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産後ケア施設インタビュー#1 :米倉先生(小児科医、産後ケアハウスぽかぽか)

こんにちは!
あずかるこちゃんの園田です。

今日は、福岡県で産後ケアに取り組む米倉先生にインタビューにご協力いただきました。
助産師、保育士、看護師という専門家3人体制で赤ちゃんを預かり、昼食はスタッフ手づくりの温かいご飯を提供する。徹底的に品質にこだわった産後ケア施設「産後ケアハウスぽかぽか」設立の経緯や課題について伺いました。

産後ケアをまだ利用したことがないという方にも参考になるお話でしたので、ぜひご覧ください。 

米倉先生(小児科医、産後ケアハウスぽかぽか)

【プロフィール】
・氏名:米倉順孝
・所属:大名よねくら小児科クリニック 理事長、産後ケアハウスぽかぽか 施設長、小児科専門医
・略歴:
平成12年3月 福岡大学医学部卒業
平成13年4月 福岡大学小児科入局
福岡大学病院、福岡大学筑紫病院小児科にて研修
平成15年5月 都城市郡医師会病院 小児科
平成17年5月 中津市民病院 小児科
平成19年4月 福岡大学病院 小児科
平成21年4月 福岡大学病院 小児科 助教
・施設ホームページ:https://daimyo-ped.jp/daycare/ 

▼産後ケア施設を立ち上げた経緯を教えてください。

もともと、福岡市にある虐待防止のNPO「ふくおか・こどもの虐待防止センター」の活動に携わっていて、その流れで産後ケアに取り組むようになりました。
当時は保健所や行政から打診があった特定妊婦、つまり虐待リスクが高い方だけを受け入れていたのですが、産後ケアが、虐待防止や子育て支援に非常に有効だという実感がすごく強くて。
もっと力を入れていきたいと思ったときに、うちの小児科クリニックが入っているビルに空きが出て、「産後ケアハウスぽかぽか」を立ち上げることにしました。

▼施設をつくる上で、意識されたことはありますか?

医療施設という雰囲気はできるだけ消して、実家のような「その日1日わがままが言える場所」を目指しました。
虐待のリスクがある方だと、もともとご自身が恵まれた家庭環境にいなかったというケースが多々あります。
子育てに対するイメージが少しでもプラスになるように、とにかくなんでも受け入れてあげて、「家庭的なイメージ」をインプットしてあげるということを意識しています。

▼産後ケアハウスぽかぽかでは、10:00〜16:00でデイケアを実施されています。利用者であるお母さんたちは、具体的にどのように過ごしているのでしょうか?

人によってまちまちですが、午前中はひとりでゆっくり部屋にこもって仮眠。スタッフ手づくりのお昼ご飯を食べて、午後はその日利用しているお母さん同士でおしゃべりするということも。
あとは、オプションでマッサージと骨盤矯正ができるので、それを受ける方もいらっしゃいます。
小児科クリニックに併設されている施設なので、赤ちゃんの予防接種や診察も同じ日にできるというのは特徴的なポイントですね。

▼やりがいを感じたエピソードがあれば教えてください。

以前、30代半ばではじめて出産されたお母さんがいらっしゃったのですが、表情がすごく暗くて、笑顔もなく、言葉もあまり出てこない様子でした。
スタッフと「心配だね」と話していましたが、産後ケアをとても気に入ってくれたみたいで、月1回合計5回ほど使ってくださって。
回を重ねるごとに、表情が明るくなっていくのを見て、そのときは本当に良かったなと思いましたね。
ほかのお母さんたちからも「久しぶりにゆっくりできた」「話を聞いてくれて肩の荷が下りた」「子どもの夜泣きが辛い時期に出会えて良かった」「子どもの仕草を褒められて嬉しかった」などといった嬉しいコメントをもらっています。

▼産後ケアに取り組むなかで、困っていることや課題はありますか?

徹底して質にこだわっているのですが、その分コストが上がってしまうのは悩ましいポイントですね。
今は1日の利用者2名に対して、助産師、保育士、プラス主任という形で看護師が付いていて、合計3名の専門職スタッフというチームで見ている状況です。
また、食事については温かいものをその場でつくって出したいと考え、スタッフに台所で調理してもらっています。
人件費としてはかなりかかるし、産後ケア施設単体の運営では赤字なんですけど、予約が取れないくらいに稼働はしている。そこのバランスをどうしようかというのは、今後の課題です。

▼最後に、読者に向けてメッセージがあればお願いします。

周りに頼れる人がいなくて、ひとりで考える時間が多い方や、ネットの情報を見て「このやり方って間違っているのかな?」と不安になる方、さまざまなお母さんがいます。
自力でどうにかしようとすると悩みが深くなってしまいますが、誰かに話を聞いてもらったり、専門家に相談できれば、何か解決できるかもしれません。
以前、産後5ヶ月ほどでデイケアをはじめて利用された方がいたのですが、「1〜2ヶ月前から苦しくて死にたい気持ちになっていた」とスタッフにお話してくださいました。
4ヶ月健診は受けたし、そのときの先生も優しく声をかけてくれたけれど、苦しくて死にたいとは言えなかったそうで。「ああ、なるほどな」と思いました。
いくら優しく接してもらっても、医者に診察室でその気持ちを吐露できるわけではないよなと思ったんですよね。
だけど、産後ケア施設があれば、辛いと思ったときにすぐに支援を受けられたり、相談する窓口を増やすことができる。
大前提として、産後のお母さんはすごく疲れています。疲れていると正常な判断ができないことに繋がっていく。だからこそ、とにかく少しでも疲れをとってもらうために、気軽に産後ケアを利用してもらいたいですね。
そして、産後ケアというインフラがあるということを、もっと大勢の人に知ってもらいたいです。

ライター:今井夕華(https://imaiyuka.net/

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