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【ぼっち・ざ・ろっく!】ファン歴5年の俺が結束バンドを雑に語るだけ

 結束バンド? え、めっちゃいいよな結束バンド。俺けっこうライブ行ったんだよ。今みたいに有名になる前にちっさいライブハウスでさ、昔はライブやるって言ってもだいたい東京か大阪ばっかでさ、今と違って当時はネット配信もやってなかったし公式のダイジェスト動画くらいしかなくて。

 あれはいつだったかなー、多分3、4年くらい前の東名阪ツアーでようやく名古屋に来てくれたんだよね。超嬉しくて速攻でチケット申し込んだし、当日は定時退社で名古屋行きの急行に飛び乗ったの憶えてるわ。あんときのハコはアポロベイスって250くらいのキャパのハコでさ、クロークにバッグを押し込んだゴミ袋の中に上着とバッグ押し込んで最前列陣取ってたわ。あれは今でも忘れられないね。ラストのトリで『蒼い惑星』であの場にいた全員ブッ壊れたやつ。

 あとその次の年はクラブクワトロでライブやってて、その時はマジで人気めちゃくちゃ上がってきてるの肌で感じてたからわざわざ半休取って張り切って物販並びに行ったワケ。そしたら超ガラガラでさー、「あっれーおかしいな?」って思いながら2時間くらいタワレコで時間を潰してたの。そうそう、名古屋ファンは他所よりもかなり食い気味なレスポンス返すらしくてこの辺からMCでよくイジられるようになったんだわ。

 その次はダイヤモンドホールだったわ。すごくない?順当に会場がデカくなってってるの。もうそんときはさ、全国ツアーまでやるようになってすげえ乗りに乗ってる感が半端なくて、『忘れてやらない』で声を枯らしたし『カラカラ』で右腕を突き上げたし『Distortion!!』で手を叩いたり飛び跳ねたり。踊り過ぎて次の日が超キツかったわ。社会人やってると平日夜のライブはマジでキツい。キツいけど、ああやって定期的に”音”を浴びないとホンマ何も感じなくなってきそうでダメだわ。イヤホンとかカーオーディオで聴くのとは全然別物。ぼっちのギターのヤバさは実際見んと分からんよ。これはガチ。

 あー、あとアレだ。初めてフェスに出演した時のもヤバかったな。一番小さいステージの一発目で出演したやつ。アウェー感半端なくて見てるこっちがめちゃくちゃ緊張するくらいMCガッタガタだったし、オーディエンスもめっちゃ若いファンばっかで「生まれて初めてライブに来ました~」みてえにぎこちねえの。いや、全然悪かったわけでなくて。あれは何て言うか新鮮、そうそう、新鮮だったね。この子らもこうやって生のバンドを聴いてこれから色んなライブに通うことになるのかって、思わず後ろから腕組んで見守ってたわ。やっぱさー、ああやって若い子らがライブ行ってるのを見ると「このバンドは大丈夫だわ」って安心するんだよな。

 んで、ついにZeppでキャパ2000のハコを埋めた時はマジで感慨深かった。2000っつたらロックバンドとしたら超超すげえことだからな。次は武道館間違いなしだろ。まあどうせ俺は行けんのですが。でもそしたら次の次は何? アリーナ? ドーム? フェスも一番デカいステージいけるんじゃない? 逆にまたちっさいハコに戻ってきても面白いよな。あー、でもそしたらチケットの取り合いがエグくなりそう。でもマジで今一番熱いよな結束バンド。どう転んでも面白くなりそうなんだよな。

 ……いや、名古屋公演しか追ってないからにわかかと思われるかもしれんけどアレだからな、こっちはぼっちがguitar hero名義で動画アップしてる時から知ってるから。俺をインターネットから現実のライブに引っ張り上げたのは結束バンドだからな。小中高と全然音楽興味なかったし歌番組もロクに見んかったし。大学に上がって片道2時間半の通学時間を潰すためだったんだわ。まあよくあるモラトリアムの憂鬱ってやつで世間一般のメジャー曲には手を出さず、ボカロとかネットレーベルの曲とか、アングラでニッチでマニアックな音楽ばっか聴いてたワケ。……お前ボカロってあれだぞ、今みたいに人気じゃなかったからな。

