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随想好日 俺流Dandyism『汝障るべからず』

今日という類稀であり記念すべき一日を迎えられたことは何としても書き残しておかなければならないのである。私事であるからしてどうでも良い人にとってはどこまで行ってもどうでも良い事柄であるのだが、反対に、共感を覚えるご仁が居るであろうことをわたしは疑わない。


五段階調節機能付きアイロン台 正直申し上げて耐久性は甚だ疑問であり
安物買いのなんとやらの感は否めないところ

何がそんなに稀有であり幸せなことなのか。さて、チョロリチョロリと書いて行こう。まずは写真を見てほしい。そう。取り立てて書くこともないアイロン台である。何か特別な機能が備わっているわけではない。云うてみれば五段階高さ調節機能付き、アイロン置き付きという程度のことなのだが。
拙宅には長らくこの高さ調節付きのアイロン台が無かった。床置き型の足のついた低いタイプのアイロン台しか無かった。例え古くとも壊れることなく機能しているのであるからしてワザワザ新しいものを買う必要はないということから、この数十年、アイロン台が購入品目の選択肢に上ることは無かったのだが、少し前に彼奴が天に召された。血縁者の話しではない。アイロン台の話しである。

さて、アイロン台が壊れるということにどの様な使い方をしているのかと訝しむご仁もおられるかもしれない。さささ~、ツツツ~と滑らかに使用する分にはアイロン台が壊れることは想像しにくかろう。
確かにシャツ類などにアイロンをかける場合には大きな力は必要としない。ところがわたしのように「ズボンのアイロンがけ」こそが男のダンディズム、シャレ男の哲学、何人たりとも我がズボンにアイロンをかけることはまかりならぬと心に決める者にとってはプレス力こそ正義となり得る。

ズボンというものは穿いているうちに「膝が抜ける」のである。これがみっともない。特に雨などにあたるというと折り目正しきクリースは伸び切り、膝は抜け、差乍ら煙突然とした不格好なものとなる。これにアイロンを当て新たな命を吹き込む行為こそがオシャレを愛する男の粋でありダンディズムの姿なのだと考えるのである。

最近では「タック」のはいったズボンやパンツを見ることは少なくなったが、ひと昔前であればツータック、シングルタックのパンツが定番だった。このパンツをクリーニングに出すというと、往々にして悲しいショッキングな現実を突きつけられることがあった。
まるでダーツパンツのような二重クリースであり、タックとクリースがズレているでありという、クリーニング店の職人の腕を疑うような現実を目の当たりにしたものだ。

もう一つ大切なことがパンツの後ろのシルエットに好みが出ることを知っておられる人は多くは無い。
どこまでクリースを入れるか、お尻まで入れるのか、股下程度でとめるのか、ベルト下まで入れるのか。お尻の格好の良い男、後ろ姿に隙の無い男というのはクリースの攻め際を知ることに比例する~と思い込んでいる。するってぇと後姿が美しく見えると思い込んでいる。

はぁ……書いていて空しくなってきた。
股下は3センチも短くなり、最盛期83.5あったものが現在股下80cm。
風呂に入れば尻は垂れ、鏡に映した股下には皴が寄り始める始末
((((;゚Д゚))))ガクブル
上着を着ない季節を前に、アイロンがけは男の身だしなみ向上必須ワークなだったはずなのだが、老いが忍び寄る今日この頃。ここにおいでの先輩たちから歳相応なダンディズムも学ばせてもらわなければならぬと心新たにするのでありました。

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