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小説「水際の日常。」

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人の多すぎる都会は怖い、でも寂しくならない程度に人の気配があって、海に面した土地がいい…。 なんのゆかりもない過疎の港町に引っ越してきたアラフォー子なしバツイチのあたし。人口を1…
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2023年6月の記事一覧

小説| 水際の日常。#19【最終話】 - 子と海女芸者もどきはぐるぐる回り。

小説| 水際の日常。#19【最終話】 - 子と海女芸者もどきはぐるぐる回り。

■ 酩酊、ナイトアンドデイ

 お迎えの保護者の足が途切れた。

 あたしはピアノの下の小さい子供たちを両腕に抱えてぐるぐる回る遊びを始めた。きゃっきゃきゃっきゃ。子供が笑う。腰にずっしりとのしかかる重みに耐えながら、あたしは子供たちに笑顔を振りまく。子供たちは何度ぐるぐる回してあげても、「もっと、もっと」と言ってまとわりついてくる。自分の中のどこにこんな余力があるんだろうと驚きながら、あたしは力

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