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おすすめ断髪小説(自分の以外)

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2022年5月の記事一覧

【断髪小説】お似合い

弁護士になりたかった。

きっかけはありきたりだった。
小学生の時に見たドラマに出てくる、長い髪を靡かせた女性弁護士は、私の心を捕らえて離さなかった。
自分もドラマの中の弁護士と同じように、長い髪を靡かせて法廷で颯爽と振る舞いたいと思った。

それから、ずっと弁護士になると言い続けてきた。
憧れは簡単な道ではなかった。
一浪して地元の国立大学の法学部に入り、ロースクールの未修クラスをなんとか4年で

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【断髪小説】放課後の教室で

トランペットのロングトーンの音、野球部のジョギングの掛け声。
オレンジ色の教室に、それらの音が遠くに聞こえる。

みんなの視線は私の後頭部に集まっている。

カースト下位の、目立たない女子の一人である私が、クラスのイケメンの彼と付き合い始めたのは雨宿りがきっかけだった。

雨に濡れた私の髪を、彼が綺麗だと褒めてくれたのだった。髪の手入れが唯一の趣味だった私は、何気ない彼の褒め言葉が嬉しくて、一気に

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断髪小説 母の横暴(後半)

(前半の続き)
家で散髪された次の日
学校に行くのがすごく嫌じゃなかったですか?
みんなに笑われるんじゃないか。からかわれるんじゃないか。
いつもの道で友だちに会った時・教室に入って帽子を脱ぐときのドキドキ。
帽子を脱いだときの周りの反応。
このお話を読んで思い出してください。

午後3時30分
美里の姉、香奈はテニス部に入っている。
勉強もできて、去年の夏から生徒会長もしている。
文武両道で後輩

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【断髪小説】賭け

放課後の教室、みんなが見守る中、クラスで1番の美少女の佐藤あかりと、サッカー部のお調子者の山田大樹の頭にゴミ袋が被せられた。

ことの始まりは1ヶ月前に遡る。
どういう経緯かはわからないが、
「一教科でも勝てなかったら私が坊主、全教科私が勝ったら山田が坊主、それでいいでしょ?」
佐藤さんのそんな声がクラスのざわめきをしんとさせた。
「いいぜ、言ったな、覚えとけよ。クラスのみんなが承認やからな」

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【断髪小説】髪を貢ぐ女③完

メグさんの今の髪型は、左側1/3は触覚もあり、前髪も長く可愛らしい感じになっているが、そこから幅1cmくらいが眉上3cmのパッツン。そして、そこから幅4.5cmが1mmの青白い道になり、そのまた横3cmほどが眉上3cmのパッツンだ。

頭のほとんど真ん中を前から後ろまで青白い坊主の線が通ったショートボブの36歳の可愛らしい顔をした女性。
メグさんはそんな頭で大通りを歩き、沢山の人に見られながら、自

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断髪小説 母の横暴(前半)

子どもの頃
家で散髪されたことありますか?
すごく嫌じゃなかったですか?
日曜日とかに突然「散髪するよ」って言われて
母の未熟な腕と横暴ともいえる押し付けで
鏡も見せられず、安い家庭用の散髪道具で庭先や部屋で髪を切られる時の不安
その不安は残念なことに当たっていて、とんでもなく短い髪型にされて泣いた思い出
みなさんはありませんか。
今日はそんなお話です。

私は美里。4月から小学6年生だ。
最近ま

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