 楽器はなー、ギターとかドラムとかベースとかの演奏してみたはよく見てたんだよな。あれもさ、当時は素人に毛の生えたような人もいっぱいいてワンチャン俺もやったら才能あるかもしれんと思ったりしたもんよ。いや手ェ出さないでよかったけど。で、何べんも動画投稿してるの見ると「おっ相変わらずやっとんな」みたいな感じでちょっと楽しみになってな、そんな感じでダラダラと追ってたわけよ、guitar heroを。

 そしたらある日突然「バンド参加してます!」って情報がくるじゃん。もう超ビックリしたし、結束バンドってめっちゃダサいバンド名だし、しかも演奏するのはいつものカバー曲じゃなくてオリ曲ばっからしい。マジ意味分かんね~~~。しかもライブやってんのシモキタなんだって。めっちゃ遠いわ。メジャーのバンドはともかく、インディーズ?のバンドのために東京まで遠征するのはちょっとな。……と思ってたんだけどさ、さっき言ったように俺はモラトリアムの憂鬱だったしバイトで金もあったし、観光がてら行ったんよ、下北沢まで。頭おかしいよな。

 下北沢、サカナクションの山口一郎がゲリラライブやった動画でしか知らんかったけど街中の雰囲気がすっげえしゃらくさいし楽器持ってる人間めちゃくちゃ多いし昼飯に食ったラーメンも全然味しなかったくらい落ち着かない。街全体が俺を拒絶してるんじゃないかってくらいビビってたわ。しかも会場のライブハウスの入口が地下にあるのに全然気づかなくて辺り3周ぐらいしたし。あとぼっちのやつはライブ処女を無名のバンドに捧げるのはマジでやめておいた方がいい。「俺ここに居ていいんだよな……?」感が半端ないから。まあこの話はいいや。ライブの話をしよう。

 ギターも、ボーカルも、ベースも、ドラムも、知ってたけど知らなかった。耳で聴くんじゃない。全身に音を叩きつけられる感覚。空気が震えている。スポットライトが瞬いている。観客が腕を降っている。汗が散って光ってるのが見える。蒸気が立ち昇っていくのが見える。ベースの低音が体中駆け巡って出ていかないし、ドラムのリズムで心音が上書きされるし、ギターは……ぼっちのギターは何だろうな。腹の底からめちゃくちゃビリビリくるんだよ。ボーカルとさ、デュエットしてんのかってくらいすげえ存在感がある。見よう見まねで腕を振って、手を叩いて、体を揺らして、何もかも初めてだった。音楽が目の前で生み出されている。バラバラの人間が形も全然違う楽器を同時に演奏するって、本当にすごいことだと思った。

 そこからは今までの人生を取り戻すかのように溺れるようにロックを漁りまくった。昔流行っていたバンドも最近フェスで活躍してるバンドも手当たり次第に。バンプやラッドとかも改めて聴いたし、アジカンは何回もライブ行ったわ。アリーナもzeppも対バンも、ゴッチのソロライブも行った。社会人になったら運よく音楽仲間も出来て、フェスにも毎年のように繰り出した。そこで初めて知ったバンドのライブにも行った。それも全部、あの初めてのライブがきっかけだったんだわ。

 人間、誰がどんな影響を受けて何をするかなんて分かったもんじゃない。だけど若気のモラトリアムに駆られて頭おかしいことをやんのも、後から振り返ると悪いことじゃなかったりする。まあ、結局は自分次第なんだな。俺は結束バンドのライブに凸してめちゃくちゃ良かったし、そのおかげで今の自分があるっていうか。今は色々と忙しくてライブ行けてないんだけど、あの時の経験は俺だけのものなんだよな。青春とか懐古とか言うやつもいるかもしれんけど、俺にとってはリアルな出来事であり血肉の一部になってるから全然違う。現在進行形で傍らにあるんだよ。だからな、アー、こうな、何というか、おい、待てって、何処へ行くんだ、話まだ終わってないぞ、おい! 戻ってこいよ、ほら!!


(結束バンドは漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』に登場するバンド
であり、実在しません)


(終わりです)

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