世一、糞詩(ふんし)する『詩びと』
『詩 び と』
ひとは詩のなかひとを呪う
ひとは詩のなかひとを愛す
ひとは詩のなかひとをコロス
ひとは詩のなかひとを慈しむ
根源的呪詛の言葉と知らず
詩のなか呪い愛しコロシ慈しむ
ひとは詩のなか一人哭く
ひとは詩のなか一人嗤う
ひとは詩のなか一人歓ぶ
ひとは詩のなか一人憤る
良い人になりたい思いなど
何処かに置き去りのままに
ひとは詩のなか優しくなる
ひとは詩のなか厳しくなる
ひとは詩のなか利口になる
ひとは詩のなか愚かになる
それが人間の本質と知らず
言葉巧みに我が魂を騙しているとも知らぬまま
詩びとが吐いても吐かずとも陽は昇り陽は堕ちる
詩びとガ呪愛は時空を選ばず内を駆ける
ひとは詩のなか黄昏と書く
タ削とは知らず。夕闇が削がれる頃合いと知らずに
生きる者の言葉は生き血
詩びとは闇夜に二度啼く
詩びとの狩りのはじまりだ
世一
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