簡単にできる特許検索(外国特許文献)

 以前“簡単にできる特許検索”と題して無料DBである「J-PlatPat」での検索方法として、特に番号による検索、キーワードによる検索を紹介しました。
 その際に、キーワード検索においても外国特許文献の検索ができることに触れましたが、数年前に比べて検索できる対象が拡充されています。そこで今回は、実際に「J-PlatPat」においてどのように、何を検索できるのか、改めて検証しました。


キーワード検索ができる外国特許文献は?

 特許・実用新案検索のページを開くと“テキスト検索対象”の欄に”文献種別”という項目があり、画面右の”詳細設定”をクリックすると隠れていた”外国文献”(外国特許文献)の選択画面が表示されます。

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 現時点で選択可能な外国文献は、アメリカ(US)、EPO(EP)、WIPO(WO)、中国(CN)、韓国(KR)、イギリス(GB)、ドイツ(DE)、フランス(FR)、スイス(CH)、カナダ(CA)であり、これらにおいて発行された特許文献が「J-PlatPat」で言われている外国文献です。
 ただしこれら全部がテキスト検索(キーワード検索)が可能なのかというと、そうではありません。
 テキスト検索は主要特許庁であるアメリカ(US)、EPO(EP)、中国(CN)および韓国(KR)と、WIPO(WO)の5か国が対象となっています。
 イギリス(GB)、ドイツ(DE)、フランス(FR)、スイス(CH)、カナダ(CA)は対象となっておりません。これらの国は特許分類である“IPC”と“CPC”を用いた検索ができるのみですので、キーワードを用いて詳細な検索をしたい場合は他のデータベースを用いる必要があります。


テキスト検索対象とは?

 テキスト検索は上述の通りアメリカ(US)、EPO(EP)、中国(CN)および韓国(KR)と、WIPO(WO)の5か国が対象です。
 下図のようにテキスト検索対象には「和文」と「英文」があります。
 上記5か国のうち、全てが「和文」および「英文」で検索可能かというと、そうではありません。「和文」で検索できるもの、「英文」で検索できるものが異なります。

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①テキスト検索(和文)

 和文、つまり日本語では上記5か国ともに検索が可能です。ただし、すべての文献を和文検索できるものではなく、また各国ごとに検索の対象が異なります。

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  アメリカ(US)は公開・登録特許の和文抄録、EPO(EP)は公開特許の和文抄録が検索できます。この和文抄録とは、単に要約を翻訳したものではなく、請求の範囲、明細書および図面から日本語で抄録を作成したものです。
 ただし、アメリカ(US)やEPO(EP)の和文抄録は、すべての文献について作成されているものではないようです。実際に確認したところ、アメリカ(US)の和文抄録は日本籍の出願人/権利者では見かけず、EPO(EP) の和文抄録はアメリカ(US)同様のものだけでなく、収録されていないものが多かったです。
 WIPO(WO)の公報は日本語で発行された公報が検索できるのみです。

 一方、中国(CN)は公開・登録特許実用新案の和文抄録と、さらに全文を日本語に機械翻訳したものが対象となります(※中国和文抄録は2017年頃の発行分を最後に蓄積が終了し、現在は作成されていないようです。)。韓国(KR)は全文を日本語に機械翻訳したものが対象となります。ただし、機械翻訳は数か月のタイムラグがあるようです。
 なお、日本語で外国特許文献を検索できるツールは、有料のデータベースも含めても多くはありません。翻訳精度に注意は必要ですが、中国(CN)や韓国(KR)を日本語で、かつ全文を対象として検索できる点はとても有効なツールと言えます。


②テキスト検索(英文)

 アメリカ(US)はもちろん全文検索が可能です。EPO(EP)、WIPO(WO)は英文で出願されたものや英文の要約、請求項が検索の対象となります。
 一方、中国(CN)、韓国(KR)は、一時期の公報に対して作成されていた英文抄録のみが対象となっており、大半がヒットしません。これは和文検索が十分に対応しており、英文検索の必要性が低いためだと考えられます。


まとめ

 「J-PlatPat」における外国特許文献のキーワードによる検索方法は①和文検索、②英文検索の2種類がありました。英文検索はアメリカ(US)へは問題なく利用できますし、和文検索については機械翻訳とは言え中国(CN)と韓国(KR)の全文が対象となる点、中国(CN)は更に数年前までの和文抄録も対象となる点は特筆すべき特徴です。
 一方で注意すべき点として、いずれの検索方法も対象が細かく決められており仕様が複雑になってしまっている点が挙げられます。このため外国特許文献をキーワードで検索する場合は、「どの国」の「どの文献」の「どの範囲」が検索対象となるかを常に意識する必要があります。
 この様な特性を十分に理解する必要はありますが、無償のデータベースとしては非常に強力な機能ですので上手く利用したいところです。これ以上の機能が必要な場合は有償ですが民間の特許データベースを検討してみてください。

調査事業部 永岡


<参考>
J-PlatPat文献蓄積情報
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/html/c2000/patent.html?version=2019924
特許庁の提供する主なデータ一覧表
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2019/document/index/0602.pdf

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