見出し画像

<No.18>SDGsの各ゴール解説⑧ 目標8:働きがいも経済成長も

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の各ゴール(目標)の解説とアクションのヒントを国連開発計画(UNDP)、国連広報センター(UNIC)の資料を基に行います。SDGsのゴールを達成するためにも、SDGsの各ゴール詳細を知っておくことはアクションに繋げる上で重要になります。ぜひ最後までお付き合いください。
 今回は「目標8:働きがいも経済成長も」です。

UNDPでは「目標8:働きがいも経済成長も」を次の通り解説しています。(灰色部分は引用。)

すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する

2008年から2009年にかけての経済危機の影響が長引く中、極度の貧困の下で暮らす労働者の数は過去25年の間で劇的に減少しました。開発途上国では、中間層が雇用全体の34%以上を占めるようになりましたが、この割合は1991年から2015年までの間に、ほぼ3倍に増えています。

しかし、世界の経済が回復を続ける中、成長の減速や格差の拡大が見られ、雇用は労働力人口の成長に見合うペースで増加していません。国際労働機関(ILO)によると、2015年の失業者は2億400万人を超えています。

持続可能な開発目標(SDGs)は、生産性の向上と技術革新により、持続的な経済成長を促進することを狙いとしています。これを達成するためには、起業と雇用創出を促す政策の推進だけでなく、強制労働や奴隷制、人身取引を根絶するための効果的な措置を取ることも重要です。こうしたターゲットに留意しつつ、2030年までにすべての女性と男性の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を達成することを目標としています。

ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-8.html

また、UNICでは、このゴールがなぜ必要なのか、このゴールに対して何が出来るかという視点で以下のように伝えています。

若者にディーセント・ワークへ移行できる最善の機会を与えるためには、できるだけ質の高い教育と訓練に投資し、若者に労働市場の需要に見合うスキルを提供し、雇用契約の類型にかかわらず、社会保障と基本的サービスを利用できるようにするとともに、公平な競争条件を確保することで、すべての意欲的な若者が自らのジェンダーや所得水準、社会経済的背景に関係なく、生産的雇用を達成できるようにする必要があります。 

 
詳細は以下のURL参照
http://www.unic.or.jp/files/715860c2de64fd9390dc3b071e7f07c7.pdf

具体的なアクションを考えるためには、このゴールのターゲットについても知っておく必要があります。ゴール8に連なるターゲットは以下の12です。

• 8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。
• 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
• 8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
• 8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
• 8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
• 8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
• 8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
• 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
• 8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
• 8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。
• 8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
• 8.b 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

 日本においては、SDGsゴール8は「働き方改革」という政策であらわれている分野になります。全国務大臣を構成員とする持続可能な開発目標(SDGs)推進本部で決定された「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策」の付表において施策の概要が書かれています。そこには、一番最初の項目に「働き方改革は、一億総活躍社会の実現に向けた横断的課題であり、最大のチャレンジ。同一労働同一賃金の実現など非正規雇用労働者の待遇改善、総労働時間抑制等の長時間労働是正、65歳以降の継続雇用・65歳までの定年延長企業の奨励等の高齢者就労促進に取り組み、多様な働き方の選択肢を広げる。」とあり、2番目の項目に「「ニッポン一億総活躍プラン」に基づき、法規制の執行を強化するとともに、労働基準法については、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められる、いわゆる36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始する。」とあり、その具体指標として「週労働時間49時間以上の労働者割合(を減らす)」とあります。(ともにターゲット8.5に対応)


 あらゆる企業が「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」に取り組んでいくことが求められることになります。また、単にこれら日本においては法律レベルで満たすだけでなく、SDGsゴール8の本質である「ディーセント・ワーク(働きがい)」をどのように創出していくかが各企業に求められることになります。

SDGsの目標8と関連性の高い「働き方改革」とは何か、また具体的に企業はどのようなアクションを取っていく必要があるのかを動画にてまとめていますので、働き方改革については、以下のサイトをご参照ください。

働き方改革とは?-働き方改革アカデミー
https://osaka-morinomiya.workstyle-academy.com/reform.php

働き方改革・10のテーマ-働き方改革アカデミー
https://osaka-morinomiya.workstyle-academy.com/index.php


最後に、2018年12月24日時点の国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」のうち、ゴール8に関するものを挙げます。一見、自分自身に直接関係ないようなことであっても、新たな気づきやビジネスの機会になることがありますのでぜひ押さえておいていただきたい数値です。

• 全世界の失業率は2017年に5.6%と、2000年の6.4%から低下しています。
• 2016年の時点で、全世界の労働者の61%がインフォーマル・セクターで雇用されています。農業部門を除けば、労働者の51%がこの雇用類型に当てはまります。
• データが入手できる45カ国中40カ国で、男性の賃金は女性を12.5%上回っています。
• 全世界的な男女の賃金格差は23%であり、決定的な対策を取らなければ、賃金平等の達成にはさらに68年を要する計算になります。男性の就労率94%に対し、女性の就労率は63%に止まっています。
• 女性の社会進出は進んでいるものの、女性による無償の育児・家事労働は依然として男性の2.6倍に当たります。
• 2016年から2030年にかけ、全世界で新たに労働市場に参入する4億7,000万人に雇用を提供する必要があります。

 事業規模や企業か個人かによってできることも異なりますが、SDGsの各ゴールやターゲット、現状の数値を知って、そこから具体的なアクションを考えることがSDGsのゴールを達成する上で重要な活動の一つになります。

 みなさんもぜひ自分のできるアクションを考えてみましょう。

資料:
UNDP SDGs
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
国連広報センター SDGs を17の目標ごとにわかりやすく紹介したチラシ、SDGs シリーズ「なぜ大切か」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/
働き方改革アカデミー
https://osaka-morinomiya.workstyle-academy.com/index.php


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?