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好きって絶望だよね

好きな小説は?と聞かれたらすかさずこの作品を選ぶ。桜庭一樹さんの小説「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」について書いていこうと思う。

「好きって絶望だよね」
そのセリフが砂糖菓子の弾丸そのものだと私は感じている。

10年以上前に発売された作品だが、今でも沢山のファンがいる。私もその1人だ。
きっかけは、10代の頃にネットで知り合った女の子に「あなたを見ているとこの小説を思い出すから読んで欲しい」と言われたからだった。本当にそうかどうかは分からないけど。

作品概要・あらすじ

山田なぎさは、片田舎に住む「早く大人になりたい」と願う女子中学生。ある日、彼女の通う中学に、自分のことを「人魚」と言い張る少女・海野藻屑が、東京から転校してくる。藻屑に振り回されるなぎさだが、藻屑の秘密に触れていくにつれ親交を深めていく。しかし、藻屑の父親である海野雅愛の虐待が悪化の一途を辿ると同時に、なぎさと藻屑に別れの時が迫っていた。
※ Wikipediaより引用

私達大人にとってかつての子供だった私達にとって、忘れてはいけない事を再確認させてくれる作品だと思っている。

作中にも「暴力も喪失も痛みもなにもなかったふりをしてつらっとしてある日大人になった」という文がある。大人になるってこんなに簡単なんだけど、本当に大事なこと全部鈍感になって見ないフリして分からなくなる事なんじゃないかなってそんな気持ちになってしまう。

そんな虚しさと葛藤が、まだある大人におすすめしたい。

もし読んだ人は、この小説の愛についてを是非考察してほしいと思う。子供の無力さ、無償の愛。親の愛。愛とはなんなのか、考えてみてほしいと思う。

最初に話した「好きって絶望だよね」というセリフは砂糖菓子のように脆く、そんな武器じゃ戦えない。そんな優しくて誰も傷付ける事のない、小さな弾丸じゃ生き抜いていけない。だけど、そんな風にするしか術がなかったかつての子供達もどこかにいるんじゃないだろうか。

最後に、副題に英語で
「A Lollypop or A Bullet」とある。
砂糖菓子か弾丸か
あなたならどっちを選びますか?

ではまた。

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