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援助する側・される側①(#ファミサポ 初顔合わせ)

 子育てには定休日がないので大変ですよね。自分だけで抱え込んで爆発してしまう前に,臨時休業も確保したいところです。そのためには,いかに周りに頼るかが肝心なんだろうと思います。

 私は,人に頼ることがどうも苦手です。人様の時間を奪うなんて申し訳ないし,迷惑なヤツだなと嫌われたくないし,頼るためにこちらの状況などを言葉で説明するのがめんどくさいのです。究極めんどくさいのです。「自分が頑張れば済む話」と言い聞かせてきました。
 でも,子どものためにはそうも言ってられません。
 家族以外にも頼る先を開発しておこうと思い,ファミリー・サポート・センター,通称「ファミサポ」を使ってみることにしました。

ファミリー・サポート・センター(全国971市区町村に設置)では、地域で子育ての援助を受けたい方(依頼会員)と援助を行いたい方(提供会員)が会員となり、助け合うことができます。

https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/ouen/area/contribution/

 提供会員の家で子どもを預かったり,子どもの送迎に行ったりしていただけます。依頼会員が支払う金額は,地域や内容によりけりですが,基本的に1時間1000円もしません。
 今後,実際に預けてみてどうだったかも書いていきたいと思っています。

 今回は,初めて提供会員の方(仮名ドライフラワーさんとします)と顔合わせをした時の話を書きます(念のため,個人の特定を避ける目的でほんのちょっとフィクションになることをご了承ください)。
 
 なんだかまたとても黒い感情にさいなまれまして…うう。

メンタルボロボロの依頼会員

 まず,この日は朝からうまくいっていませんでした。子どもをよそに預ける話が初めて具体化される場なので,「罪悪感」から気が重かったことは否定できませんが,ファミサポさん関係なく,もともとの私の心身も不調でした。
 朝食後,娘が水色のクレヨンで遊んでいたと思ったら,テレビボードと床にも,ぐりんぐりんと描き始めました。いいのです,こうなると思って水で落とせるクレヨンを買いました(おすすめグッズです)。しかし,大丈夫よ~と拭き取っているその瞬間,視界から消える娘。聞いたことのない硬い質感の音。気付けば,壁とふすまと障子にも水色の閃光が走っていたのです。あああ!なぜ彼女からクレヨンを没収しなかったのか!自分の浅はかさに泣けてきました。
 わあわあ言いながら,クレヨンの跡を消そうとしたり(消えませんでした),出掛ける準備をしたりして,疲れ切った状態でやれやれと玄関のドアを開けようとしたら,ぷ~んとウンチ臭です。久しぶりのことです。外出直前にバナナ一本を与えてしまった自分の浅はかさにまた泣けてきました。外に出られると意気揚々だった娘は,突如座らされるもんだから顔が固まり,靴を脱がされるや否や大泣き。これも久しぶりのご乱心でした。
 そんなこんなで時間もぎりぎりになり,家を出る頃には完全にボロボロ。惨めだなと思いながら,ドライフラワーさんのお宅に向かいました。
 ※悲しいことに,ここはノンフィクションです。

ゆとりの権化の提供会員

 ファミサポの良い所は,援助してくださる方を近所で探してくれる点です。10分足らずで到着しました。大きなマンション!こんなに近所なのに……格の違いを見せつけられました,くー(友人の家ならテンションが上がるだけなのですが…)。
 ファミサポのスタッフさんと合流して,ドライフラワーさんのお部屋に行きます。白いリネン素材のゆったりしたワンピースを着た,黒髪ストレートボブ丸眼鏡のドライフラワーさんが,にっこり微笑んでお出迎えしてくださいました。安心しました,それと同時に,ちょっと引け目を感じます。落書きとウンチの世界から人間界に出てきてわずか10分で,急に丁寧な暮らしアンバサダーと対面したので,じわっと変な汗をかきました。

 室内は,柔らかな陽の光が差し込み,綺麗に掃除され,壁にはドライフラワーやお子さんたちが描いた絵が飾られています。本棚にはびっしり歴史漫画や図鑑が収められ,ピアノの上にはお子さんの表彰状。私は,こだわりのありそうな木製のテーブルに案内され,縮こまっていました(娘は,出発前のごたごたで疲れたのか眠そうでした)。
 小中学生のお子さんがいる家庭とクレヨンぐりんぐりん1歳児のいる家庭という違いを差し引いたところで,この差は埋まりません。うーん,ゆとり。
 生活にゆとりがあるからこそ,よその子どもの面倒を見れるのですから,気にする必要はないんですけどね。むしろ安心すべき材料ですし,実際,娘にとって素敵な環境だとは思いました。

 ドライフラワーさんは,話し始めてからも穏やかでした。娘にも優しく声を掛けてくださいます。私には「最初は娘さんは泣くと思いますが,皆さんそうですから大丈夫ですよ~。」と笑ってお話してくださいました。
 ゆとりある優しさを前に,ゆとりない自分の情けなさが浮き彫りになって,心の中で泣きました。 

優しくする側・される側

 わたくし,どちらかといえば,初対面の方から「優しそう」とか,「話したら優しくて安心した」とか言われるタイプです(見た目の印象は,人によってはキツいんだと思います笑)。自分自身,優しくあろうともしてきました。
 仕事は心理職(イメージしやすい例では,カウンセラー)でしたから,緊張して来られる方が多いので,尚更安心してほしい一心で対応していました。そして来るまでに何度も嫌な思いをしてきた方も少なくないので,相手を不快にさせないために優しさを心がけてきました。

 でも,いざ自分が優しくされると,ちょっと苦しかった。そのことにドキッとしたのです。

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 いやはや,顔合わせ当日の記憶が鮮やかだったので,長くなってしまいました。二つに分けて,後日,援助する側・される側という立場について考えてみたいと思います。

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