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世一、糞詩(ふんし)する『詩びと』


『義人の苦難』ヨブ記から レオンボナ19世紀 印象派

『詩 び と』

ひとは詩のなかひとを呪う
ひとは詩のなかひとを愛す
ひとは詩のなかひとをコロス
ひとは詩のなかひとを慈しむ
根源的呪詛の言葉と知らず
               詩のなか呪い愛しコロシ慈しむ
 
ひとは詩のなか一人哭く
ひとは詩のなか一人嗤う
ひとは詩のなか一人歓ぶ
ひとは詩のなか一人憤る
良い人になりたい思いなど
                何処かに置き去りのままに
 
ひとは詩のなか優しくなる
ひとは詩のなか厳しくなる
ひとは詩のなか利口になる
ひとは詩のなか愚かになる
それが人間の本質と知らず
                 言葉巧みに我が魂を騙しているとも知らぬまま
 
詩びとが吐いても吐かずとも陽は昇り陽は堕ちる
詩びとガ呪愛は時空を選ばず内を駆ける
ひとは詩のなか黄昏と書く
タ削とは知らず。夕闇が削がれる頃合いと知らずに
       生きる者の言葉は生き血
      詩びとは闇夜に二度啼く
           詩びとの狩りのはじまりだ

                       世一

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