチャ」に敗れた事を痛感した小学校1年生〜 遂に私が「自分の家が狂っている事」「自分は親ガチャ負け組である事」を認識したのが小学校1年生。虐待ライフの幕開けです。学歴至上主義の我が家も例に漏れず、通信教育や英会話教室による英才教育の開始です。大の小説好きだった事が不幸中の幸い、国語だけは昔からずば抜けた能力を発揮していました。しかし、虐待を一気に加速させる着火剤となったのが「算数」でした。私は今も昔も苦手な分野に対する理解力の無さが火を見るより明らかで、それはそれは母の神経を逆撫でしました。最初こそ解答を片手に指導してくれた母も、次第に苛立ちを露わにし始め、挙げ句の果てには解答を私に向かってぶん投げ、「これを読んで覚えろ!お前なんかに時間を使っていられるか!私は忙しいんだ!」と怒鳴り散らしていました。(今でも、泣きながら1人で繰り越しの引き算を必死に理解した事は忘れもしません。)   

 間違えが続くと、ボールペンでグシャグシャにテキストやノートを塗りつぶされ、テキストは引き裂かれ、殴るわ怒鳴るわのドンチャン騒ぎ。自分の中で、「出来が悪いとご飯は貰えない」という概念が産まれたのもこの頃です。今思えば、この時点で立派な虐待ですよね。 

ここから私の生きる為のサバイバルが始まります。  まず、模範解答をカンニングする癖が付きました。私の出来栄え次第で、猫撫で声から虐待ヒステリックまで百面相を使いこなすモンスター相手、当然チートを求めます。しかし、相手は自分をお腹を痛めて産んだ母。音速より速くバレました。すると私のあだ名は「大嘘つき」「ズル賢い野郎」「カンニング野郎」と悪口のオンパレード。坂上忍もびっくりの毒舌大会。  

カンニングしてでも怒られる事を阻止したい私🆚絶対に実力で解かせたいけど、子供に理解できる指導は絶対にしない(出来ない)母。今では一周回ってめちゃくちゃ面白い状況ですが、当時の私からすれば、当たり前に地獄でした。

ここまで読んで下さった方の中には「お父さんは何してるの?」と思う方もいるでしょう。

正解は「よく分かってない」でした。勿論、目前で母がトチ狂った行動をしている時、「この時は」止めにかかってくれていましたが(強調している理由は後ほど明らかになります)母は自分の立場が悪くなるのを恐れ、父の目を逃れて虐待をしていました。仕事に忙殺されて殆ど家に居なかった事もあり、父はこの当時から虐待が起きていた事は知らなかったと思います。

つまり、誰にも助けを求められなかったのです。

そんな私は、小学生にして、次第に日々「自殺衝動」に支配されるようになっていくのです。

そんな私が今言いたい事。それは、どうか「親だから」「親なのに」という呪縛に縛られないで欲しい。勿論、良くしてくれた親御さんを同じように大切にしたり、大切に想う事は大切だと思います。しかし、それは「全国民共通パスポート」ではないのです。家庭の在り方も人の数だけあります。経済状況、家族構成、虐待の有無、祖父母の人柄。皆、パスポートの種類は違うんです。

私の周りにも、勇気を振り絞って自分のバックグラウンドを打ち明けた時にこんな言葉をぶち込んでくる人はそれなりに居ました。それらに悪意なんて無いと思います。ただ、その人達には「金の人生パスポート」が生まれながらに与えられていた。だからこそ、自分の親にそんな事をされるという想像すらままならないのです。

想像できない事に対して感想を言うのは難しい事です。見た事のない絵画の感想を言うのと同じです。だからこそ、スープの暖かみを常に感じて生きてきた人が、私たちアダルトチルドレンの全てを理解する事は難しい。

「親なんだから話せば分かってくれる」「家族は仲が良くて当たり前」「教育ママなだけ」

意外と周りが無意識に投げているこう言う言葉が1番当人を追いやる事もあります。今でこそ私は「ほーら始まった。これこれ。家族ハラスメントね。」と右から左に流せますが、今苦しんでいるそこの貴方。間に受ける必要なんか無いです。右から左どころか、鼻ほじくって耳を塞ぎましょう。(ただ、そこに嫌がらせをしようだとか、そういった悪意は殆どの場合無いと言う事は頭に留めておいて下さいね)


2021/10/25

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