イメージカクテルを飲みに行こう

7月某日、私はフォロワー二人と共に西荻窪に来ていた。オリジナルカクテルを作ってもらうためである。

話は変わるが、東屋さんはハチャメチャな下戸である。そりゃもう、下戸である。そもそも酒の味(アルコールの味というやつ)がとにかく苦手で、口にした際は文字通り苦い顔をする。
数年前から服薬している薬との飲み合わせが悪いため、服薬以降は胸を張って堂々と「飲めないんです」と言えているのだが、つまり、そんなヤツが酒の場に行くことはまあ、まず、ないということだ。ましてやバーになど……!

下戸への新事実! アルコールがダメでもバーに入って良い!?

デカデカとタイトルコールしたが、これは東屋があまりにも酒に疎すぎて知らなかっただけのことである。が、こんな人間が他にもいたらと万が一のことを考えて、デッケェタイトルにした所存。
本当に酒の場、特にバーなんてところとは無縁の生活をしてきたので、カクテルなんて知る機会も場面もない。これでも字書きの端くれだが、バーのシーンが必要になることはできるだけ避けてきたし、もし必要な場合は酒飲みのフォロワーから知恵を借りていた。
知っている方からしたら本当にお笑い種だとしか思えないが、実際に足を運ぶまで「ノンアルコールカクテル」や「モクテル」の知識が一切なかった。これでもお育ちが良いので、ファミレスのドリンクバーの魔のブレンドなんてお野蛮な遊戯もしたことがなくってよ。
しかし、世間は割と、下戸に優しい。酒がダメでも、ノンアルコールのドリンクを駆使して非酒飲みのことも酒飲みと同じように楽しませてくれる。なんてホスピタリティだろう。東屋はいたく感動した。ディズニーみたいなホスピタリティじゃん。

入店、その前に……

今回お世話になったのは、西荻窪の「inf」さん。フォロワーの紹介で行くことになったので、当該フォロワーは以前来店歴があるとのことだった。

これまで、香水で二度程、「概念」のスーパーパワーを浴びてキャパオーバーを起こしていた東屋だが、もうその経験で理解してきている。

概念は、危ない。

本当に危ないんだ。
キャラグッズとか、そのもののグッズは、「いのち」という感じでそれもまあ危ういのだが、実在を目に映せるという歓喜とはまた違い、概念は危険なのである。我々のように創作を嗜む者にとってはそりゃもう、危険も危険。
概念グッズを手にしたことのない方向けに、どのような危険が待ち受けているのか、簡潔に説明しよう。

頭の中にいる、自己解釈での推しや創作キャラを思い浮かべてみよう。かわいいね。愛しいね。
それが目の前に出てくる。
あるときはアクセ、あるときは香水、あるときはカクテル……。
ここにGIF画像を貼れたら、あたしゃ何らかの爆発映像を貼っていたね。

そんな概念を、概念の危険体験を、東屋ってば懲りずにまたやるのね。いいわ、嫌いじゃないわよそういうの。
ちなみにこの手の概念は即効性な上に非常に効果が長く、また、非常に効果が強い。衝撃波がなんかもうすんごい。妄想力の強い人間ほど派手に爆発する危険性があるので、メチャ気を付けた方がいい。これは忠告だ。

入店!

さて、我々三人は、そりゃもう遅刻した。申し訳ない。予約時間より30分ほど遅刻した。ごめんなさい。それでも「ゆっくりいらしてください」と電話をくださる。なんて優しいんだ。
infさんでは、オリカクに二種類用意がある。今回我々が注文した「コンセプトカクテル」は主にキャラやカプを表現してくれ、「メモリアルカクテル」は風景や家族、物等の思い出を表現してくれる。そして、しっかりゆっくり解釈してくれるため、提供に1~2時間かかる。そこまでしてもらっちゃって大丈夫なんです?逆に。

さて、概念グッズにはつきもの! オーダーシートを記入する時間だァ……いつも緊張するんだこれが……

infさんでは、現地で記入するシステム。A5サイズくらいの専用用紙をいただいて、お手本も見せていただけるので、それに沿って書いていく。

ちなみに、東屋は今回、オリキャラで挑みました。フラグを……そんなにフラグをおビンビンにしてどうするんですの?
そりゃそうなんだけど、やっぱり他の方の解釈ってのも見てみたくって……自分の中にしかいないからさ……

当該作品はこちら!「業務内容はお問合せください」です。今年の四月、一年ちょいの連載を完結させた、東屋的には思い出深い作品です。

ここから、主人公である「トシさん」をお願いしました。いろいろと考えた結果、トシさんにしました。

突自語

「業務内容」は、正直、トシさんだけが主人公ではないです。YT清掃の三人と一怨霊、全員が主人公みたいな感覚です。その中でも最も謎深いのがトシさんです。一木くんとあおちゃんはかなり素性がわかる方です。あおちゃんに至っては開けっぴろげなくらい、自分で自分のことを喋ります。一木も全然喋れますし、サクマさんは実はおしゃべり好きです。
だけどトシさんは喋りたがらないです。ミステリアスという言葉が最も似合うのはトシさんです。
改めて、文章以外で、表現してくださいとなると、トシさんがいっっっちばん難しいと思います。あおちゃんはともかく、一木も意外と特徴だらけです。ただトシさんは本当に見えない。
本当は、一木とトシさんのカプ……でも頼んでみようか……!?とも思ったんですが、今回は素直にトシさんだけのことを再確認しよう!と思いました。
話変わるけどなんかそろそろグッズ作りたいな。絵描けないけどなんかいい案ある?

これがオーダーシートだ!

提出後は返却されないので、撮影を推奨される。

字ィきちゃね~!

ウヒョオ! 恥ずかP~!!

提供!

三人でずっと「怖い……」「怖いよ……」と言いながらツマミをモリモリ食い、待つこと……何時間? ごめん忘れた。やや混んでたのでだいぶ待った気がする。
誰のからくるかな~? キャッキャとか余裕ブッこいていたら東屋さんからだった。見ていてくれ、この俺の最後の輝きを……

右下にあるペンラで中照らしてくれるよ
これでノンアルなのだ。すごい。

以下、マスターさんの解説(うろ覚え)である。録音や録画はダメなので、急遽手持ちの原稿用紙にペンを走らせた字書きがこの東屋お夏だ。

「ノンアルコールでのご提供です。上の層からご説明します。
この透明の層にはこちらの『NEMA』というのドリンクを使用しています。ノンアルコールのジンです。ウイスキーベースに作られていますので、樽のスモーキィでウッディな風味が煙草に近い表現になっております。
甘くないため、ちょっととっつきにくいのが特徴です。また、味も薄めなので、最初は心を開いてくれない、距離があるところを表現しました。
下の紺色の部分が『ワイルドベリー』のシロップです。こちらは酸味と甘さが感じられるものです。飲み進めていくうちに出てくるので、心を開いて甘えたりワガママを言ったりというところをこちらで表現してあります。
混ぜないと出てこないのと、底の方に沈んでいるところを、自信のなさの部分の表現にしました。
チェリーが入っていますので、こちらは最後にスプーンで掬ってお召し上がりください。最後に可食部があることで、大食いなところも表現しました。
グラスの形も、丸みのない、カクカクした形にしましたので、とっつきにくそうなイメージになっていると思います。
煙草のアイテムも楽しんでいただければと思います。それでは失礼いたします。」

……。
これが、トシさん……。
……。
……。
……。

あごめん、これ以上語ることはあるまいモードになってましたね。
いやでも、これ以上語ること……あります?
だってさあ、だってさあ。
こんなの、もうトシさんじゃん。
もうトシさん、目の前にいるじゃん。見えるもん。
人間とオバケの区別がつかないから自信がないトシさん。
一木くんあおちゃんと出会って、甘えんぼを発揮するトシさん。
サクマさんと再会して、勝気なワガママを出すトシさん。
ハチャメチャ大食いなトシさん。
ヘヴィスモーカーのトシさん。
色素の薄いトシさん。
トシさん、トシさん、トシさん……。

泣きそ~~~!

実飲!

スモーキィでウッディ、甘くない。
大の甘党の東屋さんにそんなの大丈夫かい? と思ったが、

うっめ~~~

ああ、香りを「飲む」ってこういうことなんだあ……。
そう、香り。舌で嗅いでいる。そんな感じ。
これまで「風味とはなんぞや」みたいなおこちゃまベロと生きてきたので、ここで初めて、「風味」を理解した。五歳児から十代くらいになった気分です。
で、チビチビ飲んでいるうちに、少しずつシロップが混ざってきて、甘くなり始める。

ウオ~~~

飲むたびに、自作を読み返している気分になる。シロップ手前くらいまで読むと、四条さん登場前くらいまでの気持ちになる。
これが概念の力だ。しかしまだ、いちばんカワイイ部分が残っているのだ。
チェリー。沈んだチェリー。

白状すると、東屋さんは果物が大嫌いだ。食えない。アレルギーとかではないのだが、果実のプチッとした感じと、植物の味(伝わらないんだなこれが)が広がるのがもう本当にダメ。リンゴは一時期頑張ったことがあるので無理すれば食えるが、イチゴとかメロンとか本当に無理。ジャムとかマーマレードとかピューレ、イヤです。あとたまに飲み物に入ってるピューレ、殺意覚えます。でも果実感ゼロならなんら問題ありません。お菓子のイチゴ味とかは全然平気。濃縮還元果汁ジュースとか、そういうのは平気。

チェリー、食いました。そこまで含めてのトシさんカクテルなんだ。飲まねえわけにゃいかねえ。あと再三いうけど別にアレルギーなわけじゃないので体質的には食えるんだから……ただの好き嫌いなんだから……

ンムゥ~~~

ドライフルーツ? なのかな。果肉感薄くて、プチ感もちいちゃくて、助かりました。ギリ生還できました。あとシロップにヒタヒタに浸かっていたので味もそんなに気にならなかったや。よかった~。

感想

ゲキヤバ

まとめ

いかがでしたか?
一人の創作オタクがおめめぐるぐるになる姿はさぞかし面白いと思います。
ちなみにinfさんのコンセプトカクテルはカプでも作ってもらえますので、渾身の推しカプを浴びてハチャメチャになりたい方は是非挑戦してみてくださいね。

ありがとうございました!! また行かせてください!!

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